「レトロ・フューチャー的世界観にクリーチャーとしてのエイリアンの恐ろしさ、そして知略で難局に立ち向かう緊張感など、シリーズの主要な要素を詰め込みつつきっちり楽しませてくれる一作」エイリアン ロムルス yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
レトロ・フューチャー的世界観にクリーチャーとしてのエイリアンの恐ろしさ、そして知略で難局に立ち向かう緊張感など、シリーズの主要な要素を詰め込みつつきっちり楽しませてくれる一作
例えば無音の幕開け、中盤のある展開など、音の使い方が印象的な本作。映像的には、古めかしいモニターやスイッチ類に取り囲まれたコンソール、暗く薄汚れた都市の光景など、リドリー・スコットが提示した未来観に則ったかのようでありながら、どこか独自性を漂わせています。「エイリアン」シリーズの伝統を踏襲しつつも新しい要素を加えて欲しい、というファンの相矛盾した要望にまずは映像的に応答したかのようです。
ほとんどなんの手立てももたずエイリアンの巣窟に入り込んでしまったレイン(ケイリー・スピーニー)らが絶望的な状況に立ち向かっていく様を、クリーチャーとしてのエイリアンの不気味さ、恐ろしさを維持しつつ、戦闘アクションの要素もしっかり盛り込んで見せており、この点でも、特に『エイリアン』(1979)と『エイリアン2』(1986)の良いところを取り込んでいるな、という印象でした。実際のところ、企業の思惑に翻弄される生存者など、共通した要素も多いし。
終始暗部の存在感が大きい映像のため、いくつか登場人物同士の位置関係がつかみにくい場面もありますが、全体的には絶望的な状況に対してきちんとした(映画的)理屈に基づいて対処するという、その緊張感をはらみつつも爽快感がある展開は、シリーズファンも楽しめる内容になっています。
鑑賞にあたって気を付けたいのは、本作は”フェイス・ハガー大フィーチャー映画”となっているという点。そのため、大量のうごめく奴らを捉えた映像が多数!苦手な人には耐えがたい恐怖と嫌悪感を喚起する場面であることは間違いないので、この点については覚悟して鑑賞に臨みましょう……。
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