「素材負けかなあ。もったいない」ボストン1947 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
素材負けかなあ。もったいない
孫基禎(ソン・ギジョン)と南昇竜(ナム・スンニョン)は有名な人で僕も知ってたが、徐潤福(ソ・ユンボク)という人は初耳だった。カン・ジェギュ監督は、昔『炎のランナー』を観て感動し、いつか自分もマラソンの映画を撮りたいと思っていたところに監督の依頼が来たとのこと。
ストーリー自体はスポーツものとして定番と言えば定番の展開で、事実がそうだから仕方がないのかもしれないが意外性はあまり無い。この手の実話映画にはよくあることだが史実とは変えたところも多少あるようで、その辺は韓国本国でも批判された部分があるようだ。それはともかくとして脚本や演出の問題なのか、やや展開にあざとさが感じられてしまうのがちょっと残念。ソン・ギジョンとナム・スンニョンの対照的な性格設定もどこまでが事実通りなのか、あるいは映画的にやや誇張されてるような気がしないでもない。あと僕の感じすぎかもしれないが、映像やセットの感じがなんだかちょっと安っぽいように感じた。色合いも過剰にセピア色っぽく感じたんだが……気のせいだろうか?
うーん、期待したほどではなかったかな。悪くはないけれどすごく良いわけでもなく、まあまあ良かったという程度の出来。韓国本国でもあまりヒットしなかったらしく、題材がちょっと地味すぎたのかもしれませんね。
ちなみに映画では描かれてないが、徐潤福は翌1948年ロンドン五輪では本領を発揮できず27位に終わり、1949年に引退。当時の五輪はアマチュアなんで生活が成り立たないこともあって選手はわりと早く引退していたようだ。なお1948年に韓国(と北朝鮮)は独立し、1950年には朝鮮戦争が勃発する。