劇場公開日 2005年6月18日

「人生に躓いたとき『バットマンビキンズ』を見よう!」バットマン ビギンズ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人生に躓いたとき『バットマンビキンズ』を見よう!

2008年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 小地蔵の分身は、昨日公開されたばかりの『バットマンビキンズ』を見てきました。バットマンといえば、第一作のティム・バートン作品から数えてもう第六作目になります。 全作品を見ておりますが、恐らくこの『バットマンビキンズ』が最高に面白いと思いました。

 これまでのバットマンシリーズは、原作のアメリカンコメディの世界をそのまま再現しようとしてきました。
 バットマンの敵役キャラは、ホント漫画チックな被り物を身につけた奇人変人ばかり。しかもゴッサムシティを破壊しようとする動機も自己満足でしかなかったわけです。
 ところが、今回のバットマンの敵たちにコスプレはありません。今回の敵役は、「影の集団」と名乗る結社です。
 彼らはこれまでの堕落してきた世界をでことごとく破壊してきたという独自の信念と思想を持っています。
 そういう敵役にもリアリティを持たせようとした設定がこれまでのシリーズの敵役と大きく違うところです。そして日本市場を意識してか、首領の渡辺謙の手下たちは、なんと忍者集団ということになっているんですね。

 また『バットバンビキンズ』ではそのタイトルどうり、バットマンシリーズのWhy?に事細かく答えていきます。それは大変緻密で、無数に貼られた複線が全てつながって、「バットバンビキンズ」というタイトルテーマにつながっていきます。

 たとえば、何故コウモリなのか。その説明を主人公ブルース・ウェインの子供時代のトラウマとして、庭の井戸に落ちたとき遭遇したコウモリへの恐怖を描いております。

写真

 バットマンは、スーパーマンのような超人であったのか?
 『バットバンビキンズ』ではただの生身の人間なのだということも明らかにされます。むしろこの映画は、両親を犯罪者に殺されたトラウマに苦しみ、犯罪者に復讐を誓った主人公ブルース・ウェインの物語といってもいいでしょう。

 では生身の人間がなぜ超人的な活躍ができるのか。バットマンが空を飛べる理由、ジャンプ力が人並み優れている理由、忍者みたいに突然現れて、突然姿が消える理由。これを詳しく書くとネタバレになってしまうから適当にカキコしますね。

 簡単に言えば、金にモノを言わせた億万長者が、もてあます時間で修練を積み上げ、財力で技術の粋を集めて装備をそろえたことに尽きるようです。その一見あり得ないような設定を作品では丹念にリアリティを持たせようと説明を重ねていきます。様々な「理由」について、きっと「なるほどそうなのね」と納得できるストーリーになっていると思いますよ。
 細かいところでは、ブルースに一生懸命に腕立て伏せを日常生活でやらせたり、戦いのあとにアザだらけになったところを執事に咎めさせたり、普通の人間がヒーローになっている日常もちゃんと押さえているのです。

 そういう点で『バットバンビキンズ』は在る程度原作のアメカンコミックの世界から脱却して、一本の映画作品として自立できたのかなと小地蔵は思いました。

 ところで、この作品は単なる娯楽作品というばかりではありません。
 作品を通じて、いくつかのメッセージが観客に投げかけられています。まず、バットマンを生む原動力になったブルースの怒りや哀しみですね、幼いころ犯罪者に両親を殺されて、ずっと復讐や報復を誓ってきたことは、自己満足に過ぎないのか?それとも、必要悪なのか?
 でもバットマンは絶対に自らは人を殺しません。そのことが答えになっていると思います。

 また、作品の中でパットマンでも敵に追いつめられたり、敵の陰謀に負けを覚悟して落ち込みそうになるシーンも描かれています。そんなとき幼い時分に庭の井戸に落ちたとき父から励まされた言葉が度々出てきます。
 「穴に落ちたら、再びはい上がればいいじゃないか」と。
 『バットマンビキンズ』は、ヒーローの人間味ある苦悩と活躍を通じて、観客にも勇気と希望を持てるように暗に暗示している作品ではないでしょうか。

流山の小地蔵