ブルーピリオドのレビュー・感想・評価
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八虎くんの青の時代(ブルーピリオド)
原作、全部読んでいます。今回の映画は八虎くんが絵を志し、藝大に合格するまでの話。この映画だけだとちょっと舌足らずかもしれないですが、私はまずまずうまくまとめていると感じました。
主人公である八虎くんは器用で頭がいい。だからこそ、今一つ、色んなことに手ごたえを感じられずにいる。ある種、とても贅沢な悩みを抱えている青年です。それがあるきっかけで絵にのめりこむことに。この物語のおかげで「絵の予備校」みたいなものがあることも初めて知りました。そういう中で八虎くんが周囲の人々と関わりもがきながら成長していく成長物語です。
私が今回の映画で最も感動したシーンは、母親に対して藝大に進みたいと告白するシーン。「お母さんの望むように生きられなくてゴメン」というくだり。これまで彼は親から見ても良い子だったに違いない。それが初めて本当にやりたいことを主張する。お母さんは驚くとともに嬉しさもあったんじゃないかなと。ついつい親目線になってしまいました。
龍二君との海のシーンも良かった。色んな事を経験しながら他人に良い影響を与えられる大人、私の考える「良い」大人になってくれると良いなと思ってみてました。
八虎くんを演じた真栄田君、良い俳優さんになりましたね。
高橋文哉くんはできる
そうなんだよな。2020年のマンガ賞でブレイクした頃は大学合格までの話をワクワクして読んでいました。
しかし、4年が経ち大学に入学してからの話は読まなくなって、3年くらいで当時の熱は冷めて読まなくなっていました。
そこで実写映画化(アニメ化したのも観てない)。うーん、どうやろ?予想通り大学合格までを映画にしていたので、知らない話はなかったですが、出来映えは悪くはなかったです。
主人公の矢口八虎こと眞栄田郷敦くんはよく似ていて良い感じでしたですが、問題の女装のユカちゃんこと高橋文哉くんはいやこれマズイレベルの西片君です。同じ俳優がやっているとは思えない。西片君は普通感がっつりが今回はまるで女性かよと突っ込みたくなるほどの女装が高橋文哉くんの俳優芸バッチリなのは高評価です。
とにかく高橋文哉くんに1点です。
大変面白く観ました!!!
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
結論から言うと、大変面白く観ました!!!
今作の映画『ブルーピリオド』は、雑にまとめれば高校生が東京藝術大学の美術学部の絵画科の現役合格を目指す物語です。
主人公・矢口八虎(眞栄田郷敦さん)は油画専攻(いわゆる油絵の専攻)を目指します。
個人的にもデッサンをしていたことがあったのでニュアンスは多少分かるのですが、映画の中でも描かれていたように東京藝術大学の美術学部に合格するのは並大抵の話ではありません。
例えば、東京藝術大学よりもレベルが落ちる多摩美術大学や武蔵野美術大学でも相当にレベルが高く、その2校よりレベルが落ちると思われる東京造形大学であっても相当のレベルの高さがあると思われます。
なので東京藝術大学の美術学部に合格するなど奇跡中の奇跡と考えられ、5浪6浪なんて当たり前の世界だと思われて来ました。
そこで現役合格するなどさすがに困難中の困難で、まして主人公・矢口八虎が東京藝術大学を目指すのは高校2年生になってからなので、そこから現役合格するなんで全くあり得ない、というのが一般的な理解だと思われます。
ところでこの映画『ブルーピリオド』の大きな高揚感ある場面の一つに、主人公・矢口八虎が高校の先輩の森まる(桜田ひよりさん)の描く「天使の絵」と出会って、「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎも青くていいんだよ」との彼女の言葉から、青い渋谷の絵を描く場面があります。
この場面の1観客としての高揚感は、感銘を起こさせる素晴らしい一連のシーンになっていたと思われました。
ところが、ここからこの映画はずっと鬱展開が続くのです。
なので映画としては突き抜けた面白さが、矢口八虎が青い渋谷の絵を描いた場面以降はそこまであったわけではありません。
なぜなら主人公・矢口八虎は(高橋世田介(板垣李光人さん)のような)天才ではなく、絵の上達は薄紙を重ねていくようにジリジリとしか進んで行かないからです。
なので映画としては突き抜けた面白さを描くことが困難なまま、しかしながら東京藝術大学の美術学部を目指すという誠実な描写に関しては、そのリアリティを獲得していたと思われました。
ただこの鬱展開やジリジリとした努力の歩みだけでは、当たり前ですが東京藝術大学の美術学部に現役合格するなど時間的にも不可能です。
この映画『ブルーピリオド』の面白さは、その誠実なジリジリとした努力のリアリティ描写と共に、主人公・矢口八虎の「戦略」が描かれるところです。
そしてこの「戦略」は、上滑りの考えだけでは東京藝術大学 美術学部に現役合格するという現実には全く太刀打ちは不可能で、その「戦略」は物事の<本質>に深く到達している必要がありました。
一見すると(美術受験に興味のない人からすれば)たかが大学受験の話に過ぎないと思われる内容でもある今作が、広く多くの人に面白い作品だと思える1つの要素として、この<本質>に深く到達する「戦略」の描写があったと思われました。
この<本質>に到達する「戦略」に関しては、他の分野にも広く通じている普遍性ある内容になっていると感じました。
この後、主人公・矢口八虎は(一般的には高2からの挑戦では到底あり得ない)東京藝術大学 美術学部 絵画科 油画専攻に現役合格します。
しかしながら、主人公・矢口八虎による、ジリジリとした努力の誠実な描写と、<本質>に到達する「戦略」によって、今作はこの現役合格にリアリティある説得力を観客にもたらせていると思われました。
また、ユカちゃん(鮎川龍二)(高橋文哉さん)に関わる話や矢口八虎との関係性も良かったと思われます。
もちろん題材内容的に突き抜けた面白さにするには無理があり難しく今回の点数となりましたが、一方で個人的には素晴らしくも誠実でリアリティと他への普遍性の深さある作品になっていると思われました。
誠実で素晴らしい作品をありがとうございました。
エピソードの積み重ねと熱量に物足りなさ。
作品全体を通して緊迫感があり、最後まで固唾を飲んで観ていた。役者さんたちの好演で若者の瑞々しい空気も良かった。
のだけど!!
原作ファンとしては、尺の都合とはいえ色々端折りすぎている感が否めない…!実写なのでリアル志向なのは良いのだけど、全体的にサラッとしすぎというか、熱量と描写の積み重ねが物足りないというか…。
ほぼ絵画の素人から始まった矢口八虎くんの血と努力のにじむエピソード(佐伯先生にゼロから理論を教わって一つ一つできることを増やしていく、大葉先生との面談や様々な人や体験の影響を重ねてトライ&エラーで前に進んでいく等)の積み重ねの描写がやはり足りない感じは否めない。
森先輩やユカちゃん以外の登場人物の掘り下げがほぼない分、他の藝大受験生との比較における八虎くんのハングリーさが見えづらいのも大きい。
個人的には映画で扱っている受験編って、〝好きなことと目標を見つけた生真面目な八虎くんの努力と苦悩の痕跡〟が肝だと思っている。
ので、映画だけ観るとエピソードの積み重ねが少ない分、八虎くんが努力の人というよりも「いや、君も十分天才じゃん。割とすぐ描けるようになってサラッと現役合格してるじゃん…」と見えてしまうのがなんというか悔しい…。
あとは個人的に大好きなシーン「俺の絵で全員殺す」ももう少し熱く演出して欲しかったのもあるな。
実写化作品として良かったとは思うんだけど、いかんせん原作を知ってる分、作品全体の熱量と人物の描き方、エピソードの積み重ねの面で物足りなく感じてしまった。
しかし主演の眞栄田郷敦くんは良いな。
存在に華があって、眼力も印象的で、でもどこか陰も感じさせて。魅力的な俳優だなあ、と本作で改めて思った。
夢中になれることがあるのは幸せ
夢中になれることがないなりに日々折り合って生きてきたが、先輩との出会いから油絵に運命的に出会い、そこから美術部の先生や予備校の先生との縁が広がってゆくのが気持ちいい。素直で感じのいい主人公や関係者で、気持ちのいいドラマでした。これも予告編よりも印象が良かった(最近予告編の印象以上の本編にあたることが多く、レビューが役に立っている)
好きこそ
理系の芸術
"ブルーピリオド"ではなく"藝大受験"を描く物語と捉えるのが正しい気がします。軸はずっと矢虎の心の動きで、他キャラはそこに波紋を立てる概念として描かれたので、原作の世界観とキャラクターを愛して、それを期待すると蔑ろにされたように感じるでしょうか。
それでも実写は当然ですけど、現実の絵画を描いてみせてくれるわけで、見応えがありました。全体に実写化解像度が高かったと思うんですが、主演の眞栄田郷敦は雰囲気含めて別格に良かったです。世田介くんはちょっと演技過剰?もっと閉じてて不器用なイメージです。
私自身は理系の世界を進んできた人間ですが、自分の心や感覚を分解して分析して再構築する過程は、分野を超えて通ずるものを感じます。その緻密で膨大な作業の先に真の成果があると信じているので、勝手に共感して、勝手に応援してしまいました。
情熱を燃やしつくす❗これが青春だ❗
*ある日美術の課題で、ブルーの渋谷を描いた。皆がほめてくれた!今まで生きている実感がなかった八虎に何かが起こった❗思いっきり絵を描きたい❗描いて描いて描きまくりたい❗八虎の情熱がメラメラと燃え出した❗もう誰も止められない❗オレは東京芸術大学を受けるんだ❗そして八虎はとことん自分を追い込んだ❗
*ある晩何か様子がおかしいユカちゃんを助けに海へ行き、その晩、肉体の美しさと向き合う、そして人間本来の造形の美しさと、高まるインスピレーション❗八虎はユカちゃんから、たくさんのものをもらった❗
*課題をいくつもこなす彼は、けっして天才ではない!と言っているが、その情熱を友人、両親をも巻き込み、講師のアドバイスも吸収し、都会の力、大自然の力も五感で吸収し、全ての作品に投影できたのだ❗
*実際に郷敦くんは東京芸大を受験していたので(サックス)とても感慨深かったのではないでしょうか・・
好きな事に集中する素晴らしさ
青春
これはブルーピリオドじゃない
原作ファンです。完結に言うとこの作品は役者が良くて、脚本が悪い作品です。
まだ原作を見たことがない方は今すぐ読んでください。映画の内容は話の一部でしかなく、カット
されているシーンが多いことがわかると思います。
2時間の映画だからしょうがないとなってしまうのが悲しいです。予備校にてのメインキャラクター世田介くん、橋田くん、桑名さんがモブキャラに近い存在になってしまっています。
世田介くんはただの嫌なやつの印象になっていて、原作では良きライバルなのにキャラの魅力が無くなっていました。
藝大卒の家系で育った桑名さんならではの葛藤、予備校の3人で美術館に行ったこと、藝大の文化祭に行ったこと、高橋くんの頭の柔らかさ、世田介くんと年を越したこと等まだまだ沢山有りますが、大事なシーンカットされています。
矢虎がずっと絵を描いていたら受かったやつってなってしまっているのも残念です。原作では葛藤が沢山あります。
あとは映画は美術の知識の説明がないです。
演技で言うと矢虎が人付き合いが上手い不良ではなく、笑顔が少ないせいかただの不良になっていました。
キャスティングは最近の実写化にしてはいい方です。
音楽も変に壮大でCGの表現もお金かけすぎて不自然。
作者の気持ちを考えると心が苦しくなります。
厳しいことを言うと映画を見ただけでブルーピリオドを知った気にはならないで欲しいです。
最後にまとめるとこの映画は別物です!原作を是非読んでください!!
いい話なんだろうけど、なんとなく物足りない
まったくの素人が絵の世界を知り、そこにのめり込んで情熱を注いでいく。
それは「線は僕を描く」と被ったが、私的にはそっちの方が圧倒的に心を動かされた。
どことなく上手く行きすぎ感、挫折の描き方が中途半端なのかなあ?
苦しんでいる感じがそこまで伝わらなかった。
あまり感情なくたんたんとしてるからかなあ?
先輩の描く天使の絵や祈りの絵は美しかった!
八虎が描く青の渋谷、
描き直した縁のテーマ作品も、赤が刺激的でかなり好き。
画材を変えて描いたという違うタッチの絵もよかった。
絵を習いに来ている高橋が、なぜあんなに自信家でありながら冷たいのか、よくわからなかったなあ、、
龍司はめちゃよかった!文哉キレイ!
ロングヘア似合うなあ、、
でもこの子の演出も半端だったなあ、、
2人が裸で絵を描く姿も、美しかったし、二次試験に何かしら影響を与えたんだろうけど、
裸の絵を描いた2日後の試験のテーマが裸って^^;
デッサン最後に目に白を入れるところはよかった。
友達とタルトを食べながら、夢を語るシーンとか、母親と真っ直ぐ対面するシーンとかよかったけど、
もう一つ入り込めなかった。
エンディングで、歌が終わったあと、デッサンする音だけ残り、最後に真っ白なキャンバスが残るところも好き。
これから何を描くのかは自分次第なんだって、想像を掻き立てられる。
夢を諦めたことがあるひとへ
夢を追いかけたことがあるひと、諦めたことがあるひとにとって、どうしようもなく突き刺さる映画だと思う。
私は夢をここまで突き詰めただろうか。それができなかったから、叶えられなかったのではないか、と自分に問うてしまう。でも、突き詰めても叶えられなかったひともいるというシビアな現実も描かれる。
その夢では食えないから、堅気でないから、諦めろ、やめろ、という大人も、みっともないという理由で言うひと(おそらく龍二の父親)もいる一方で、相手のことを思って言うひと(八虎の母親)もいる、ということは、大人になってしまうとわかる。本当に才能が、覚悟があるか、見極めるのは難しい。そして才能も覚悟もあっても幸せになれるかわからない茨の道だと分かっていても、背中を押せるだろうか、自分なら。
ぐるぐると頭の片隅で考えながら観たけれど、観終わって思うことは、夢を叶えるって本当にすごいことだ、ということ。努力と才能と、お金と、運と人の縁。いろんなものが噛み合ってやっと叶う、ことがある。そういう奇跡なのだと感じる。
夢を諦めたことがある自分にとっては、その奇跡は眩しくて、少し苦い。でもこの映画はさりげなく、追いかけたことは無駄ではない、とも伝えてくれる。
原作は読んでいないけれど、役者さんも皆素晴らしかったと思う。龍二の女装や振る舞いが、なんら違和感がなかったり。
原作も読もう、と思う、とても素敵な映画だった。
努力ができる天才
夢中になれるものがある人は幸せだ
なぜこんなに高評価?
原作ファンです。
日本映画で漫画の実写化なんてどうせろくなことにならんだろうな〜、と、葬式に行くくらいのつもりで行きましたが、その期待をさらに下回ってきました。
あんなにも優れた原作から、なぜこんな駄作が出来上がったのか真剣に考えるほど、どうしようもない作品でした。怒りが湧きました。
「芸の上澄みをすくったような絵だな」というセリフが原作、映画どちらにも登場しますが、まさしく「原作の上澄みをすくったような映画」と言えるでしょう。
演技は良いですが、脚本が大問題です。
原作に登場した人物の多くがこの映画にも登場しますが、そのほとんどは原作をなぞるためだけに存在している、ストーリー上何の価値もないモブです。ユカちゃんと森先輩くらいでしょうか、必要なのは。
ヨタスケくんに至っては、ただちょこちょこ出てきて嫌味を吐き続けるだけのキャラクターと化しています。
誰の何も掘り下げず、ただそこにいるだけ。
主人公であるはずの八虎すら、その内面はろくに掘り下げません。なんか言われてちょっと練習したらなんか上手くなっちゃった。このくらい。
ブルーピリオドの魅力は、キャラクターの魅力だと思いますので、これは実写化としては論外です。
2時間という枠の中で受験全てを書ききるのは無理があったのでしょう。それなら扱う範囲を狭めるか、登場キャラクターを絞るか、工夫の余地はあったはずなのに、原作をなぞることしか頭になかったのでしょうね。
石田ひかりと薬師丸ひろ子
青の時代
タイトルはピカソから取ってるのかな。友人の死をきっかけに、青色をメインにした暗い絵ばかり描いていた、若きピカソと、空虚な毎日を送っていた八虎がリンクする。青は若さを形容する…かも。
高2から始めて芸大絵画科受験かー。すごい決断だなー。佐伯先生、八虎のハートをみごと一本釣り! 予備校の大葉先生もナイスな指導! 八虎も地頭がいいようで、受けたアドバイスの解析が上手。自分らしさをと言われて、考えて考えて考えぬき、答えを出すあたり、さすが「そっち側」と言われるだけある。不安に揺れる時もあるが、結局努力を続けることで乗り越える。若いのによくできた子じゃ。
絵を描く人間の葛藤と成長を、どう表現するか。森先輩の絵に出会った時の表情、水彩絵の具の青色を筆に付けるためらい、丁寧で繊細な表現だった。バスの中で赤々と燃えて、火花が散るところも、創作エネルギーがマグマのようで、すごく良かった。渋谷の空に浮かぶところも美しい。八虎が絵に出会うあたりは、時間をかけて描き、説得力があった。
芸大の受験とか全然知らないので、こういう試験だとわかって興味深かった。教授役で会田誠が!芸大出身だからね!セリフなかったけど!エラそーで良かった(笑)。
原作漫画は2巻までしか読んでないが、配役はめちゃくちゃ合ってる。世田介のシンクロ度はすごい。大葉先生も似てる。ユカちゃんもいい線いってた。ただ、ユカちゃんのバックボーンにもう少し時間かけて欲しかった。
原作ファン用のダイジェスト
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