「鼻糞かと思った」雨の中の慾情 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
鼻糞かと思った
つげ義春の本は昔買った記憶がある。孤高の漫画家つげ義春の作品の映画化は20年前の竹中直人の監督作品以前にもたくさんあるらしいし、つげ義春の夢日記の幻想の世界を【岬の兄妹】の監督がうまく表現出来たかは正直なところ私にはよくわからない。しかし、台湾をロケ地にしたのはよかった。「あぁ、台湾なんだなぁ」と思ったのは【1秒先の彼女】で見覚えのある台南の水辺の風景だった。エンドロールでの「台湾ユニット」で確認するまでもなく。
戦時中の満州や戦後の闇市、まるで迎賓館のような南町の豪邸は日本国内だけをロケ地にしてはとても無理であったであろうし、セットを作ったのでは金がかかり過ぎる。
つげ義春は戦争経験者ではない。義男が左手右足を失うシーンは南方ではなく満州の設定なのだが、どうしても水木しげるがタブるし、福子がバーの女給だったり、慰安所のピーだったり、子供の脳漿を注射器で吸い取るシーンでの看護婦だったり、インモーのお守りなんかのクダリは【兵隊ヤクザ】シリーズの小山明子(大島渚夫人)を思い出していた。齢がバレるね。
たぶん、成田凌お目当ての若い女性ファンやV6の森田剛のファンは福子に自己投影することで、つげ義春の繊細でエッチな幻想奇譚の共犯者となり、イケたかもしれないと思うとなんだがとても悔しい。しかも1000円で。12月1日の映画の日にTOHOシネマズ池袋の14:30からF列で鑑賞。空席を挟んで隣には若い女優さんか?と思うような白いウールのブランケットを膝掛けにした落ち着いた雰囲気の美人さんがすでにご着席。はっきり申し上げて、夢か現か映画の内容以上にドキドキしてしまった。微かな笑い声や喘ぎ声が隣から時々聞こえたような気がした。
惜しげもなく晒される中村映里子のスレンダーボディ。勃ってるに違いないニプルズ。冒頭の女優さんもいい脱ぎっぷりだったが、冒頭からコメディタッチのAVを見せられたようで、その先がツラかった。
森田剛がいうように、成田凌はほんとにイイ顔してた。まぁ、いつもどうりなんだけど。
森田剛が投げたのは大きい鼻糞かと思ったらつけボクロだった。
つげ義春の亡くなった奥さんは紅テントの女優さんだったらしい。最後の方で茶色のトノサマバッタのCG。飛蝗。旧日本軍を揶揄したものなのか?唐組のことか?
つげ義春ご本人がまだご存命だったとは。滝田ゆうは若くして亡くなったのに。
つげ義春。齢93だそうだ。
ぜひご本人から映画の感想を聞いてみたいものである。