シビル・ウォー アメリカ最後の日のレビュー・感想・評価
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どんな武器よりも怖い人間
公開当時から話題となっていた本作だが、各国の緊張状態が高まる今でこそ観るべき作品では無いかと思う。SFスリラーと評される本作だが、その辺のスリラーよりもよっぽど怖い作品だ。正直、「パージ」の比ではない。アメリカで内戦が起こった理由は僅かしか語られず、既に紛争が起きている所からスタートするのだが、いきなり戦場に放り込まれた様に思えるほどの臨場感と恐怖感を感じる事が出来る、凄まじい映画体験を味わえる作品だった。だが、手に汗握る銃撃戦を中心に描くいかにも"アメリカ映画"の視点ではなく、戦場カメラマンの目線で進む物語である為、常に遠くで銃撃音が響く中、破壊された家屋や日常を奪われて避難民として生活する人々らを映しながら戦闘の最前線を目指すという物語であるのが大きなポイントである。数々の作品でアメリカ人の団結力と力を見せつける事が多い中、アメリカ人同士で殺し合うという極めて挑戦的な内容である。中でも、赤サングラスの男が登場するシーンの恐怖感はトラウマ級である。その際の台詞である、「真のアメリカ人」というワードが非常に意味深だ。まさに、これが「真のアメリカ」像なのかもしれない。移民問題や、黒人差別等の話題が取り沙汰されるそれらを表したシーンである。香港出身の記者が"アジア人"というだけで即射殺されるのもアジア差別の象徴であり、撃った張本人の赤サングラス男はまさしく白人だ。アメリカに根付く白人至上主義は、本当にアメリカで内戦が起きた際には間違いなくそれが第一の考えになってしまうはずだ。本編の中では短い一幕だが、兵士が持つアサルトライフルよりも人間の怖さが際立つ身の毛のよだつシーンだ。
普通に全体を鑑賞する楽しさもあるが、本作は様々な受け取り方が出来る作品だ。カメラマン目線のロードムービーという見方も出来れば、若手カメラマンの成長物語でもある。徹底的なリアリティある描写の数々の為、どちらかに注目し直して観ても違った楽しみ方が出来るかも知れない。「アナイアレイション-全滅領域-」や「MEN 同じ顔の男たち」などの難解な作品を生み出したアレックス・ガーランド監督の新たな武器となりそうな新ジャンルだ。アメリカ映画の新たな側面が楽しみになって来た。
リアリティのある架空の
アメリカで内戦が勃発した世界を取材するジャーナリストたちの姿を描いた作品。
この映画を観て、改めて感じたのは自分が知っている戦争というのは、ほんの一部でしかないという事でした。
戦争は、片方から見れば、敵で
もう片方から見ても敵になります。
そのどちらでもないジャーナリストは、どちらの味方になるのか?
テレビで報道される戦争は、まさにジャーナリストの取材のおかげでもある。
目の前でどんどん当たり前のように人が死んでいく世界の中でとても平然としていられるわけではない。
「死」というのがこれほども身近にあるのに、目の前で起きる「死」は、やはり特別なものである。
日常のように起きる「死」が当たり前になってしまうとそこには、何も感じない自分がいるだけになるだろ。
この中で登場するジャーナリストも途中で仲間が殺されてしまう時には、とても憤慨していた。
最後のシーンは、【死】においやってしまった後悔とそれでも記録として残し続けるという固い意志の狭間で動き続けていたのかもしれない。
戦争がこれほどまでに残酷なんだと知りました。
簡単に「死」が起きてしまうからこそ、もっと命を大事しなければならない。
誰かの【死】をあざ笑ほどに生きてしまってはいけない。
自分にとっての特別を失ってしまっては、いけない。
現実では起きてないからこその映画かもしれない。
実際に起こる可能性もあると考えたら、とても怖い現実がそこにあるんだなと思いました。
なんなんだ、これ?
2024 99本目(劇場15作目)
リアルな寓話に脱帽
CMはミスリードする
内戦してんのに平和なシーンのが目立つ
息ができないリアル
西と東が戦う戦争アクション、かと思ってたらそれを追う戦場カメラマンが主役の物語だった。銃撃戦の間に挟まれるモノクロ写真が緊迫感を増す。
そして現代アメリカの戦争、がとてつもなくリアル。
大統領選と合わせてきたのだろうか。この人たち、きっかけさえあれば今すぐにでもこうなるんじゃ?と思わせる。田舎の農場で働いてる人たちは何もなかったふりをしている、というのもきっとそのままに。道中通る街では、別に西でも東でもなく、殺されるから殺しているという状況になるのも。気に入らなかったやつをただリンチする人たちも。綺麗な庭の裕福な人が住んでそうな街や、平和そうな街でも狙撃手が潜んでいる、のもきっと。アメリカ人でもwhat kind?と聞かれて殺す対象になるし、外国人なら尚更。最後ホワイトハウスへの攻撃すら、前回選挙で見たよなーと。。
FallやTwistersに続き、なぜ敢えて無謀な危険に飛び込む?という私の嫌いな設定だがこれはまあ最初から死を覚悟してリスクを楽しむ人の職業だからある意味死んでもきっと本望、とわりきれた。最初の方はやたらポップな音楽とともに人が死んでたし。しかし後半でより銃撃戦が激しくなってきたあたりから、心臓のバクバク音が止まらなくなる。きっとBGMとかでも誘導されてたんだろう。
なんで銃撃の一番最前線に報道陣を受け入れてるのかは謎、邪魔でしょうがないだろうに、いちいち下がってろ、とか言いつつも同行させる。自分たちのやっていることを記録してもらいたい虚栄心があるからなのか。それとも報道に対する受け入れ体制が既に今でも違うのか。
クレジットで映される、死体を囲む勝利記念写真、これまた戦争のリアル。目的を達したことへの喜びだけが勝つことへの皮肉。
私にはただアメリカ人のリアル、にしか見えなかったが現地では少なくとも何かの警鐘になっていることを願いたい。。
プロのカメラマンの解説youtubeも見て!
「Walking Dead」より、はるかにリアルな「Civil War」 この作品が本当に伝えたい事とは?
大衆の信頼を失ったジャーナリズムへの痛烈な警鐘
「私は合衆国大統領の職務を忠実に遂行し、全力を尽して合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」
民主主義国家、アメリカ合衆国大統領就任宣誓は2025年1月20日第47代アメリカ合衆国大統領によって行われる。
この映画が公開された頃の日本の報道と言えば、いずれも共和党トランプ大統領の勝利を望んでいないのは明らかだった。
それは、「世界のリーダーであるべき米国の大統領が、先制主義的な思想・発言をするのは不適切」という理想論からだ。
しかし、いざ大統領選挙の蓋を開けてみたらどうだろうか?
トランプは圧勝した。民主主義国家アメリカ合衆国国民が選択した民意。
しかし、この現実を未だに日本人は受け入れていない様に思える。
実に危険だ。
2016年5月27日、オバマ米大統領は、現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花した。
あの頃の報道は「トランプは大統領戦に勝てない、イギリスのEU離脱は回避される」
そんな希望的観測はあっさり覆された。
2017年1月20第一期トランプ政権発足〜2021年1月20日(2021年1月6日連邦議会議事堂襲撃事件)
2020年1月31日イギリスEU離脱
2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻した。
ロシアも当初はすぐにウクライナを占領できると高を括っていたのは明白だが、その後の「ロシアの弾薬は尽きる」「西側が負ける訳が無い」という連日の大本営発表も結局のところなんの信憑性も無く現在に至っている。
そして、予想もしていなかったイスラエルのガザ侵攻。
日本人から見れば、何故そんな事をするのか?何故争いあうのか?
容易には想像もできない事が現実に起こり、身近な脅威では無いものの間接的には大きな影響を受けている。
そんな“現実”を今一度考えてみると、「Civil War」が決して絵空事では無い気がしてくる。
実際アメリカの分断は既に起こっている、その分断を肌で感じはしないがアメリカ合衆国の国民はどう感じているのだろうか?
海の向こうの事を知る方法は色々あるだろうが、やはり一定のフィルターがかかっている気がしてならない。
オックスフォード大の研究では、民主主義を享受する世界の人口は2017年の50%を頂点に3割を切ったという。
日本人が思ってるほど世界は“民主主義”では無いという事実、一体どれほどの日本人がピンときているのだろうか?
実際、多くの日本人は「Civil War=南北戦争」が歴史上起こった事実という事を肌感覚では理解していないだろう。
それは“核”というものの脅威を、日本人では無い国民が“肌感覚として”感じていない事と同じかもしれない。
2025年1月20日トランプ政権は間違い無く発足する。
その先にあるのは日本人が望む様な未来だろうか?ウクライナのゆくえは?
すぐそこにある未来は・・・?
そもそも、あれだけ連日報じていたウクライナの報道は、一体どこへ行ったんだ?
アメリカは世界で3番目に大きな国土、経済は飛び抜けて間違いなく世界最大の国家。
そんな国の大統領が再びトランプになったという現実。
ドジャース対ヤンキース戦はスポーツの世界だけの話だが、この作品の様に米国内の分断が深刻な事態にならないとは言い切れない。
そんな、ありえない最悪の出来事。
「Walking Dead」より、はるかにリアルな「Civil War」
民主主義が“正義”だとするならば
人類にとっての「Civil War」=“内戦”は、もう既に始まっている。
そして
この作品が一番伝えたい事は、信頼を失ったメディアへの警鐘であり
「レンズ越しに“内戦”に目を向けるだけの“レポーター=報告者”になってはいけない」という事だ。
かつてメディアは良い意味でも悪い意味でも大きな情報の発信力・影響力を持っていた。しかし、今は一人のインフルエンサーの発信力が物量としてメディアを圧倒的に凌駕している。
トランプの存在を認めようとしない“日本人”、そして大衆に情報を伝える事を生業とするメディア・報道に関わる全ての関係者は、この作品を一度は見るべきだ。SNSは勿論の事、生成AIが与える影響力はまだまだ序の口、その本性を現しているとは思えない。
その本性を現した時には
「この吐き気をもよおす「Civil War」の“画”が、決してスクリーンの中だけの話しではない」という事を知る事になるかもしれない。
A24らしく、センセーショナルな題材でコスパよくそこそこの出来
意図は伝わらないダダ見映画
ペンは剣より強し
内乱に陥ったアメリカの最前線を取材するジャーナリストたちの物語
この手の映画って正義の反政府軍のエースからみた戦いの物語の構図になりそうだけれど、ジャーナリスト目線ってのが独特(フルメタルジャケットの後半、サルバドルはるかな日々が近いかな)
ジャーナリストが負け行く政府軍に大統領の最期を納めるべくワシントンDCを目指し様々な狂気を目撃しつつ移動する・・・フランシスコッポラの「地獄の黙示録」に通じるモノがあるなと感じた。
ラスト、辛い現実を何度も見て限界が来たリーがジェシーをかばって命を落とすも狂ったように写真を撮り続けるジェシー・・・映画の冒頭にリーが言った「自問自答を始めたらきりがない、だから質問はせずに記録に徹する。それが報道」の言葉はこの展開を隠喩していたのだろうか。
最期に、この映画で最も印象深かった登場人物の赤いサングラスをした軍人は南北戦争(シビルウォーと米国で呼ばれる)後に生まれた人種差別組織KKK、今日でもある人種差別や意見の違う人間を徹底的に排除するような思想家を擬人化したものでないかと思う
アメリカの分断を描いてるんとちゃんかーい
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