劇場公開日 2024年11月29日

「つげ義春の、というのではないエロスと平和と戦争」雨の中の慾情 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5つげ義春の、というのではないエロスと平和と戦争

2025年1月6日
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鑑賞方法:映画館

2025年最初の映画。思いの外と言っては失礼かもしれない力作にしてそこそこの大作風。タイトルが小品感を醸しているのと、予告編はこれまたまったくそれとも違う感じで派手な感じもしたのだが、見ればもっとずっしりな野心作。まあ片山慎三なのでそりゃそうだ。エロスを包み込む戦争と平和。なんじゃそりゃ、と思うが本当にそういう出来。但しパーツパーツは野心みなぎるが物語設計は夢物語風味だからか大きな推進力に欠ける。最も単純なふたりの男とひとりの女の構図だけでも決して巧みに見せきれてるとは言い難い。成田凌はとてもいいし、なんとなく昭和エロス的シチュエーションはあるが長編を引っ張るほどのスリリングなアイデアはない。かといってつまらないかというとそんなこともなく、断片断片ははっとさせられる表現はてんこ盛り(雷、雨、車ですっ飛ぶ女体、シームレスに入ってくる日本軍の攻撃) 片山真三はサービス精神の塊なのかもしれない。力技でそうはなっているけれど、本来短編で強いエッセンスのものは短編のままのほうが強い印象を残すんだな、とは思った
なので予告編的要素とはぜんぜん違う面白さではあった

ONI