劇場公開日 2024年9月6日

「待ってたぜ、原点回帰!」エイリアン ロムルス Donguriさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0待ってたぜ、原点回帰!

2024年9月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

 あのエイリアンの恐怖が還ってきた――。
 これは第1作目と2作目の間に入る全く独立した作品。なので1と2を知らなくても大丈夫。
 ただし1を知ってると、細かいところで余計に楽しめる構成になっていて、そこはサービス精神旺盛で嬉しい。

 まずは冒頭、約30分くらいで登場人物たちが紹介され、世界観と状況がスピーディーにうまく紹介される。そのあとは、あのエイリアンの世界へと没入。
 徐々に、な~んかこれはおかしいぞって空気になって行きながらも……より深い密室空間へと進んでいく。
 ここで1を観てる人なら、エイリアンの生態をまるで知らない無知な登場人物たちに「バカ! そこで、そんなことしたら大変なことになるぞ!?」とか「それをやっちゃったら、逆にみんなを危険に巻き込むぞ!?」などと、止めたくなってヤキモキしてしまうだろう。
 そのくらい、観客の恐怖を煽るのがうまいシナリオになっているのだ。
 つまりエイリアンの世界では、人間界で美談とされる「仲間のために」「助ける」「守り抜く」が通用しない。むしろそれがピンチを招く仕掛けにもなっていて、登場人物たちに「キミたちの気持ちはわかるが、もうやめろよ~」と、何度も言いたくなってしまう。

 そして登場人物たちが、エイリアンの生態について学んでいくにつれ、今度は絶望に次ぐ絶望が待ち受ける後半へと突入する。
 ここからは、もうドキドキハラハラしっぱなし。
 エイリアンの生態について知識を得た主人公たちは、エイリアンの狩りから逃れるために「そんな手があったのか!」というイチかバチかの賭けに出る。これは今までのシリーズにはなかった全く新しいアイデアだ。面白い!
 さらに、お約束のタイムリミットも出てきて、もう絶体絶命の大ピンチに、冷静でいられるワケがない。パニックになりそうだ! しかしそれでも生き延びるために必死だから、死ぬかもしれないけど試すしかない。いや、どうせ死ぬんだからダメ元でやるしかないだろ? そういう極限状態に陥った人間の強さが最後の砦として出てくる。ハアハアと、荒い息をつきながら決死の覚悟で自分を奮い立たせる。
 同じだ……。
 あのエイリアン1のときの恐怖と同じだ。
 それが、今の時代に甦った!
 シチュエーション・スリラーと言ったらいいのだろうか、エイリアンに包囲された中からの最高の脱出劇。

 ラストでの某作品を彷彿させるアレも、そして懐かしいあの人も……とにかく最後の最後まで楽しませてくれる。

Donguri