「 汎用ノートパソコン1台と同機能の演算処理を満たすためには、体育館...」フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
汎用ノートパソコン1台と同機能の演算処理を満たすためには、体育館...
汎用ノートパソコン1台と同機能の演算処理を満たすためには、体育館サイズの電子機器群になってしまう時代の話。その時代に人は月に行って帰って来られたのに、現在は宇宙ステーションを行ったり来たりがせいぜい。この現実は時間を追うごとに「人類は月に行っていない」疑惑を濃くしていくことでしょう。遥か昔に「カプリコン1」という映画(こちらは火星疑惑)があって、同じ疑惑解明サスペンス映画かと観に行けば、ユーモア交じったラブストーリーな映画でした。
テーマは「ウソも方便」…かな?。ウソ=ケリー(スカーレット・ヨハンソン)、リアル=コール(チャニング・テイタム)になぞらえての物語は、出会った当初はぶつかり合うものの、やがて互いをサポートし、愛し合う流れ。「人生どっちかだけじゃなくて、どっちもあった方がうまく行く」であり、二人で飛行機に乗るシーンで「ウソもリアルも信じることが肝要」と温かく締めくくられた気がします。
私は「人類は月に行っていない」派ですが(笑)、あれからもう半世紀以上が過ぎました。NASAも協力したであろうこの映画を通して、米国は「あの時はウソついてごめんチャイ」と発信し始めている気がします。同時にウソで締めくくることとなったアポロ計画の犠牲者たちに深い哀悼と反省を示しています。そんなこんなで、もはや目くじら立てることもなく、我々は「ああ、もうどっちでもいいよ」と言ってあげる時期にきているのかもしれません。
当初の期待とは違いましたけど、ケリーもコールも魅力的で素敵な映画でした。一方でモー(ウディ・ハレルソン)の行動を裏読みし、本来なら予測される事象を想像しながら観ると、当時の闇も感じ取れるのではないかと思います。