ブリーディング・ラブ はじまりの旅のレビュー・感想・評価
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フィクションという鏡を使って投影された父娘の関係性と絆
本作を観ながら不思議な感覚が身を貫いた。映画に大感動するわけでもなければ、物語として決してまとまりがいいわけでもない。しかし、ユアンとクララというリアルな父娘にとっては生涯忘れることのできない宝物になったはず。観る側は、本作が二人の実人生を反映しつつ、と同時に、事実そのままではないことも理解しておくべきだ。あくまでフィクショナルな役柄だからこそ彼らは(特にユアンは)安心して身を投じ、それでいて共同作業を通じて過去を俯瞰し、関係性を再構築していけた。そんな俳優にしか成しえない、特殊な通過儀礼のかたちがここにはある。それゆえストーリーを単線で観るよりも、制作背景や実人生を視野に入れながら複層的な視点で見つめるのが、本作の充実した楽しみ方と言えるのかも。思いのほか手作り感が強いが、大作映画では観られないユアンの味わいに触れられるのが嬉しい。これまた、娘だからこそ引き出せたとっておきの表情なのだ。
感覚的にかなり好き!!変わってるけど上質。
この映画のテイスト、エピソードの持って行き方、 とても良かった。かなり新鮮で面白い。 エピソード① メキシコへ向かう寂れたハイウェイ。 頻尿で路上でオシッコをするターボ(娘)が、大事な所を虫に刺されて 夜の薬局へ薬探しに父親が奔走する話し。 結局、立ちんぼをしてた女性・トミー(テビン・マクダウェル)に 局部を診てもらい「冷やすといいよ」とアドバイスされる。 トミーはブロードウェイで自身の本を主演する夢を語り、 帰り際に、車のライトの光に、女優が「カーテンコール」でする パフォーマンスを鮮やかにキメる。 儚く美しい・・・多分叶わない・・・から、 エピソード② 氷を取りに行った父親の不在中にスマホを見ていたターボが、父に マイ・LOVE(再婚妻)から電話が来る。 「あなたの勇気に拍手を送るわ」的な事を言われて、 ターボは自分が画家の友人宅へ向かうのではなくて、 リハビリ施設に送られる事を知る。 父親を責めて、モーテルから抜け出したターボは、コンビニ帰りの 男に「ハイになれる所はない?」と聞く。。 男は「今時、知らない男の車に乗る女がいるとはね!!」 と自宅に連れて行く。 妻がいて、コカインをすきっ腹に、やることになった ターボは昏睡して・・・気がつくと路上に捨てられている。 他にも芸が細かい。 裏エピその❶ ダイナーで食欲のない娘は、父の隙を見て、隣のテーブルに 飲み残されたワインを盗み飲みする。 そこに中年の婦警が来て、見咎める。 「身分証を出しなさい」 ターボが10ドル(多分)渡すと、お目溢しになったこと。 (日本の警官では100%あり得ない・・・逮捕されるわ‼️) 裏エピその❷ 父のピックアップトラックがエンストする。 JAFと似て非なるおじさんが来て、知り合いが安く修理する・・・ と、怪しいコミュニティに連れていかれる。 ターボは住人の中年男の部屋に上がり込み、ウイスキーのショットを 2杯、どさくさに紛れて飲む。 父が「未成年だ‼️」と怒鳴ると、 男はビビって「俺も仮釈中なんだよ」 ホントにやばい娘だ。 油断も隙もならない。 ここでユアン・マクレガーの娘のクララ・マクレガーの印象を少し。 最初の妻はフランス人だそうだが、クララさんは 全くユアンに似てない。 背の高いレディ・ガガって感じの濃い系。 (未成年にはどう見ても見えないのだけど・・・。) 有名人を父に持つ高学歴、高身長、美人(好みだけど・・・)おまけに コミニケーションにも秀でていて、プロデューサーで脚本も共同で 書いている。 なんか手放しで誉めれないんだよね。 そりゃ過去に酒やドラッグに溺れた過去が父親にも娘にもあり、 父親は家庭を捨てて、娘も捨てて新しい生活に舵を切った引け目がある。 大好きだったパパに捨てられた娘は、傷つきトラウマに悩まされる。 それが何さ!! 慰謝料も養育費も高額を貰って、酒と薬に溺れた⁉️ 日本のシルグルマザーは養育費ももらえず、年収250万で 子供3人育ててるんだよ。 ぜーんぜん同情できない。 娘に才能があり、美貌もコネも使い放題。 演技も上手い。 メジャーになるだろうな。 良かったじゃん。 《締めの感動エピソード》 パパは娘にトラックのハンドルを握らせて、 「直進するのも、Uターンするのも君の自由」、 そして リハビリ施設のドアをくぐるターボ。 心細くなって、後戻りしてドアを開ける。 見回すとトラックは見えない。 だけどパパは、ちゃんと立っていた。 ターボは見捨てられていなかった。 (少女時代の回想・・・幸せだった思い出が、失ったパパが、 (いつまでも苦しくて、辛いのかも知れない)
娘が
一晩無事だったのは奇跡と言ってもいい。無力なユアン、じっと娘の横顔を見つめる様子は当事者感がにじみ出てる。トレスポからかいも有ったかな? 画は所々キレイな所も有ったが、脈絡なく眠気が。カボチャはどうしたのか、意味の分からないコインの下り。
そろそろの決着
自堕落な暮らし故に、嘗て家族を捨てて家を出て行った父親が、薬物とアルコール依存に陥っている娘を立ち直らせようとするロード・ムービー。 この歳になると、嘗て傷つけてしまった人、今ではとても恥ずかしい冷たい言動、小さな裏切り等、一つ一つがふいに脳裏に浮かんで一人で身悶えしてしまう事がある。そして、そろそろそれらを整理して自分の中で決着付けねばなと思う。特別なひねりはないストレートな物語であるだけに、そんなお年頃のジイサンにはしみる話でした。
親子愛の本質を感じられる良作
ユアン・マクレガーとクララ・マクレガーの親子が、劇中で親子を演じるということが
観るモチベーションになりましたし、宣材の絵づくりも好きだったので、楽しみに鑑賞しました。
基本的にロードムービーなのですが、
親子の現在と過去から、親子の感情の機微や今の関係性が徐々に浮かび上がってくるつくりで
非常に丁寧に綴られていると思いました。
酒・タバコ・ドラッグがやめられず、命を落としそうになった娘ですが、
やめられないんですよね。
それで父親は更生施設に入れようとする、よもやそんな旅とは思わずキレる娘。
しかしながら、父の本当の愛情に気づいた娘は更生施設へ行く。そこで過去のトラウマとも決別する。
実にオーソドックスな話なのですが、
親子を本当の親子が演じていることで、リアリティがありますから、そこがよかったですね。
お気に入りのシーンは、車の中で親子で熱唱するシーンです。ここは気持ちよかった。グッときました。
実はエンディングでも、このふたりが歌唱しているんですよね。だからエンドロールの最後の最後まで観てほしいです。
ここ最近は毒親が出てくる邦画を複数観て、少し心が荒んだので
本作の鑑賞は心が洗われるように気持ちが良い鑑賞後感でした。
ユアン・マクレガー、やっぱかっこいいです!!
扉を開けること
依存症の娘をある場所に連れて行くため、長く疎遠だった父娘が再会し旅する物語。 細かい事は描かれず、それぞれに問題を抱えているらしい2人の道中での色々な人との出会いや軋轢を描いていく。 漠然と、過去に家族を捨てた父と心に問題を抱える娘…というのはわかるが、背景がぼんやりしたまま暫く進むのでモヤッとする序〜中盤。 しかし、旅は道連れを地で行く展開の中、様々なトラブルと共にその過去が明かされていき…。 広大で美しい大地とBGMがとにかく心地よい。 道中で出会う人は皆曲者揃い。それでも衝突の末、2人が出した答え…う〜ん、やはり家族って大変ですよね。 お気に入りキャラは薬局横で出会ったねぇちゃん。「ある意味プロ」は笑いそうになったw しかし彼女も恐らく並大抵の人生ではなさそう。 そんな彼女の舞う別れの場面は、なんか元気をもらえた。 そしてラスト。何気にフロントマンがボソッと言ったセリフが全てを持っていきましたかね(笑) 一度出ていくシーンはグッと来ましたね。 そもそも実の母も御健在のようなのに、何故疎遠な父が来たのがとか色々よくわからんままだが、抽象的ながら美しいロードムービーだった。
微かな希望の光?
娘のヤク中アル中ぶりがあまりにリアルで、行動が破天荒すぎるので
いつ危ない目に遭ってしまうか、またぶっ倒れないかハラハラして怖かった。
よくこの役柄で親子で共演したなと感心。
大好きだった父に小さい頃置いていかれ、今も辛い想いに苛まされている娘。
長年の疎遠で娘のことが分からず、負い目もあり強く諌めることができない、でも助けたい父。
二人とも極めて不器用で、ギクシャクぶりにこちらも落ち着かない。
娘の気持ちも父の気持ちも両方理解はできる一方で
「娘、だからといってそこまでぶっ壊れるか?全部親のせいにしてないか?」
「父、さすがにずっと疎遠なのはひどくないか?あと、娘の前で新しい家族の話題するときは気を遣え」と心でツッコミ。
ロードムービーなだけに様々な人物と出会うが、特に印象的だったのは娘のアソコを売りのお姉さんに見てもらい、その後お姉さんが一瞬自分の夢を映し出してくれる場面。
どん底の状況で魅せてくれた目映さ美しさ。
終盤、リハビリ施設を逃げ出してくる娘が、去らずに残っていてくれた父の姿を認めたシーンには少し泣けた。
ただあまりにも酒漬けクスリ漬けで本当に酷い状態の娘なので、現実的には社会復帰までかなり大変なのでは?
完全ハッピーエンドにはほど遠い。わずかな希望の光が見えただろうか。
アル中娘と父親のロードムービー
ユアン・マクレガー父娘の映画です。 実の親子で、実話らしい。。 友達に、ユアン・マクレガー『トレインスポッティング』『ビック・フィッシュ』が好きな奴がいて、それが頭にあったのか見に行く事になってしまった。 アル中の娘と父親のロードムービー。 娘が小さい時に父親は家を出て行ったりしてて、長らく一緒には暮らしていなかった。 今はその父には新しい家族もいる。 複雑な環境が少しずつ明かされながら、旅が進む。 映画自体は低予算映画というような作りで、なぜこんな映画にユアン・マクレガーが?って思うけど、実の娘が関わっているからなんだろうなと思いながら見ていた。 過去回想シーンなんかは、ちゃちかったし。。 でも、この娘、良かったです。 父の目を盗んで酒を飲む、どうしようもない娘を魅力的に演じていた。 それと、実の娘だからだろう、ユアン・マクレガーの目が終始優しかった。。 私的には、ユアン・マクレガーはオビワンの人。 いまでも昔、仙台東宝の先行レイトショーで見た『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』を思い出す。 まだまだ若くてカッコいいですね。 年齢が気になって調べてみると今53歳、ファントムメナスの頃はまだ20代だったのね。
マクレガー家
新宿ピカデリーで鑑賞 夜回なので空いてました。 ユアンマクレガー出演作てことで見てきました。 クララマクレガーの実体験に基ずくそうですが、 あまり重くなりすぎずに100分でちょうどよい長さ。 私も娘がいますが、そこ責められると 何も言えねえなあと思いつつ。つらい! クララがとても魅力的。今後の出演作に期待。 監督はミュージックビデオ出身だとか いくつかのとても美しいシーンがありました 手持ちビデオと急パンに特徴あり タイトルはレオナルイスの同名曲とのこと
意外な拾い物のロードムービー
ユアン・マクレガーとクララ・マクレガーの実の親娘が、親娘を演じているロードムービー。 途中までは退屈で、「外れ」を見に来てしまったかな、と思った。しかし後半、旅の目的が明らかになるにつれ、次第に惹き込まれる。手がかりを小出しにするところがうまく、ラストシーンが良くて、意外な拾い物。 個性的な顔立ちのクララが、薬物依存でアル中という難しい役を好演。
父と娘の絆再生物語。
まずトラックから見える荒野が2人の間に漂う空気感そのままに荒々しく、時に美しく広がっていて描写がイケてると思った。 幼い時の父との眩しい記憶と、酒ドラッグをやめられない娘の現状とのギャップが痛く、父の存在がずっと頭から離れない娘の葛藤が印象的だった。 レオナ・ルイスの名曲が流れるシーンはまるであの日の2人といった感じですんごく良かった。 元々この曲は好きだったけどこの映画のおかげでより好き度が深まった。 監督と脚本が全員33歳以下の若き才能というところも驚き。 同じ33歳として今年の名作に惜しみなく拍手喝采でした。 1週間に2度観てしまった。また観たい。
アメリカの病みや深い。出口はあるのか?
なさぬ仲の父と娘のロードムービー。依存症の娘を遠く離れた土地のリハビリ施設へ連れて行くのだが、娘には目的地を教える勇気がない父親。自己啓発系のモデルドラマを見せられているよう。アメリカという「メンタルがぶち壊れてる」国にはウケるテーマなのかもしれない。デ・ニーロがノイローゼのマフィアを演じた「アナライズ・ミー」(1999年)を観た時「アメリカは病んでる」と書いたが、状況は悪化しているようだ。父娘ともども酒と薬物に依存の連鎖。酷い状況だが、これを『感動作』ともてはやすアメリカという社会が病んでるとしか思えない。
エンドロールの
ユアンパパとターボクララのデュエットは必聴ですシーバード。 本当の親子だからもうそりゃ上手いとか下手とかじゃないですよね。クララかわいかったなー。可愛いけど野ション何回もやらされて、あれってパパオッケーだったのかしら?
よくある話
再婚して新しい家族ができた父親は
前妻との間の子供(娘20歳)の
薬物・アルコール依存に向き合えるものなのか。
娘(クララマクレガー )と
父(ユアンマクレガー )実の親子共演
見応えはありました。
薬物、アルコール依存になってしまった経緯は
両親の離婚?!
んー。
心の寂しさ、虚しさを薬やお酒に逃げるのは
一般的にあるあるのだけれど、共感ができない。
泣きそうなロードムービー
Tomatoで評論家スコア54%ですが、一般スコア74%です。 若干焦点があいまいなところが評論家受けしなかったんでしょうが、素直に観る一般人にはウケがいいようです。 シナリオが単調でも背景がドンドン変わってゆくロードムービーは秀作が多いですが、この作品はいかにもインディペンデント的な味わいで話が展開してゆきます。 俳優志望の遊女のお姉さんやカボチャをくれた妙な一族のおもてなし等、途中のエピソードも変化豊富ですがカーラジオに合わせて親子で唄うシーンの高揚感が後を引きます。 噛み合わない親子が徐々に無理なく近づいてゆく展開を実に自然に演出しているところに感心しました。
実話じゃないんか
2024年劇場鑑賞171本目。 ユアン・マクレガー親子が親子を演じて、予告を観た感じでは実話だと思って観ていたのですがそうでもなかったようで。調べても娘の情報がないんですよね。でもちゃんと主役の演技はしていました。 アルコール依存症の未成年の娘と、昔捨てた父親のギクシャクを知り合いのアート展に見にいく間の自動車旅で埋めていく話。確かに昔捨てたけど、常識的に今の娘の状態は悪くて、なんとかしたいという父と、お前には言われたくないという娘のやり取りが観ているこっちも困ったなぁという感じでした。
脇役みんな愛おしい作品で、物語の締め方もシンプルだけど美しい
2024.7.11 字幕 MOVIX京都
2023年のアメリカ映画(102分、PG12)
実際に父娘の関係である俳優が諍いのある父娘の関係修復を演じるヒューマンドラマ
監督はエマ・ウェスティンバーグ
脚本はリビー・キャスター
原題は『Bleeding Love』で「あふれる愛」という意味
物語の舞台は、アメリカのニューメキシコ
サンディエゴに住む娘(クララ・マクレガー、幼少期:Devyn McDowell)は、父(ユアン・マクレガー)からいきなりどこかに連れて行かれることになった
父は行き先を友人のところとぼやかすものの、娘をそこに連れて行く必要性があった
娘も反抗的になることもなく、父いついて行くのだが、それには大きな理由があった
映画は、ニューメキシコの一本道をひたすら走っていく映画で、道中でいろんなトラブルがあって、癖の強い人たちと出会っていく様子が描かれる
エンジントラブルによって出会うエルシー(キム・ジマー)は、自分の家に彼らを招待し、彼女の義理の兄エイモス(ウィラード・ランサボーヴ)に車の修理を頼む
そこには甥っ子のキップ(ジェイク・ウィアリー)が登場するのだが、彼は娘が未成年と知らずに酒を飲ませてしまう
娘はアルコール依存症で、過剰摂取によって心肺停止になった過去があった
父は彼女を「危険なところから遠ざける」という言い回しをしていたが、実際にはリハビリ施設に入所させる計画だった
だが、それを言えぬまま時を過ごし、娘は父の再婚相手からそれを聞かされてしまうのである
映画は、マクレガー父娘のリアルが反映されている内容になっていて、おそらくは娘との不和は再婚によるものだと推測される
父と娘には役名がなく、それは「一般的」でありながらもパーソナルという部分があって、いわゆる「本人役」をやっている感覚に近いのだろう
別の名前を使うと他人の話になるし、実名を使うと実話なのかと誤解をされてしまうので、このキャスト名になったのは英断なのだろうと思った
物語は、わかっているけど言葉にできない愛情を描いていて、二人の関係修復がメインになっている
それぞれが娘の幼少期の思い出を想起する流れになっていて、それが二人の共通した「戻りたい時間」なんだろうと思う
だが、そこに戻ることはできず、今の時間軸を生きていく中で、二人は大人にならなければならない
そう言った意味において、次の一歩を踏み出すための旅だったのかな、と感じた
いずれにせよ、普遍的な親子の物語で、ロードムービーとしても個性的な面々が登場するので面白い
ブロードウェイを目指す売春婦トミー(ベラ・バルダー)が車のライトで踊るシーンも良いし、レッカー屋エルシーの「ここから先は誰とも目を合わせるな」からの満面の笑みも最高だった
ショップ店員(フィッチャー・クナップ)のキャラからして濃く、氷を掬っているだけのモーテルの客(J・ネイサン・シモンズ)たちも妙な存在感があるので、どこから見ても楽しめる映画だったのではないだろうか
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