「笑っちゃうほど豪快で楽しくて危険」愛はステロイド 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
笑っちゃうほど豪快で楽しくて危険
またもA24から誕生したジリジリと焼けつくような異色のサスペンスだ。田舎町、スポーツジム、ボディビル。これらの要素が二人の女性を運命的に巡り合わせ、やがて巻き起こる犯罪がらみの展開を経由し、想像を超えた結末へ突き落とす。世界の果てのような町を舞台に、これほど常軌を逸した描写を次々と矢継ぎ早に生み出せる手腕はなかなかのもの。あらゆる登場人物はもはや”力の匙加減”が思い切り馬鹿になってしまっている。だからこそつい感情が先行し、近くにいる大切な人や関係をつい台無しにしてしまうのだろう。その意味でも即効薬にして副作用もある「ステロイド」は、全てを包含する象徴的な存在。刻々と立場を変えるスチュワート&オブライエンがかつて見たことのない輝きを放てば、名優エド・ハリスも外見から内面まで全てに凄みあふれるたまらない怪演ぶりを発揮。人間のおっかない闇を垣間見せつつ、笑っちゃうほど豪快で危なくて楽しい一作だ。
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