憐れみの3章のレビュー・感想・評価
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”アワレ”シリーズ第2弾の正解は見つかるか?
「哀れなるものたち」に続くヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演作品でした。ウィレム・デフォーも両方とも出演してるし、「アワレなるものたち」に続いて「アワレみの3章」と、邦題的には「アワレ」シリーズ第2弾とも言えるのかなと。ただ「哀れなるものたち」は幻想的な世界のお話でしたが、本作は現実社会が舞台になっていて、内容的には全く繋がりはありませんでした。ただ不気味さ、不可解さは相変わらずのヨルゴス・ランティモス風味であり、一見したところの「なんだこりゃ」感は共通していたと言って良いかと思います。
さて本作の内容ですが、邦題の通り3つの章だてのオムニバスで、「アワレ」シリーズ第1弾と第2弾同様に、3つの章それぞれの話に直接関連はなかったものの、エマ・ストーンやジェシー・プレモンスらの出演者は同じ。それぞれの話にどんな共通項があるのだろう、何のメタファーになっているんだろうなど、そんなことを考えながら観ましたが、第1弾同様正直正解を掴むのは中々難しいと感じたところでした。
私なりの稚拙な解釈としては、1章目は支配者に不満を抱きながらも支配者を欲する現代の大衆がロバート(ジェシー・プレモンス)であり、”パンとサーカス”を与えながら大衆を弄ぶ支配者がレイモンド(ウィレム・デフォー)のメタファーなんだろうと感じました。これは結構正解に近いと自負(笑)
ただ2章目は難しい。ダニエル(ジェシー・プレモンス)の”被害妄想”とリズ(エマ・ストーン)の”純粋な愛情”のすれ違いを描いていましたが、はてこれは何を意味するんだろう?極度の緊張状態が続く日常の末に”言葉”が無力化していき、コミュニケーション不全に陥り、分断が進む世界を描いているのかしら?
そして3章目は、オミ(ジェシー・プレモンス)を教祖とする新興宗教っぽい団体の過度な純粋さの追求と言うか、処女崇拝と言うか、ピューリタニズムと言ったものと、その反転としての純粋でないものの排除を描いており、これには現実逃避することでしか精神の安定を得られない現実世界へのペシミスティックな視点が感じられたところでした。
以上稚拙な感想が頭に浮かんだところで「Kinds of Kindness」という原題に注目。”Kindness”には”親切”、”優しさ”、”いたわり”、”慈愛”なんていう意味がありますが、ここでは”優しさ”とか”慈愛”とするのが妥当なのかしら。とすると、原題を直訳すれば「優しさの種類」となる訳で、それを素直に解釈すれば、3章の共通項は”優しさ”ということなんでしょう。
1章目では、自立できない大衆に生きる意味を与えてくれる支配者の”優しさ”を、2章目では夫に与えて貰った恩に対する恩返しをするためなら、自らの命も顧みない妻の”優しさ”を、そして3章目では”純粋さ”に帰依する教義を守れる者の間だけの”優しさ”をそれぞれ描いているのかなと思ったところでした。そしてそんな”優しさ”は、当事者にとっては至高の存在でありながら、第三者的には全く意味がなさそうと感じた訳ですが、果たして正解は何処にあるのでしょう?
あと、全然本作とは関係ないところですが、日常生活が舞台なのに、最終的には破滅的な結末が待っていた本作。鑑賞後感としては夏目漱石の「夢十夜」と似たところがありました。オムニバス形式ってところも共通しているし。
そんな訳で、いろんな解釈を考えることで鑑賞後も楽しめた本作の評価は★4.5とします。
きっついっっっ
♪Sweet dreams are made of this
Who am I to disagree?
I travel the world and the seven seas♪
ユーリズミックスのスィートドリームスじゃん
♪Everybody's looking for something♪を一緒に歌おうとしたらいきなり止まった。
あっぶねー。ご用心。
途中までマットデイモンだと思ってた。
♪Some of them want to use you
Some of them want to get used by you
Some of them want to abuse you
Some of them want to be abused♪
他者の力を利用しようとする者もいれば
他者に利用されることを望む者もいる
他者を虐待しようとする者もいれば
他者に虐待されたいと望む者もいる
あああああ・・・
疲れたぁ
変態博覧会
これは中々にとち狂った作品でした。この手の作品でワクワクさせられるとは思っておらず、食べてたポップコーンへ伸びる手が何回止まったことか。
第1章では富豪に人生そのものを奪われて使い勝手の良い駒のように扱われてる男の話で、殺人も厭わずにやるけれどそれ至るまでの経緯が妙に長ったらしいですし、引き込む流れがもう憐れすぎて良かったです。
足をぶつけて痛めるだけなのになんで骨折レベルまで痛めるのか全く分からなかったですし、もう行動全てが支離滅裂ですが、自分の立場を守るためにがむしゃらに行動するという点では理解できました。
3つの物語の中ではそこまでぶっ飛んでない気がするので物足りなかったんですが、RMFおじさんを轢きまくるところだけは良かったです。
第2章は遭難事故から帰ってきた妻が別人なんじゃ?と疑う旦那の話で絵作り的にも話的にもこの2章が一番気持ち悪くて好きでした。
帰ってきた妻の変化を怪しむだけならまだしも、色々と見えなくなってきて民間人を撃ってしまうなどなどヤバさが集まってきましたが、そんな事より4Pプレイの映像を鑑賞するというとんでもない空間のシーンは家だったら腹抱えて笑い転げる自信があります。
今作のグロの部分はこの章に集結していたなと思いました。
君の指が食べたいな〜どの指でもいいから切ってくれない?とねだるレベルが異常ですし悪気なく旦那が言うもんですからゾワゾワしますし、今日は肝臓が良いな〜と軽い感じでメニュー変更したら本当に肝臓抉り取って死んでるという絵面のインパクトと実行力が悍ましかったです。
オチ含め謎に満ちていた作りで好みでした。好んだってしょうがないんだけれども。
第3章ではカルトじみたストーリーになりますが、そのきな臭さが絶妙なラインを突いていて頭の中こんがらがりましたが、もう3つ目の物語になればそれさえも癖になってくる不思議。
宗教ならではの細かい決まりごとに沿って進んでいくんですが、エマ・ストーンが3章の中で一番活き活きしていますし、絶対にそんなスピード出さんで良いやんってくらいのスピードでドリフトかましちゃったりしてるところは笑いっぱなしでした。
唐突にダンスしだすところでバッチリ吹き出しました。お世辞にも上手とはいえないダンスを1分くらい見せられるので館内が唖然とした雰囲気だったのが面白かったです。
分からずじまいのところも多かったですが、ジェットコースター感覚で楽しめたのでもうヨシです。
RMFというおじさんが全編ノー台詞ながら根幹にある作りでしたし、最後にサンドイッチ食べれて良かったね〜となんかポップな気分になれて終わったのが不思議でした。
とち狂った気味の悪さがとても好みでした。少し長すぎる気もしましたがまだ見ぬ映画体験だったので満足です。
鑑賞日 10/1
鑑賞時間 9:50〜12:50
座席 I-8
完成度の高い完璧な悪趣味
不条理な世界を描かせたらピカイチのランティモス。今回も期待を裏切らない、完成度の高い完璧な悪趣味な世界が繰り広げられています。
この見終わった後に感じる、独特な後味の悪さとクセになるこの感じ…。
特に今回は『籠の中の乙女』や『ロブスター』のランティモス風味満載でとても良かった。
3本のオムニバス形式で、出演者が変わらないものの、それぞれのストーリーで立場が変わり、繋がっているようで繋がっていない、不条理な世界で物語が進んでいく。
特に説明もなく、謎のようなタイトルと、その世界がさも当たり前のように展開され、気が付いたらストーリーは終わり、そしてまた次の世界が展開される…
ランティモスの世界を堪能するには充分な作品。
完成度が高い故(インテリアが素敵とか、車がかっこいいとか、、、)、完成度の高い悪趣味さが際立って見えます。そこが好き嫌いの分かれ目なんだろうな。
『哀れなるものたち』みたいな壮大さはいらないので、いつまでも心の奥底に澱のように溜まってしまい消すことのできない、良い意味で後味の悪い作品を、ランティモスには撮り続けてもらいたいです。
邦題は酷く反語的なタイトルになっていると思う。3時間近くずっと不条...
邦題は酷く反語的なタイトルになっていると思う。3時間近くずっと不条理なことが起き続けるのだが、愛と支配(セックスとヴァイオレンスと言い換えても可)に下支えされたヒリつくような緊張感が保たれていて、飽きさせない。印象としてはまるで異星人の求愛儀式を見せられているような…共通の役者で別々の物語を演じて見せる全3章を通じたキーワードは、額の傷(聖痕)、魚(と水)、双子、死者の復活?これも3章を通じて、ウィレム・デフォーの邪悪なる大父(マグナ・パーテル)ぶりがいっそセクシーでさえある。「裸のマハ」めいたフルヌードまで披露して、その矮躯から発せられる神々しいまでの凶気たるや!不穏なピアノBGMとともに、本作品の最大の見どころだろう。
シートベルトを締めましょう
めちゃくちゃ刺激的
kinds of kindness
原題のまま、kinds of kindnessにすればよかったのにと思いました。
松浦美奈さんの訳は好きなので、邦題は宣伝部の意向であって欲しい。
「憐れみ」って、人を可哀想に思うことに近い感情だと思うので。
kindnessだと、3本ともしっくりくる気がしました。
それはさておき。
「愛」の捉え方を俯瞰で見ると、こういうふうに見えるのかな。
当人たちは、いたって真面目で真剣であっても、他人から見たら残酷だったり、馬鹿馬鹿しかったり。でも愛なんだろうな。
愛する人が食事をとらなくて今にも死にそうで、唯一食べたいものが君って言われたら、自己犠牲の行動をとるだろうか?
愛する人から死ねって言われたら、死ねるだろうか?
俯瞰で見たら、他人から見たら、そんなの止めろって、一笑に付される案件だけど、当人たちは至って本気。
DVとか、ホストに貢ぐとか、何かを偏愛するとか、それと同じことなんだろうな、などと余計な思考が浮かび上がって頭フル回転で見てしまったので、次に見るときは、RMFの細かい演技をじっくり観察して見たいです。
あと、ハリネズミが好きなので、子どもが連れてきたときに、ハリネズミだけは食べないで、鍋で煮ないで〜!と祈るように見てしまいました。
奇妙な短編小説3つ
24-099
憐れみというより「様々な気配り」なのかな
原題はKINDS OF KINDNESSだった。
三話オムニバスだが俳優が同じなので頭を整理しながら観る必要あり。
今後この監督の作品はSFと解釈することにした。
いずれも極端な「気配り」の招く悲劇で当事者じゃなければ笑い話になるのかな。
一話目は社長への気配りというか忖度、二話目は妻の夫に対する気配り、三話目は教祖への気配りそしてやっと見つけた救世主への車内での気配りのそれぞれが招く悲劇と解釈したがどうだろうか?
しかしまあ今回も男優女優ともに裸がたくさん登場するが本当に必然性があるのか。無理やりそんな設定を作っているとしか感じられないのだが、というところで星ひとつマイナス。
映像は美しく、舞台も豪華、俳優陣はいずれも素晴らしい演じ分けだったが話の内容は好みが分かれるのだろう。
エマ様、またもや謎の女性だけど。
支持。エグキモな小品にいつまで踏み留まるか?
あえて、言おう!カスであると!
三つのエピソードで構成されるとの事だが、冒頭の対話シーンや台詞などがループしているから、話しが先に進まない。
その対話シーンも話している事が面白くとも何ともないので、ウンザリする。脚本のレベルが低すぎる。
時々、シーンが変わって女の人が寝かされて、縛られる( だったか?) か、何かされるんだけど、それからどうなったかが全く分からないのだ。
お芝居ってさ?観客を満足させるのが義務じゃない?
最近見た酷い芝居があって、
インプロって知ってますか?事前にお芝居の練習をしない真っ白の状態で舞台に立って、客席から紙に書いてもらった芝居に関連するエピソードを元に即興芝居を演じるんだけど、
鶴瓶のスジナシあるじゃん?鶴瓶みたいに己れの芸を極めて、トーク番組の司会をしたり、家族に乾杯で素人のアドリブに答えたりと色々やっているから、スジナシでどんなアドリブに対応できるんだよね?
そいで、インプロのそいつらはお題の紙を拾って芝居を始めるんだけど、お題を読んで何か芝居が始まるかと思いきや、お題を見て舞台上で、えーとか、あーとか言うだけで、お題を諦めて次のお題を読むわけだ。
結局何もやらないんだわ?インプロ出来ないなら、最初からやるなよ?と、思うじゃん?
それなのに、こいつらは自分たちの劇団の頭の方にインプロとつけていて、そんな舞台の上で醜態を晒しているのに、生意気にワークショップを開いて、1500円くらい徴収して演劇を教えているんだよ?
ペンギンに空の飛び方を聞く奴はいないよね?
あと、一つの劇団は、上演前に
「 今日は16年前のネタをやります!」
って、言って16年前のネタを恥ずかしいとも思わずにやり遂げるんだけど、これがコントの体を成していなくて
白雪姫がいなくなって、寂しくなった小人が一人小屋にいると、白雪姫を奪った王子様が登場。
「 ねぇ、王子様!俺たち白雪姫がいなくなって寂しいよー?」
「 そうか、( 携帯を取り出し) いい娘いるよ?紹介しようか?どんな娘がいい?」
「 そうだなぁ、あまり贅沢は言わないけど...」 以下、つまらないからカット。
これはな?コントじゃない!普通の会話だ!
次のは更に酷くて潰したペットボトルをカイザーナックル( 分かる人、手を上げてー?!)のように構えてドヤ顔をして舞台に立つ役者二人。
小芝居が始まる。
「 うわぁー、大変だぁー!地球に隕石が落ちてきたー!どーしようー!? あ?手に何かはめているぞー?」
ペットボトルをはめた手を前に突き出し、
ペットボトルナックル!!( キメ顔で)
隣の女も手を突き出し、
「 よぉーし、私もぉー!ペットボトルナックル!!」( ドヤ顔で)
ポーズを決めて満足した二人は、
「 ペットボトルナックルシリーズはこれからも新作を作り続けまーす!」
と、のたまって終了。何なんだ?これは?
この劇団のワークショップでは、参加者がカイザーナックル( いや、マジで誰が分かるの?)のように、ペットボトルを手にはめてペットボトルナックルのポーズをとっている写真がネットにうPされてさ?信者ビジネスって、チョロいなと思いましたとです。
そんなわけで、この映画。観客に物語を伝える姿勢が全く感じられないレベルの低い映画もどき。
ラーメンを注文したら、麺が入ってなかったのと同じ未完成品。見ても何も学ぶべき事はないので、U-NEXTで哀れなるものたちを見ましょう!
大人のお遊び、ココまでやったらGorgeous!
美しい画面設定で、大物役者達が、ridiculous, nonsense, blackな事を、実に真顔で演じている。きっと彼等も心の中で、ニタリとしながら…
痛そうで、グロくって、目を覆いたくなるシーンが各章に。でも何故かまた頑張って目を開けいて、見てみたくなる。
美しい女優陣、エマ・ストーンの派手なドリフトドライビング、達成感炸裂のダンス、ウィレム・デフォー、ジェシー・プレモンスの変容ぶり、犬が車を運転したり、ベッドの上でsexしてたり、見どころを語るに暇が無い。
支配、服従、安堵のLogicについては、数多くのreviewerが語っているところ、exactly。
先ずは、sophisticateされた大人のブラックユーモアを楽しませて頂きました❢
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