ビューティフル・マインドのレビュー・感想・評価
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【”君が居て、私がいる。”今作は天才数学者でありながら、統合失調症に悩まされながらも妻や同僚の学者の支えにより、ノーベル賞に輝いた男の生涯を描いたヒューマンドラマの逸品である。】
■1947年、プリンストン大学。
人付き合いが苦手なジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)は、ライバル、マーティン・ハンセン(ジョシュ・ルーカス)や陽気な同室のチャールズ・ハーマニー(ポール・ベタニー)達と数学を研究する中、”この世の全てを支配する真理”(この理論を、調べたが難解過ぎて、全く分からず。(涙))を見つける。
そして、学内で見つけた美しいアリシア(ジェニファー・コネリー)とも恋仲になっていく。
彼は、MITのウイーラー研究所に招聘される。そして、旧ソ連の暗号を読み解くなど、活躍していく。
だが、ある日、国防総省のバーチャー(エド・ハリス)が現れ、彼に任務を与える辺りからジョンは徐々に精神の均衡を失って行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・最初は、暗号解読などをする様を見て、悲劇の天才数学者アラン・チューリングがナチスドイツの暗号を解く様を描いた「イミテーション・ゲーム」を思い出す。
序に言えば、数学者を描いた映画は逸品が多い事も思い出す。
インドの不世出の天才数学者を描いた「奇蹟のくれた数式」や、NASAに勤める黒人女性達が奮闘する姿を描いた「ドリーム」、韓国映画の「不思議の国の数学者」などである。
・だが、今作は徐々にジョン・ナッシュが”妄想と現実”の狭間で苦しむ姿が描かれて行く。バーチャーが運転する車に同乗したナッシュが、謎の車に追われ銃撃するシーンや、その事で結婚し、妊娠していたアリシアを逃がす姿。
・物語が進むにつれ、バーチャーや頻繁に現れるチャールズ・ハーマニーとその姪が、彼の幻覚であると分かって行くのである。
そして、彼は入院を余儀なくされるのである。
・退院しても、幻覚は続くが彼は母校のプリンスト大学に行き、且つてはライバルだったマーティン・ハンセンが学長席に座る中で、図書館で勉強したいと申し出るのである。
このシーンで、マーティンが快く”部屋を用意しようか?”と声を掛け、プリンストン大学で数学の研究を続けたいというジョンの願いを快く受け入れるシーンが沁みる。
学友とは、このような関係を言うのだと思う。
・年月は過ぎていくが、バーチャーやチャールズ・ハーマニーとその姪は老いない。だが、彼らはジョンを静に見守るだけになって行く。勿論、ジョンが寛解に近づいていくこることを象徴していると思う。
■1994年。プリースト大に、トーマス・キング(オースティン・ペンドルトン)と言う男がやって来て、ノーベル賞受賞を告げる。ジョンは半信半疑だが、周囲の教授、学生がジョンが若き時、担当教授にアインシュタインの所で学びたいとごねていた時に観た年老いた教授の席に”敬意を込めて”ペンが置かれて行ったように、ジョンのテーブルにペンを次々に置いて行くシーンは沁みたなあ。
<そして、ノーベル賞授賞式でのスピーチで、ジョンは彼を長年支えて来た妻アリシアの顔を見ながら”君が居て、私がいる。”と告げるのである。
このシーンも沁みたなあ。
今作は、天才数学者でありながら、統合失調症に悩まされながらも妻や同僚の学者の支えによりノーベル賞に輝いた男の生涯を描いたヒューマンドラマの逸品なのである。>
数学者の映画はけっこう多い。 そして小道具が光る。 万年筆、 黒板、 ハンケチ、 ピンクの錠剤。
偉大なるプロフェッサーに対して
愛用の万年筆を、周囲の学者たちが次々と献呈して並べる習慣。
あの行為は恐らく
「あなたの偉業の前には私はもう書くべき物がありません」、
「降参です、シャッポを脱がせて頂きます」。
そういう意味なのだろう。
値が付けられない逸品のモンブランやペリカン。記念のためのウォーターマンなども有ったろうに、手に馴染んだかけがえのない万年筆。それを惜しげも無く持ち寄って献呈してしまう驚きのシーン。
学究に対する最大級の敬意を表す、興味深い光景だった。
・ ・
ジョン・ナッシュ。
一人の数学科の学生の、入学と、そして“巨大な前口上有り”の挫折の物語。
しかし、この映画でいくつも戸惑ってしまったのは僕のほうだ。
このオドオドしてるジョン・ナッシュくん。
役者、ラッセル・クロウは、「グラディエーター」においてあの粗暴の限りを尽くすモンスター・マッチョになってから、
【その翌年に】青瓢箪のこの若者=「ジョン・ナッシュ」に変身している!この事。この驚き。
つまり、
若きジョン・ナッシュ役を演ったラッセル・クロウが、後年に年齢を加えて暴れ役のオヤジに挑戦したのかと思いきや・・
これは時間軸が逆だったのでした!
グラディエーターが、その翌年に病弱で小心者の、若き数学者=ジョン・ナッシュに成った逆転劇。
このゲーム理論には、もはやおいらはついていけませんね。
役者さん、変幻自在なのです。凄いです。
・ ・
「私は『数』を信じています」
これは授賞式でのナッシュのスピーチでした。
理数系が からっきしダメで、不得手な僕としては
この映画は、まったくの異世界の物語。
自然界の事象や、人の感情のゆらぎ、そして社会の動向やハトの給餌行動まで、
それらを数値で説明して解を出し、過去と未来まで、予測までをやってのける。
そればかりか、美術や、音楽や、文学の傾向までも、数値と(これも数学者が開発した) AI プログラムがその構造をバラしてしまう世界。
ゆえに「数学脳GIFTED」たちへの、僕の、ないものねだりのリスペクトと憧れの思いは、
同時に抱いてもしまう懐疑と生理的拒絶感も相含めて、ホント突き抜けてしまうものです。
じつは昔、
僕はハーバード大学の門前の小僧でした。
ケンブリッジの駅前、
ハーバードの正門のすぐ前に3ヶ月滞在していて、ハーバードの構内は勿論ぶらついたし、MITにもダンスパーティーに潜り込んだことはあるんですけど、
あの2つの大学は「フィールズ賞」も「ノーベル賞」もザクザクと獲っています。
でも小生、ちっともオツムは賢くなりませんでした。学研都市のあのVibesには あやかれませんでした。
ボストン美術館では「会員証」を作ってもらった時、受け付けのおばちゃまからウインクされて「ハーバードの学生ってことにしておくからねっ♡」と言われたんですが。
おバカですが、自慢してもいいですかね?
・ ・
数学者の映画は、思い出してみると、洋画邦画と、けっこう多いのです。
そしてそのどれもが、ほぼ例外無く、変わり者の数学オタクが、勉強仲間や、妻や、家政婦や、親友たちの大きなサポートを受けている物語です。彼らGIFTEDはサポート介助を受けている。
どこか助けを受けなければ生きていけないような生まれつきや生い立ちが=つまり、大きな人間的欠陥も相持ったパーソナリティが、彼らにはあるのかも知れません。
夫ナッシュを支え続けたジェニファー・コネリー嬢は、この映画での共演が縁となり、結婚しています。
ただし残念ながらですね、ラッセル・クロウとではなくラッセル・クロウの同室になっていた金髪のハーマンくんと結婚したのです。涙
グラディエーターになって怒り心頭。暴れるのもよく分かりますよ。
で、この映画、
戸惑いの第2点。
ほとんどの時間が、どこまでが病気による幻聴や幻覚なのか、途中で分からなくなって、見ている僕も苦しくなる。
誰が本当なのか、何が事実だったのか、ここは何処なのか、分からなくて混乱のるつぼに落ちる。そしてこちらまでがこんなにガックリと気持ちが落ち込んでしまう。
どうやらナッシュは「統合失調症」なのだと、劇中わかりはじめてからは、映画の冒頭まで、いま観てきた物語をさかのぼって、全ての積み上げられた筋書きとエピソードが信じられなくなり、映画鑑賞の一切が瓦解してしまいます。
「2時間観てきたこの全てが、夢で、幻想で、幻覚だったのだ」という衝撃。虚脱感。
では僅かにでも残っている「本物」は、この映画には有ったのだろうか・・
でも、妻アリシアの存在だけは確かに残っていてくれて救われました。
「これだけは確かなのよ」と自分と夫の胸に手を当てる。体にしっかりとふれる。手当てをする。体温を伝える。
ジェニファー・コネリーはアカデミー助演女優賞。
・ ・
「失聴者の映画」が、昨今いくつも作られていて、聞こえない世界に想いをいたす体験が与えられている僕たち。
今作品では「統合失調症」のひとつのケースを (おそらく本人の著述から) 我々に披瀝して、見せてくれたのだと思います。ありがたいです。
・ ・
さいごに、
天才たち。数学の世界に遊ぶこの本人たちは、狂喜しながら趣味のオタクで(失礼!)数学をやっているに過ぎなくても、
彼らのその発想と成果は、手ぐすね引いて後ろで待機しているエコノミックモンスターと国家防衛戦略に取り込まれていくのは、とても悲しいことではあります。
プリンストンのアインシュタインやオッペンハイマーが用いて駆使した神器=プロメテウスの火は、他ならぬ「数学」だった。
二次関数の、山なりのグラフ形状は、戦時の砲弾の軌跡を計算するために編まれた。
お掃除ロボットやファミレスの配膳ロボットだって、軍事兵器からの民間転用なのだと知ってしまうと気が滅入る。そして
我々をいつも掛け値無しに感動させてくれていたあのスペース・シャトル計画も、実は打ち上げ回数のほとんどは最高度の軍事機密で、世界には公開されていないのですから。
実在の人物、ジョン・ナッシュ氏が、これ以上苦しめられずにいて欲しい。微笑んでいてほしいと、泣けて仕方なかったラストでした。
彼はナイーブ過ぎます。
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付記
自身のプロフィールで「右の目ではスクリーンを、左の目では人生を」と標榜している僕としては、自分の事も、忘れてはいけない歴史として、この映画を観たからには、落とさずに記しておかなければならない。
仕事への度を超えた没入と失敗。自身の資質の弱さから燃え尽きてしまった僕のことを、通院〜回復まで、ずっと支えてくれた我が妻の事。
ナッシュのように演壇から「ありがとう」は言えなかったけれど、申し訳無さと、感謝は言葉に尽くせない。
あの人に万年筆を捧げたいのは僕のほうです。
最後は涙…
ナッシュ氏が天才であったことと統合失調症であったことは、別のことと...
無題、言葉にならない。
私はこの映画を今から7年前くらいに初めて見たのではないかと記憶している。
その時私は、うつ病の酷い時期の前後だった。凄くこの映画にひきこまれた。怖いくらいに入っていった記憶だけのこっている。この映画は最初からルームメイトが幻覚という落ちだが、初めて鑑賞したときに自分もメンタルが病んでいたから、尚更、何が現実で何が幻覚かわからなく混乱する。つまりナッシュと同じ気持ちになれる映画なのだ。そこが秀逸なのではないか。そしてその時かなり泣いた記憶がある。
あれから7年がたった今。令和6年である。いま見て思ったこと。
ナッシュについて。
困難から決して逃げながった。そして自分の意思を曲げなかった。
すさまじい生き様を見る。
そして彼のその情熱がいつか周囲の人の心を引き寄せた。友達がいた。助けてくれる仲間が感動的だ。彼は奇跡を起こした。生徒が集まってきたくだりがピーククライマックスだろうか。
そして妻があまりに偉大。ちょっとおかしいくらいに偉大。なぜ、ここまで彼に献身的に愛せたのだろう。この妻がいたこと、たしかにナッシュはラッキーで幸せなのだ。これが現実と彼に教え、根気よく待った。よく励ました。時に厳しく、しかし、彼を尊重して、信じぬいた。これもまたすさまじい。
ここまで書いているが、実はこの感じる思いを上手く整理もできないし、言葉にできない。
ただ、わかる素晴らしい映画だ。
成功しているからこそ、良くも感じるかもしれないけれど、成功していなくても、幻覚と戦った、自分のやるべきことを見つけて意思を貫いた彼の魂に震える。
なんかわかんないけど、自分の小説にこんな命を吹き込みたいよ!
精神病に対する理解が深まる映画
15年ぶり3回目
ノーベル賞受賞者の実話と知り、驚きと涙が…
始めは国が主人公を危険をさらした結果、
彼の神経に変調をきたしたのかと思ったが、
まさか大学のルームメイトや
国防総省エージェントまでが
幻覚だったとは驚かされた。
ただ、どこまでが幻覚なのかが
分からないまま観終わった点があり、
主人公がペンタゴンに呼ばれた時の場面は
どうなんだろう。
ところで、幻覚を見るだけでなく、
行動までも幻覚として認識するなんてことが
あるのだろうか。
カーチェイスの銃撃戦等までも
見せられていたので、
この物語はフィクションかと思い
ラスト近くまで観ていた。
しかし、
多少のディフォルメがあるのだとしても、
最後のノーベル賞受賞の段階で、
これが実話と知った後は
驚きと共に涙が止まらなかった。
数学者・物理学者は、私には
想像も出来ないような不思議な人種だ。
結婚前に彼女への
「僕ら長続きするかな」
「確固たるデータが欲しい」
の言葉が象徴的だ。
優秀過ぎる頭脳だからこそ、
その一部の人間が、
別の意味での幻覚を見ながら
兵器開発に邁進している可能性を想像すると
恐ろしくも感じたが。
成功の影。
実話を基にした映画にありがちな、そんなに劇的ではない物語
話が進むにつれて釘付けになっていく
ノーベル賞数学者のジョン・ナッシュを半生を描いた実話もの。 統合失...
【物語としては面白いですが、作品としてはいまいちピンとこず…】
・2001年公開のアメリカの伝記映画。
・実話をもとに描かれた伝記作品ですが、実話からは割と脚色された物語構成になっているようです。
・ノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュが、プリンストン大学院に入学後、「ゲーム理論」という画期的な理論を発見してから、とある軍事施設にスカウトされて政府組織でロシアの通信暗号解読を極秘裏に行う。その後、愛する女性アリシアと結婚するが、精神的に追い詰められて、どんどんと人間がおかしくなっていく中で生活や仕事と向き合っていく という大枠ストーリー。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
・第74回アカデミー賞で作品賞、監督賞、助演女優賞、脚本賞を受賞した作品で、言わずと知れた名作ですね。
・今回、初めて鑑賞させていただきました。
・うーん、私自身はあまり腹落ちしませんでした。笑
・「ある人のドラマチックな人生を観る」という点では面白く観れましたが、なんというか、「これ!」という点をあまり感じませんでした。単純に人生が流れている感じでしょうか。一つ一つの出来事は、どうなるの?になるのですが、それが進んでも「で?」というところに行きついてしまうのです。
・ただ、シンプルに「素敵なラブストーリー」と「病気に屈せず、前を向いて生きる姿勢」という点では面白かったです。がしかし!これも実話と若干異なる部分があるようで、脚色が加わっていることを考えると、脚色してどこに行きつこうとしていたのかがいまいちわからず。。。
・面白くないわけではありません。しかし、「1度で十分かなぁ」という印象でした。
・また年を重ねてから鑑賞することで見えるものが変わってくるのかもしれませんね。ありがとうございました。
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忍耐力
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