「観ていて楽しいレアネタ満載の人物伝」アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
観ていて楽しいレアネタ満載の人物伝
ドナルド・トランプが2期目のアメリカ大統領に就任する直前(日本では)、彼の知られざる成功物語の裏側を描いた映画が公開された。不動産王として名を馳せた父親の陰にまだ隠れていた若きトランプが、ニューヨークの高級レストランで何かと黒い噂が絶えない弁護士のロイ・コーンと出会い、コーンに言われるがまま、常に攻撃し、非を認めず、勝利を主張せよ、という、今に繋がる3原則を守って不動産業界で一気にのし上がっていく。
成功者にはいつもアドバイザーがいるというのはよく聞く話だ。しかし、この映画が面白いのは、日本やアラブマネーにニューヨークが買い占められようとしていた1980年代、当時のアメリカ大統領、ドナルド・レーガンがぶち上げた"アメリカをもう一度偉大に"というキャッチフレーズを借用したトランプが、時代のうねりに乗って成功への階段を上り詰めていくところ。ドナルド・トランプとはアメリカ的民主主義と資本主義が生み出した怪物なのだと、改めて確信した。
詳細は控えるがトランプのプライバシーに関するあれこれも随所に散りばめて、すべてを鵜呑みにするのは危険だが、観ていて楽しいレアネタ満載の実録物語。トランプ自身は映画の内容に抗議しているらしいが、決してネガティブキャンペーンにはなっていないと思う。
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