「悪ノリと 閃き気質のデザイナーの顛末」ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
悪ノリと 閃き気質のデザイナーの顛末
彼のデザインの系譜を楽しめて良かったです。
Diorのヴィンテージをネットショッピングすると、「エティ期」「ガリアーノ期」とタグが付いていますよね。
ガリアーノは古着のTシャツを持っていますし、“騒動”のニュースも聞いていました。
メゾン・ディオールが、ユダヤ人をヘイトした彼を追放したのは当然でしょう。
あれは世論や情勢に配慮してブランドの自己防衛=トカゲの尻尾切り=をしたのではありません。
ディオールは、実は筋金入りです。
ムッシュ・ディオールの妹は、大戦中にあのヒトラーに抵抗するパルチザンとしてナチスドイツに捕らえられている。そして、収容所から生還してきた。その人なのです。
妹を記念してあのピンクの香水は「ミスディオール」と名付けられました。
ガリアーノの場合、歴史、ことにヨーロッパの近代史をお勉強して来なかった=どこにでも居る現代っ子が、自分の不勉強のしっぺ返しを受けたのです。
しかし、
我が国 日本ではどうか。
「Yahooニュースサイト」のコメントを見ると、中国や韓国への、驚きの罵詈雑言。そして脅迫と排斥の「ヘイト発言」がまかり通っていて、
ホロコーストや南京はデマだと論じる彼らからすればジョン・ガリアーノは英雄の扱いになるんでしょうね。
彼らの生き方には世界共通。同じパターンがあるようです。
卑屈なんです。
父親や祖父たちの、ふとこぼす差別発言=家庭内迷信は信じているけれど、そこから脱するための自分自身での勉強をしていない。
そして踏みつけにする対象を持たないと自分を保てない。
これでは本当の意味で人を幸せにする服は作れないでしょう。
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ファッションスペシャリストと音楽家の《恋》と《失言》と《回復》のドラマとしては、他作、マッツ・ミケルセンの「シャネル&ストラヴィンスキー」が面白いです。オススメです。
My dear talismanさん
「ジョン・ガリアーノ」および
「パリ・オペラ座 白鳥の湖」へのコメントありがとうございました。
バレエにどっぷりと浸って、芸術の秋を楽しんでおられますねぇ。本当に良い時間を過ごしておられる💕
「僕たちの民主主義」が、日々、闘い取らねばならない「生モノ」であるように、ともすれば頭をもたげてくる「差別と偏見の心」も、その発芽を日々努力して摘み取らないといけないと、僕は感じています。
風に乗って僕たちの心の土壌にフワリと落ちた悪い種。耳元で誰かがささやく
〉家庭内迷信
誰しも持っているその悪い種には水はやらず、根絶やしにしたい。
そして美しい芸術や清い魂の持ち主との出会いで、人を生かす命の種に水をやり、涵養しなければいけない。
そのためにもバレエや、音楽や、絵を見ることは必要なのだと思っています。
ではまた😆🖐️
主に男性が口にする「差別発言=家庭内迷信」にはっと思いました。私が生まれ育った家庭にはなかったのですが、学生の時、海外でお世話になっていた日本人家庭ではお父様がそういうこと、おっしゃる人で私はすごくびっくりしました。その点を除けば、温厚で優しい人なんですが。当時まだ小さい息子さんが2人居ましたが、彼らが影響されないように・・・と心の中で祈ってました。息子二人ともアメリカとヨーロッパで、そのまた娘もドイツの大学で勉強しているので、大丈夫と信じてます
実に見事なレビューです。この映画の総括としてこれ以上のものはないでしようね。無知は罪。デザインのみならず文化に関わる人間が肝に銘じておかなければならない鉄則です。