劇場公開日 2024年11月29日

「無理に何かをわかろうとする必要はない」雨の中の慾情 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0無理に何かをわかろうとする必要はない

2024年12月5日
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鑑賞方法:映画館

つげ義春は60年代後半から70年代にかけ当時支持されていたので「ねじ式」「紅い花」「ゲンセンカン主人」等を貪るように読んでいた。その単行本やGAROは私の本棚からはとっくの昔に消えていた。「雨の中の慾情」は80年代の作品だと思うが記憶の片隅にあるのできっと読んでいたと思う。つげ作品=シュールリアリズムと位置付けられていたので、何処までが夢でどこまでが現実かがわからない作品も確かに多い。
この「雨の中の慾情」もつげ義春の夢をそのまま描いた作品であり、映画でもそのように描かれているが、それ以外は片山慎三監督の脚本で壮大な夢と現つの世界が繰り広げられる。
最初、日本にこんなところはないなぁと無国籍な街並み観ていたが、台湾でのオールロケと知ると納得した。確かに台湾には何処か懐かしい日本がある。
前半はのほほんとした雰囲気の異世界かと思いきや後半はいきなり戦火にまみれる泥々のシーンがインサートされ、と思ったら濡場の連続に、、。全部が夢なのか?戦争とラストシーンだけは現実なのか?訳はわからないが、解釈は観客に委ねているのだと思う。

商業映画としては無理がある作品だが、普通にシネコンで公開できて良かったと思います。
若い片山慎三監督。ポン・ジュノ監督の下であの「母なる証明」の助監督をした経験もあるとのこと。次回作も期待しています、。

アベちゃん