「愛と幻想のねじ式」雨の中の慾情 たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
愛と幻想のねじ式
つげ義春が1981年に描いた短編エロ漫画のタイトルなのだが冒頭に繰り広げられるシュールコミカルなシーケンスがその漫画を執筆中の成田凌(義男=つげ義春)の妄想というだけででこれが原作というよりつげ義春的漫画家そのものを描いた愛と幻想のねじ式である。片山慎三監督と撮影の池田直矢のタッグは相変わらず強力で移動撮影が圧倒的に上手く、今回の台湾ロケが「つげ風ワールド」を見事に再現していて角を曲がると一気に戦場へと連れて行ってくれるダイナミズムがたまらない。クリストファー・ノーラン的な時系列行きつ戻りつの中に夢想の過去が混ざって来るので決してややこしくはないのだがややもすると真面目に筋を追う気持ちを失わせる危険な映画である。しかし132分は長すぎでうんざりの一歩手前。戦場との行ってこいをあと一回カットしてくれれば良かったのに。
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