「単なるオマージュに終始する志の低い映画」エイリアン ロムルス ハモニカ犬さんの映画レビュー(感想・評価)
単なるオマージュに終始する志の低い映画
「エイリアン」1〜4は、長編映画1から2本目の若手が監督し、いずれも自分の持ち味を活かしてフレッシュな作品にしてきた稀有なシリーズ。キャメロン、フィンチャー、ジュネ。どの監督も1作目の意匠を借りながらオリジナリティー溢れる作品に仕立てた。どの監督も誰かの真似なんかしなかった。
1作目を監督したリドリー・スコットも「プロメテウス」「コヴェナント」ではまったく新たな世界観を提示した。
ところが今作はどうだ。絵もセリフも過去作のつまみ食い。ラストにニューボーン擬きが出てきてニューボーンと同じような死に方をするに至っては、開いた口がふさがらない。過去作の台詞をキメ顔で言わせるのも、本当にしらける。
そうやって過去作のつまみ食いをするから、SFホラーとしてもアクションとしても中途半端。特に後半のアクションシーンは酷い。ふた昔前のゲームのムービーシーンみたいになってしまった。
良かったのは若手のキャスティングと美術。特に美術は素晴らしかった。宇宙船、宇宙ステーションの80年代のアナログSF感を出すのはとても難しかったはず。クリーチャー類の造形はいつも通りに良い。
せっかくいい素材揃えたのに、過去作を気にしすぎてもったいないというのが率直な感想。TVシリーズとかゲームだったら「あー、2のあれだ!」とか言って楽しめたかもしれないが、劇場でそんな安っぽいのは観たくない。
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