「カバーはないでしょ」室井慎次 敗れざる者 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
カバーはないでしょ
踊るシリーズは好きだが、本作はあくまでスピンオフ。室井さんの警察退職後の話になる。踊るシリーズの所轄にいたメインどころのキャストたちは過去映像しか映らないが、それでも懐かしさを感じられるだけでアリな演出。じゃ、昔を懐かしむだけのノスタルジックな映画かというとそれも違う。室井さんの不器用さや実直さ、温かみ、洞察力の鋭さがうまく表現された物語だった。
ただ、2部作の前編と考えると問題提起がやや曖昧だったように感じてしまった。何かの事件が起きているということ、それは過去のレイボーブリッジ封鎖の事件が関係していそうであることが示されただけだ。
それでも面会のシーンはよかった。間違いなく本作のクライマックスだ。3人の子どもたちがどう変わっていくのかも続編の楽しみとなる作りだった。踊るシリーズのような盛り上がりはなく、実直に人間ドラマを描いた本作だが、踊るのスピンオフとしての楽しみもそれなりに用意されている。続編をそれなりに楽しみにできそうだ。
1点気に入らなかったのは挿入曲。古いレコードプレイヤーでかけた曲が「Without You」なのはいいが、それがカバー曲ってどうなのよ。オリジナルを使用できなかったとか、使用料が高かったの理由があったかもしれないけど、聴くだけで気づいてしまうとかなり冷めてしまう。だいぶオリジナルに寄せたカバーで逆に驚いたけどね。
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