「虚構の数珠」雨の中の慾情 Kさんの映画レビュー(感想・評価)
虚構の数珠
観れば観るほどに、作中に散りばめられた仕掛けに夢中になる。記憶の片鱗から紡がれた虚構が数珠のようにつながりぐるぐると巡る。漫画家の頭の中というのはこのようなものなのだろう。
学生の頃に読んだ、記憶の中にある懐かしく奇妙なつげワールドのエッセンスを存分に体現し、さらに細部まで凝られた舞台セット、小道具、光、色彩で原作に負けない映像作品として完成しているのが素晴らしいと思う。『無能の人』の竹中直人がキャスティングされているのも心憎い。
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