ロイヤルホテルのレビュー・感想・評価
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元になったドキュメンタリーの予告編に2度びっくり
オーストラリア出身のキティ・グリーン監督が長編劇映画デビュー作「アシスタント」に続き、ジュリア・ガーナーと組んでハラスメントを題材にした社会派スリラー。セクハラ、モラハラを受け続ける主人公に同化して観客もじわじわ心を削られる感覚は「アシスタント」に通じるが、身勝手な親友に巻き込まれていく経緯は昨年日本公開の「FALL フォール」、主人公らが悪夢のような場所にのこのこ乗り込んでいくのはイーライ・ロス監督のホラー「ホステル」を思い出した。
グリーン監督は2016年のドキュメンタリー映画「Hotel Coolgardie」に着想を得て、オーストラリアの寂れたパブで働くことになった外国人女性たちが店主や男性客らから延々とハラスメントを浴び続ける数日間のストーリーを劇映画化した。本作の鑑賞後、元のドキュメンタリーに興味を持ってYouTubeで予告編を観たのだが、この若い男は彼、この中年女性は彼女といった具合に、劇映画の登場人物のモデルにしたであろう似た外見の客たちが何人も映っていてびっくり。さらに驚かされるのは、ドキュメンタリーのカメラを向けられているのを知りながら、客たちが悪びれもせず(むしろ得意げに)セクハラ言動を女性店員たちに浴びせていること。それも何十年も昔のことではなく、たかだか10年ほど前にカメラの前で堂々と行われていたことに驚愕する。オーストラリアの良識ある人たちもさぞ驚き、恥じ入ったのではなかろうか。この「Hotel Coolgardie」、米アマゾンのPrime Videoでは配信しているようだが、日本でも視聴できるようにしてほしい。
また、英語メディアのレビューで知ったのだが、1971年のオーストラリア映画「Wake in Fright」(日本では「荒野の千鳥足」の邦題で2014年に劇場公開)に設定が少し似ているそう。やはり予告編を見たらなかなか面白そうで、こちらもいつか観てみたい。
うんざり感も度を超すと恐怖に変わることを実感できる一作
『アシスタント』(2022)でハラスメント被害者が報われない現実を容赦なく描いたキティ・グリーン監督の最新作なので、爽快感はあまり期待しないほうがいいのかな、と予想していたらほんとにその通りだった、という作品でした。
バックパック旅行中の二人(ジュリア・ガーナーとジェシカ・ヘンウィック)が、アルバイト先の安パブで、排他的な地元住民の標的にされる…、という展開からは、いわゆる「田舎ホラー」や『理想郷』(2022)のような新規対地元のバチバチの対立といった物語を想像してしまうんだけど、二人が遭遇するのは言葉での嫌がらせやつきまといなど、日常生活でもありそうないやがらせ、無遠慮なふるまいの数々。一つひとつは現実にも起こりがちな小さな悪意の発露であっても、ここまで立て続けに、かつえぐいと、うんざり感以上にホラー味を帯びてきます。しかも彼女らにつきまという側は、ハラスメントをしているという意識皆無などころか、全く普通の言動をしているつもり、何ならむしろいいことをしている風に考えてる節もあるところがまた腹立たしい…。
打ちのめされ、ここから離れたいと訴えるハンナ(ジュリア・ガーナー)をなだめて、むしろ安パブの雰囲気に溶け込みつつあるように見えるリブ(ジェシカ・ヘンウィック)の真意が垣間見える場面は一つのクライマックスになっていて、痛切です。
ポスターの「私の我慢は、限界を超えた。」という言葉は、作品の表現として間違ってはいないんだけど、この言葉から連想するような、ムカつくやつらをボコボコにしてすっきりー!な展開を期待すると、一層わだかまりが増すかも。旅行は計画的に、という警句が痛いほど実感できるかもな作品です。
なんかどうでも良い話
カナダからオーストラリアに旅に来ていたハンナとリブは旅行中にお金に困り、古いパブ・ロイヤルホテルに住み込みでバーテンダーとして働くことになった。しかし、飲んだくれの店長や粗暴な客たちによるパワハラやセクハラ、女性差別という現実だった。楽観的なリブは慣れていったが、真面目なハンナはそれらが許せず、孤立し、精神的に追い込まれ・・・さてどうなる、という話。
なんかどうでも良いなぁ、と冷めた目で観てた。
あそこまで目くじら立てる必要もないし、強制的に何かやらされた、というほどでもないような。
最後は、あんなので良いの?と思ったし。
ハンナかリブにもう少し魅力が有れば違ったのかもしれないが、そんな感情も沸かず、退屈だった。
ミソジニーのグロテスクさ
嫌なら最初からそう言えばいい、の難しさ。一見まだマシそうな男も結局は同じ。その上、友人までえ、そっち側?笑えないんですけど〜という。最初に感じた嫌な予感には従った方が良い。映画として良いラストだが、強さを身につけないと生きていけないのは哀しいよ。
【パワハラ、セクハラが普通のパブのあるホテルにワーキングホリデーに行った二人の若き女性が経験した事。ラストはスカッとするなあ!】
■オーストラリアの旅を満喫していたバックパッカーのハンナ(ジュリア・ガーナー)と、リブ(ジェシカ・ヘンウィック)。
資金が尽きたため、砂漠の炭坑の町のパブへワーキングホリデーに向かったが、彼女達を待ち受けていたのは、物凄いパワハラ、セクハラ、ストーカー行為だった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・二人を待ち受けていたトンデモナイ男達の数々に呆れ果てる。
・ロイヤルホテルの主ビリーは、自らも酒をかっくらい、借金塗れ。序でに彼女達への最初の挨拶は“メス犬”である・・。
・パブにはドリー達、女性を喜ばせようとしつつも、とんでもない下品なセクハラ発言を平気でする炭坑で働く男ばっかり。
あれじゃあ、嫌になるよね。
・ハンナを演じたジュリア・ガーナーは「アシスタント」でも、パワハラに晒される女性を演じていたなあ、と思ったら監督も同じだった。
・パブの男達が不気味何だか、ユーモラス何だか分からない、何とも言えないだらしなさである。
女性のいない職場の男達にして見れば、ハンナとリブにちょっかいを掛けたくなる気は、分からない事も無いが、”流石にあれは遣り過ぎだろう!”と思うシーンが連続である。
<ラストのハンナとキティの行った事は、犯罪ではあるが大いに支持したくなってしまった作品である。
フライヤーには、この作品がノルウエーのバックパッカー女性二人が経験した事を基に制作されたとあるが、その事にもビックリである。>
<2024年9月8日 刈谷日劇にて鑑賞>
酒のせいとは言わせない
終始クソ客の振る舞いを見せられていた。
自身が下戸なのもあって、酒で高揚したり、まして暴れたりする気持ちは理解できない。
アルコールで変になったとか、いや本性が出ただけだとか言われるけど、個人的にはどっちでもいい。
やったこと、結果がすべてだ。
普段は良い面があったり面白い人間だったとしても、“そういう事”をする人間でもある。
人を判断する基準はその総合でしかないし、マイナスが大きければ付き合いきれないよ。
客と店員の立場とか、仕事を放り出せないとかは理解できるが、まともに働ける店じゃない。
「給金がいい」と言われていたが、商売として成り立ってるのか?
店主不在でわざわざ店を開けた理由が分からないし、最後の電話も何だったのだろう。
性差別やらハラスメントといった社会問題の話かと思えば、単に度が過ぎた酔っぱらいの話。
スリラーというよりただの胸糞だし、週末の繁華街の拡大版でしかない。
画面が暗すぎる上に面白味もないから眠くなる。
ラストカットは良かったが、なんだかイライラするだけの作品だった。
ぼくは進歩できているか
カナダからオーストラリアに旅行に来た二人の女性がお金が無くなって働く事になったのは荒野の採掘場の酒場。高圧的な店主とマッチョな男性客達から女性であるが故に蒙る様々な抑圧というお話です。
「酒場の女なんだからそれ位サービスするのは当たり前だろ」
「冗談だよ。チェッ、洒落の分からない女だな」
本作中でのこうした場面は、古今東西の映画でも酒場風景として繰り返し描かれてきたのではないでしょうか。いや、今の日本にだって現実にあるに違いありません。でも、それを女性視点で女性監督が撮ると、こんなにも心を抉られる映像になるのです。男性の僕の眼から見ても目を背けたくなります。しかし、こうして見せて貰わねば気付く事が出来ないほどに僕自身も男社会の中でのうのうと生きて来たと言う事なのです。そういう意味では、映画を通じて僕も世界も少しずつでも進歩しているのでしょうか。
そして驚くのは、これが現実にあった出来事で、それをドキュメンタリーとして撮った作品が原作となっているという点です。やっぱり、世界は中々進歩できないのでしょうか。
Kantでもcan'tでもない
ラーメン食ったら財布がないことに気づいて皿洗いで金を稼ぐ系の話で(そんなジャンルはないが)、展開はホラー映画そのもの。女性2人組が閉鎖的なド田舎に来て、ドセクハラを浴びせられながら徐々に身の危険が増していく。剥き出しの男のリビドーを見せつけられるのは同性としてもキツいし、先客の英国人が店のカウンターに上がるジュリアナ東京感には恥ずかしさを覚えた。
一方、最初の船上ではハンナの方が奔放と思わせつつ、リブには過去に起因する?どこか捨て鉢なアテにならなさがあって、そこが男どものつけ入る隙ともなっている。そもそもカナダの都会から来た彼女たちには豪州や田舎への偏見があるようで、アボリジニの野菜売りが白人男たちに差別されていることで、そんな意識が逆に照射されているようだった。
40年も前のスバル・レオーネワゴンがいまだ現役だったのはスバル車好きとしてはうれしいけど、まさかのエージェント・スミスが中年太りしてこんな僻地で落ちぶれていたとは…。
欲望ダダ漏れの酔っぱらいたちを見るのがツラい
酔うと人が変わる人は飲みの席で嫌われる。とにかく面倒くさいから当然だ。女性に対して口説いたりセクハラまがいのことをする男性は特に嫌われる。今後の付き合いを考えてしまうほどに。そして欧米の男の飲み方も個人的には少々面倒くさい印象だ。飲む量がハンパじゃないし、周りを巻き込んでいく感じもあまり好きではない。
だから、本作に登場する酔っ払いたちは相当に嫌な存在。下品なジョークでからかって、あわよくばヤリたいって欲望がダダ漏れしてる。絶対に一緒に飲みたくない。そんな客たちを相手にカナダからの旅行者であるハンナとリブがどう立ち回るのかってことが見どころ。でも、そもそもあの下品なジョークに付き合わなければならないってだけで地獄のような店だ。あぁ、でも日本のキャバクラやスナックでも程度は違えど似たようなことは行われている。あの土地だからということではない。世界共通のことなんだろう。女性の気持ちは本当にはわからないが、ヤリたい気持ちがダダ漏れの酔っぱらいに絡まれるウザさったら相当にキツい気がする。男の私がそんな印象を持ったくらいだから、この映画の目的は果たしていると言える。相当に気持ち悪かった。
でも、2人の態度はどうなんだろう。そもそもリブは自分のせいで遠くまで来て働かなきゃいけなくなったことを気にしていないし、酔っ払いたちの態度にも、盛り上がるの大好き!とばかりに寛容だったりする。一方、ハンナは少し常識的だと思っていたが、徐々に慣れてきたら危ないところまで許したりする。でも、ふと思い出す。そういえば序盤に見知らぬ男とキスしてたのはハンナだったな。堅物に見せてたけど、騙されるところだった!
ホラー的な要素も少しあったが、そこは緩めの解決で終わる。思い返せば、あの店閉めたわけじゃないから!ただの犯罪行為だろ!と思うものの、2人の意外な行動で幕切れするのはなかなか爽快だった。不思議な映画だ。
若者馬鹿者余所者
は世界を変えると言われる
だけども、郷の業が劣悪だと燃え上がる。
それが本作そのものなのかもしれない。
ちなみに、僕はこの映画を観て
いくら釜ヶ崎、三屋、黄金町でもこんなことは起こらんで
と心の中で突っ込んでいたが
と同時に昨今のインバウンド増加を見るにつけ
時間の問題かなぁ?と思ったのも事実で有ることを
付け加えておこうと思う。
世界は日本的価値観では動いておらず。
教育とはなんぞ?な世界で有るのだから◎
Titanium
コロナを発症してしまい、外出制限が解除されてからの行きたかった映画館へ。
まだコロナの症状があるため、眠気を誘う成分が含有されている鼻と喉の薬を鑑賞するまでに服用していたということもあり、序盤は見れたが途中から無意識のうちにウトウトしてしまった。
旅行先のオーストラリアで金欠になり、住み込みで働かざるを得なくなったハンナとリブは紹介してもらったロイヤルホテルという名のパブで働くことになるが、そこで待っていたのは地獄…。
バスが殆ど走らない、車がなければ生活できないような砂漠の僻地だ。
ロイヤルホテルのオーナーも、常連の客も、自分達の地域では当たり前や常識だと思っていることや、話しても問題にはならないだろうという、世間一般の常識が通用しないガラパゴスと化しているために、ハンナやリブがこのセリフはセクハラだ、パワハラだ、モラハラ、カスハラなど罪の意識がないから言えるのだろう。
都会と田舎とでは、こんなにも価値観の違いがあるということを描いているなあというのも、今の世の中が過敏に反応し過ぎるのだろうか。
今迄の社会では黙殺していたが、ストレスのない社会を築いていく上で許さないとなった社会の変化についていけてないだけなのかもしれない。
なんだか良く分からない
もっとメッセージ性のある映画なのかと思って観たがそうでもなかった。
考え方が古いのか、そんなところで働いたらそりゃそうなるだろうって話。現代社会でハラスメントが叫ばれる世の中であるが、世界中に浸透している訳でもなく、そこで働くなら仕方ないって話なのでは。綺麗事で世の中成り立つのであれば、戦争、紛争は起きない。
見終わった後に何が言いたいのか良く分からない映画だった。
邪悪な居住者モノじゃない。
『モーテル』とか『ホステル』みたいなゴリッゴリのスリラーかと思ってたら、だいぶ違った(笑)
今に何かが起きるだろう、絶対的な恐怖に見舞われるだろうと、今か今かと期待しながら観てたのに、
なかなか期待するものが出てこずに、焦らされて焦らされてモヤモヤ状態、欲求不満(笑)
最後、終わり方は良かった♪
主演のジュリアン・ガーナーは『アシスタント』の時と違って快活な感じで、演技も上手く良かったです。
ジェシカ・ヘンウィックも『マトリックス レザレクションズ』や『グレイマン』の時とは全然に違ってて、終わるまで気が付かなかった(笑)
『わたしは最悪。』で、若い恋人アイヴィンを演じたハーバート・ノードラムもチョイ役で出てますよ。
前作「アシスタント」ほどでは無いが、「自分があの場にいたら?」と何度も自問自答させられる作品
作品自体のメッセージ性は前作「アシスタント」の方が上なのは正直な感想。
前作の方が「分かりにくい」分、アウト/セーフか考えながら、観客の感性を(良い意味で)「試されてる」気がした。
それに比べると本作は分かりやすい。
分かりやすいは言い過ぎか。
「画」として「動き」があるので「直接的」というべきかな。
舞台はへき地のパブで物理的に「逃げ場がない」がこれは「逃げ場がない状況全般」のメタファーだろう。
「給料不払いの恐れ」も同様。
誰しもそうした「逃げ場がない状況」に追い込まれるコトあるよね、と。
そうした中、どう対応するか、は主人公2人で正反対。
相棒のリヴが間違いで、主人公のハンナが正しい、とは言い切れない。
見た目ゴツいが紳士的な客もいるが、その客にしても安易な「正義漢」にはしない。
「正義漢」と「クソ野郎」の差は紙一重、という意味だろうか、
とにかく、「分かりやすさ」「エンタメ感」「万人受け」という面では前作「アシスタント」より上だが、
作品としてのメッセージ性は前作の方が上、優れていたと思う。
面白いです
え 何これ 面白い!
あらすじだけ読んで劇場へ、つまんなかったらどうしよう
って観たらめちゃすごい。シーンの作り方がじょうず
田舎の場末のパブシーンの店内のノリとか、抜かりなく演出されててすごい
多くのシーンがパブ店内での出来事だけど
飽きさせずにしっかり見せる
男たちのアウトなのかセーフなのか、グレーな接触の描写、描くのうまいなー
全員クソ男だけど、芝居はみんないい。だってほんとに居そうだよ、全員
あと結婚記念日祝う夫婦の妻役とか、リアルすぎて現地の人にしか見えなかったわ
ラストになるにつれて妙なSEとか入ってホラーテイストになってくのだけは
よくわからなかったけど、、、
いやあすごい監督だ
夜、男が近くにいるだけでこわばってしまう女性の気持ちなんて
おとこどもには想像もつかないだろうね
おー、コワ
オーストラリアの荒野にぽつんとあるロイヤルホテルというバーで、ワーホリで働いた二人の女性が、セクハラ、パワハラ、カスハラなど散々な目に会う話。
ドキュメンタリーのリメイクとのこと。文明国と言えど、辺鄙なところでは怖いのだなあと、二人の運命が気になって見入ってしまった。ラストはスッキリ。
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