憐れみの3章のレビュー・感想・評価
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良くできてても刺さらない映画ってある
「哀れなる者たち」は好きだったし、すごく良くできた映画だってわかってる。
役者は達者だし、映像はかっこいいし。同じ役者が3つの短編を演じることで、観客は勝手に物語を超えて、役の移り変わりに意味を感じるだろうっていう仕掛けも見事だと思う。
ただ、ストーリーは全然刺さらなくて、最初から最後まで全くかすりもしなかった。
こういう話って、胸が痛んだり、人ってそういうもんだよねとしみじみしたりするもんだけど、全然だった。
支配とか搾取とか共依存とか、あるよねって言ってるだけみたいで「知ってるよ」って思って終わっちゃった。
どこがどう面白いんだろ?
エマ・ストーンこそが〝教祖〟です
宗教法人名:やり過ぎちゃってごめんね
身体を張った演技。
なんていう褒め方?というか、演技に取り組む姿勢についての表現がありますが、最近のエマ・ストーンを見てると、「そんなの当たり前でしょ!役者なんだから!!」と叱られているような気分になります。
だから、うん? なにこれ?
とか余計なことを思う間もなく、とにかく面白くて目が離せなくなる。あの目力に引っ張られてどんどん話にのめり込んでいく。
『女王陛下のお気に入り』のアビゲイルもそうだったけれど、やり過ぎちゃってごめんね!
というキャラを、こんなにもユーモラスで切なくて、(一部の人にとっては)おぞましくて、
儚くて、哀切感に溢れていて、それでいて決して人ごとではなく演じてしまう。
もう、この人こそが〝教祖〟です!!
オープニングテーマソングが
タイトルなし(ネタバレ)
原題は「KINDS OF KINDNESS」。
やさしさの種類、という意味だろうが、ここは「やさしさの三つの顔」とでも訳したい「やさしさ」の三様を描いた中編集。
第1話は、飼い主に見捨てられた忠犬の話。
忠犬くんも飼い主も人間。
飼い主(ウィレム・デフォー)は、忠犬くん(ジェシー・プレモンス)に理不尽な命令をし続け、忠犬くんは人間味を出して反抗するが捨てられてしまう。
飼い主の手を噛むことなく、最終的には理不尽な命令を実行して、自分の存在意義を確かめるが・・・
と、わかりやすいが、その分、平凡。
第3話は、新興宗教教祖の命令に従って、奇跡の女探しをする女性宗徒(エマ・ストーン)の物語。
別れた夫に強引に身体を奪われ、「汚れている」として破門に。
幸い、奇跡の女は見つかるが、理不尽にも奇跡の女の双子の妹が頓死してしまう。
さらに・・・
と、これまた、わかりやすい。
触れるだけで、傷を治し、死者おも蘇らせる人物の話は、スキート・ウーリッチ主演『タッチ』を思い出した。
最終的には、皮肉な結末を迎えるが、まぁ、わかりやすいブラックジョーク。
終盤、エマ・ストーンが奇妙なダンスを披露するが、この手のダンスが出てきた映画で、感心したことがないので、本作もゲンナリ。
順序を飛ばした第2話は、行方不明の妻戻る話。
海洋研究のため仲間と行方不明になった妻(エマ・ストーン)を迎えた夫(ジェシー・プレモンス)。
見た目は元の妻なのだが、どうも些細なところが違っているような。
彼女は元の妻のままなのか・・・
と、神経を病んだ夫は残虐味を帯びた理不尽な要求を妻に出すが、帰還妻は唯々諾々と従い、遂には自分の命まで差し出すことになる・・・
と、諸星大二郎の漫画『ヒトニグサ』を思わせ、「ボディ・スナッチャー」ものの変型っぽい。
その伝でいけば、従順な宇宙人が地球人にスポイルされる『地球に落ちて来た男』を思い出したりもする。
わかりづらいが、不気味な味わいが好みで、ちょっと面白い。
全体には、奇抜なようでいて常識的な範囲のシニカルコメディで、全編通しての評価としては平凡といったところかしらん。
なお、各エピソードで同じ演者が異なる役を演じているが、狂言回し的な「R.M.F.」なる謎の人物は共通。
「R.M.F.の災難」というダブタイトルを付けてもいいかもね。
ヨルゴス・ランティモス監督版「トワイライトゾーン」
この世に絶望した女性が、新生児の脳と大人の身体で再び生を得る物語「哀れなるものたち」に衝撃を受けた監督の新作。予備知識なしに鑑賞しました。
3部からなるオムニバス形式、同じキャストで3話それぞれで役が異なるという斬新な作品でした。
「哀れなるものたち」とは異なり、肩の荷を下ろして鑑賞できる作品です。
テーマは「愛と支配」
全ての話に共通なのは主人公の設定を考えない。今おかれている設定をたどる事です。なんでこうなんだとかこの人はどういう立場なのかなど考えず展開されるストーリーを追う事です。
第1話は狂った大富豪の言うなりに生きる男
大富豪の言われるままに生活していれば全てを与えられている男。しかし、人殺しだけはどうしてもできないと断る事で一変してしまいます。
滑稽で痛々しいまでの悲しい男の姿がそこにあります。
第2話は海難事故から生還した妻がどこかおかしいと疑う男
海難事故から無事生還した妻だが、どこかが違うと疑う男。妻であることを必死で答える女。これも痛々しいまでに刺激的な展開です。最後にあれはなんだったのかと想像することになります。
第3話はカルトな宗教団体の信者となり家族を捨て神の子を探す女
こんなカルト宗教にどうして陶酔してしまったのかと思うくらい異常な女の姿があります。予期せぬ事で宗教団体から追いやられながらも神の子を見つけることができます。しかし最悪の結末がまっています。
ブラックユーモアのような衝撃です。
目を逸らしたくなる描写もいくつかありますが、不思議な爽快さが残る作品でした。
264 RMFは結局二度死ぬ?
2024年公開
出演者が3度役どころを変えて構成する。
ジジイは掛け算でいうところの
主役7人くらいですか?
計21人の人格を追え~!
ってジジイには無理です。
でもそのような作りは斬新で面白い。
ワタシがどこ泳いでいるのかわからん時もあるが
まあ昭和の特撮のモスラと世界大戦争と海底軍艦
を一気見したらそんな感じか(笑)
1章
わざわざ2度も引き殺すのが面白い。
2章
最後夢オチならぬ妄想オチはそろそろどうなんですかね?
3章
ジャガーをブンブン走りまわすのは最後の伏線?
こういう通常の映画の枠を超えた
しかし後から見るとしっかり筋の通っているシャシンは
いいですよね。
ユーリズミックスのスウィート・ドリームスがかかるけど
「ドッグマン」でもかかってたし流行ってんの?
60点
鑑賞 2024年10月8日 イオンシネマ草津
配給 サーチライトピクチャーズ
パンフ購入¥940
カルト、エログロ、支離滅裂で奇想天外な3話
3話オムニバスの作品。それぞれが、愛と支配をテーマにした奇想天外なストーリー。
それぞれの短編は、主たるキャストが別の配役で演じる。予告編からは予想しえない展開で、時に支離滅裂。カルトでエログロさに溢れる、ぶっ飛んだ映画。
「世にも奇妙な物語」的な側面も若干あるが、観る者により入り込み方が異なる。そんな理解、解釈しようとしてはいけないほどのスピーディーなストーリー展開、その理解不能なところについつい魅入る。
エマ・ストーン、ジェシー・プレモンスが好演。「バードマン」「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーンから、大きく進化した演技が素晴らしい。
サイコ的なぞわぞわ感にも襲われ、万人向けとはいえない映画だが、自分にはフィットした。
個人的にはマッケンローのラケットより、セナのヘルメットだなぁ
前作『哀れなるものたち』は頭では理解できるけど、微妙に心には刺さらない作品として記憶してました。正直、『ロブスター』や『聖なる鹿殺し』の方が好きでした。
本作は同一キャストによる中編3作という構成ですが、ものすごく魅力的でいて、全然理解できません!!!
シビル・ウォーを見た後にこちらを拝見したのでジェシー・プレモンスの一挙手一投足に目を光らせながらも、ウィレム・デフォーやエマ・ストーンの快演に心を奪われっぱなしです。
とりわけ三章目でダッジ・チャレンジャーをグリグリとドリフトさせるエマさんに痺れました(運転はしてないかもですが)
また、なによりマーガレット・クアリーさんの各パート変化ぶりはすごく、某作品の某まさみさん以上に堪能させていただきました。
「映画を見る楽しみ」を劇場でこれほど思い知らされる作品もなかったです。
次回作も期待しています、理解できないかもだけど
黒いユーモア、笑えない口が歪む
素晴らしい造り込みに、評価無しは誉めているのでしょう
選択を支配される男、イライラするが支配を受け入れる結末にほっとするか、嫌な味
妻が入れ替わったと確信し彼女の体を切り刻んで調理するよう命ずる夫、従う妻、迎えたのは真の妻か、酷い味
信仰集団に沈み死を超える人を探す女、どちらにせよ性交は気持ち悪く、彼女の荒い運転が奇蹟を壊し、死にたがっていた奴がのんびり飯を食う
何という味
得体の知れない後味
スパイディヒロイン対決!
昨日は『スパイダーマン』のヒロイン・MJ役のキルスティン・ダンスト主演『シビル・ウォー』を観ました。
今日は今年最高候補の『哀れなるものたち』でも主演だったエマ・ストーンの『憐れみの3章』を観ました。エマ・ストーンは『アメイジング・スパイダーマン』のヒロイン・グウェンも演じました。
この2作を並べて観る意味は…特にありませんが、奇しくも共通点を見出すことができました!
それは2人とも、まだまだ健在!ということです!
キルスティン・ダンストの方は『シビル・ウォー』のレビューを書く時間があればそちらで言及するとして、エマ・ストーンはあゆを超える目の大きさと美貌! 『アメスパ3』が作られたら、新撮の回想シーンとして当時の年齢の役をこなせると思います!
あと、どっちも『トワイライト・ゾーン』感ありますよね。
『シビル・ウォー』は中盤の、時が止まったような普通の日常を続ける町。
『憐れみの3章』は2話が特に。宇宙人来襲モノとも取れて。(◥◣_◢◤)
あとは、どちらも目を覆いたくなるようなシーンが多いです。
『シビル・ウォー』は『ヘレディタリー』とかの「A24」の映画ですが、『憐れみの3章』の方が予算おさえめのホラー?で、不穏な音楽がかかるところや、宗教色、もといカルト教団色強めなところが「A24」っぽいなと思いました。(アリ・アスター監督?)
ところで、邦題の「憐れみ」は「哀れ」より「同情」の意味が強いらしいので、あまりしっくりこない気もします。
Sweet Dreams
ユーリズミックスの「Sweet dreams」。
大好きな曲が使われていると知り、この作品を見に行った。
美しくどこか悪魔的で抗えないメロディー。
謎めいているのに確信を突くような歌詞。
そしてそれは心に長くエコーを引く。
この作品もそんな印象がする。
本当は自分が選んだ世界だったんだろう。
でもその世界に飲み込まれ、翻弄され、縋って、拒絶されて。
そして力の限りを尽くして臨界に達する。
なんだかSFみたいなファンタジーみたいな、
どこにもありえない世界でありながら、
どこにでもあるような世界で、
誰にも似ていないような、
でも誰でもそうであるような人々が、
それぞれの強い思惑で他人を引き、
他人の強い思惑に引かれ、
そして悪夢に追い付かれる。
かなり長い映画だったが、全く飽きなかった。
美しい映像の中で人々がエキセントリックにクルクル回る様に、
息を呑み、失笑し、気分が悪くなり、切なくなり、
そして映画館の明かりが点った。
映画でなくてはできない表現の映画が好きだけど、
これは久々にそういう感じのする映画だった。
個人的には第三話が好き。
轢き殺されて復活した彼は、
(と自分は思っている)
何事も無かったかのようにサンドウィッチを食べる。
それに何かホッとする自分が奇妙で可笑しかった。
むむむ
ポスターに惹かれて、ムム人間の内面に関わる問題提起か?と勝手に先走っていたが、この映画は真面目に観てはいけないのかも知れない。
おいおいそうくるかあと斜に構えて、あははと笑いながら観るのだろう。
最後のRMFの登場でやっとそれを理解した笑
豪華な俳優陣でおくる奇妙奇天烈な世界たち〉
オムニバス形式の作品。3作品どこかに関連性があるのかな?って考えながら観たけど、私は特に見つけられなかった。
1つ目は一番現実味がある内容。それ故によけいに不気味で謎めいてる。ウィレル・デフォーから狂気が滲み出てる。
2つ目はどこかに都市伝説としてありそうな話をベースにかなり奇妙な雰囲気が漂ってた。ラスト、あ、ほんとに帰ってくるんだってちょっと驚いた。
3つ目はこれまた現実に存在しそうな団体と奇跡の話。3作品の中では一番オチが好き。
冒頭で共通点無いって書いたけど、感想書いてるうちに思ったのが、どの話もぶっ飛んでるのにどことなく現実味がある。だから奇妙奇天烈な設定なのに最後まで目が離せずに鑑賞できたのかな。
エマ・ストーンやウィレルたち名優がそれぞれの作品で全く異なる役を演じてるのもこの作品の魅力の1つ。役者の演技を浴びる映画だったな。
星新一のテイスト… 邦題は狙い過ぎ?
この邦題はちょっと違うかな、変な先入観を与える、同監督の前作とは違う作品。哀れみ…は関係ない、作品は不思議なコメディに近い。3話の不思議なテイストのアンサンブル、星新一の短編小説集みたい…と思ったら、少し見え方が変わって来て、RMFに注目して見ると、何で殺されなければならなかったのか?2章のパイロット?が陰謀を知ってしまったからなのか?などと想像が膨らむ。
同じ役者で違う3話を撮るなんて、撮影中はきっと楽しかっただろうな…。グロテスクな表現も多いので、それに印象が強く影響されなければ、不思議な味わいを割と楽しめるのでは。
通好みの大作で、社会的、文化的、哲学的考察を求められるのでは?と、...
エロくてグロくて胸クソ悪い作風
やっと観た。
この監督は苦手なんで、腰が重くなっちゃいますね(苦笑)
あい変わらず、エロくてグロくて胸クソ悪い作風(苦笑)
原題は『Kinds of Kindness』
グーグルで訳してみると『優しさの種類』
うーん…深い意味あるんでしょうね。
でも『憐れみの3章』って邦題の方がセンスいい。
なんで3章なんだろうと思ってたら、3つの話で成り立つ映画で、1時間ほどの話が3つ入ってます。
だから3章、なんか引っかかる気になるタイトル、センスいい。
役者陣も1話ごとに名前も役も変わり、1話1話が独立してるみたいだけど、もしかしたら繋がってるのかな?
最後、気になった…
とりあえず、もう1回観ます(観るんかい!)
なんか分かりそうで(笑)
謳い文句どおり、脳も心も、かき乱されます。
動物を傷付ける描写があり、動物愛護的に疑問を感じました。
フィクションでフェイクでも不快で、やっぱり好きになれないな…
頭と心をゆっくり優しくグチャグチャにされてる感じ
不条理ホラーコメディ?
映画のトーンとしては極めて正統的で社会派の映画なルックス。
ところがその内容が不条理極まりない。不条理であるが設定が絶妙で、物語の構成は先が読めずとてつもなく面白い。
鬼才ヨルゴス・ランティモス監督がとてつもない熱量で描いた傑作「哀れなるものたち」から間髪入れず製作した中編3作からなるオムニバス映画。
3作の出演者は共通しているが役柄は全く違うというアイデアが面白い。
関連性のない物語であるが、根底のテーマは共通していて「支配」と「服従」で、
第一話は支配する男と全てこの男の指示で生活する男が初めて反抗する話
第二話は遭難した妻が生還したが別人だと思い込み夫婦が崩壊していく話
第三話はカルト教団の教祖からある不思議な力を持つ神の子を探すよう命じられた女の話
物語は奇天烈で何が起こるかわからないところはホラー的展開。一方で変さ加減に思わず笑ってしまう部分はコメディー要素。
支配する者がいて、気が付かずに服従しているともいえる現代社会を誇張風刺しているのか。
各話は会社の上司と部下、結局は他人である夫婦、独裁的な国家元首に洗脳された国民、と解釈できるし、この辺りは観るものに委ねているのだろう。
相変わらず悪趣味なので観る人は選ぶ。
前作もそうであったが、今作でも動物虐待を思わすシーンがありその分マイナス評価。
ただ、物語の着想と脚本はとてつもなく面白いので映画ファンには強くお勧めしたい。
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