劇場公開日 2024年11月29日

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「騙し絵のような映像」雨の中の慾情 るなさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0騙し絵のような映像

2025年2月9日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

冒頭、義男の部屋の壁にプリズム様な光が映り細かに動く、これがラストシーンに繋がる。

物語の前半は所謂夢落ち物かと思いきや、やがて二重三重に畳み掛ける多重構造であることに気付かされる。夢の断片が儚く舞い散る様を映し出し、登場人物の内面に潜む複雑な感情や欲望を象徴する。夢の中でしか存在し得ない非現実的な光景と、幻覚のように錯綜する映像表現は、観る者に多層的な解釈を促す鍵となっている。監督は、意識の深淵に潜む夢と幻覚を大胆に表現し、その斬新な演出と緻密な心理描写は、観る者に深い感動と衝撃を与える。

ラストシーン、義男が今際の際に冒頭のプリズム様の光を再び見る。細かく揺れながらやがて臨終を迎えると同時に消えさる。死を迎え瞳孔が開き眼球の虹彩が消えるという比喩なのか。
結局、義男が見ていた夢幻は銃で撃たれ死ぬ間際に見た一瞬の走馬灯だったのだと観客は気付く。良くぞこれ程、複雑で綿密な構成をしたものだと感服した。

るな
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