「巣窟」エイリアン ロムルス U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
巣窟
なんかやたら怖かった。
物語の骨組はシリーズを踏襲してるようで変わり映えはしない。限定された空間でエイリアンから逃げる。
むしろセルフオマージュとも言えるくらいの構成だ。
なんだけど、群を抜いて怖い。
音楽のせいかな?
監督の趣向もあるんだろうな。相性がめちゃくちゃ良いと思われる。
その限定された空間が「廃墟」のような設定も効いてるんだと思われる。禁忌の空間というか、踏み込みさえしなければ、そんな恐怖に見舞われる事もなかったろうにと思えてしまう。まぁ、舞台装置は前作からの引き続きのような所もあるので、ゾクリとはするのだけれど。
毎回思うのだけど、エイリアンの全身をなかなか映してくれない。その辺りも伝統なのかと思わなくもないのだけれど、サービスカットくらいは欲しい。ただ未知なる恐怖の表現であるならば、全貌を把握できないってのは効果的なのだろうなぁ。
今回のエイリアンも雰囲気◎だ。
フェイスハガーから始まって、顔を覆われる様とか、幼体が腹を食い破って出てくるとことか、エイリアン的名場面をしっかりアピールしてくる。ぶっちゃけ何度も観たシチュエーションだ。でもその都度怖い。今回は特に怖かった…。
Androidの無機質さとかは、アングルの妙もあってエイリアンとは別の恐怖を与えてくれる。
本能が拒絶する恐怖とは別に、深い闇を伺うようなそんな異質さが際立ってた。
とまあ、シリーズの旨味を凝縮して進化させたような本作であった。
成体との攻防戦は絶体絶命の連続で息つく暇もない。無重力で回避するとことか、九死に一生って感が凄く強くて良かったわー。
このあたりの描写や設定は監督の持ち味が存分に反映されてるとこでもあるんだろうなぁ。
そして予想はしてたけどエイリアンx人間のハイブリッド…こいつがまた輪をかけて異質で異様。
その前に赤ん坊状態を見せる周到さとか…可愛い→怖いのギャップが技あり!
あの一瞬、全く違う空気になったもの。今までの事が一旦リセットされるような感じかしら。
そこからの揺り返しは、強烈だった。
なんか捕食シーンを初めて見たような気がする。
それも母親を喰ってるわけだから悍ましさMAXだ。
強烈なインパクトで、コイツだけは宇宙の藻屑になってもらわんとエラい事になると、体内アラートが最大出力で鳴り響く。
ラストに至る仕掛けもすこぶる良くて、エンディングで座席に埋まるかと思うほど脱力したのは言うまでもない。
ラストは何作目かで見たような引き際なれど、エイリアンシリーズはコレが正解なんだと思われる。
考えてみたら、全作通してここまで密室を意識した事がなかったように思う。
ほぼ宇宙船内で起こる事なのだけど、今まではソコを意識した事がなかった。
その辺りも演出の妙なのかもしれないなあー。
原点回帰を果たしたような本作。1作目のコンセプトを突き詰めて昇華させたような印象であった。