ティアーズ・オブ・ブラッドのレビュー・感想・評価
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「レ・ミゼラブル」「バティモン5」の脚本家が自ら監督。話は新味があって良いが、演出がやや弱い
ベルギーについて知らないことばかりだったので、ブリュッセルを舞台にした本作で会話が始まって、あれ、これフランス語だよな、フランス映画「17歳」のマリーヌ・ヴァクトも出ているし、などとうっすら疑問に思いつつ観ていたが、後で調べたら国土を南北に分ける言語境界線があり、公用語は南部でフランス語、北部でオランダ語、ブリュッセルは北部内の南寄りに飛び地のようになったフランス語圏なのだそう(ほかに東部に小さくドイツ語圏もある)。この映画はベルギー・フランス・スペイン合作だが、そうした事情で過去にもベルギー・フランス合作でベルギーを舞台にしたフランス語映画がときおり作られており、たとえばダルデンヌ兄弟監督・フランス人女優アデル・エネル主演の「午後8時の訪問者」もそうだった。
脚本・監督はフランス出身チリ在住のジョルダーノ・ジェデルリーニ。2019年の「レ・ミゼラブル」や今週末に日本公開の「バティモン5 望まれざる者」の脚本も手がけた一方、長編劇映画の監督作はこれが2本目。ヨーロピアン・ノワールと謳いつつも、犯罪者や裏社会を描くありきたりな暗黒映画とは趣を異にし、ストーリーに新味がある。
過去が謎に包まれた地下鉄運転士のレオは、目の前で息子ユーゴを失う。強盗事件に関与したユーゴから何かを託されたとして警察の捜査対象になり、また強盗一味から襲われるも、襲撃や尾行をかわしつつ亡き息子のため事件の真相に迫ろうとする。
一見くたびれ気味の中年男が、押し入ってきた暴漢と互角に戦い始めるあたりで「こいつただものじゃないぞ」と思わせ、尾行してきた刑事を地下鉄運転士という職業を活かして振り切る手法もなかなかいい。レオ役の俳優がリーアム・ニーソンみたいに無双すぎず、格闘が若干もたもたしているのが個人的にはリアルで良いと思ったが、これは評価が分かれるポイントかもしれない。
スタイリッシュな映像やテンポのいい編集があるわけではないので、昨今のスピーディーに展開する犯罪アクションに比べると物足りなく感じるだろうか。レオがなぜスペインからベルギーに来ることになったかも、あっさり台詞で説明されてしまうのだが、あのくだりもしっかり回想シーンを作って効果的に挿入していればエモーショナルに盛り上げられたのではないか。金属探知機が関わるラストショットの、哀しいような笑えるような、なんとも微妙なセンスは嫌いじゃないのだが。
なお、何度か印象的に登場する街のモニュメントは「アトミウム」と呼ばれ、1958年のブリュッセル万博で建設されたものだそう。会期終了後も撤去されず万博の記念碑として名所になっている点で、パリのエッフェル塔や大阪の太陽の塔に近い存在のようだ。
大きな愛の物語 愛って、いわゆる恋愛とかじゃなくて もっと壮大なも...
大きな愛の物語
愛って、いわゆる恋愛とかじゃなくて
もっと壮大なもの
終わり方も良かった
Raptor
T・ジョイ系列でしかやらない作品が何故か5月に大集合しており、しかもその作品たちが謎に時間被っていたり朝イチだったりと、こういう作品を好んで観る人間からするとハードなスケジュールを組まざるを得ない状況でモッタモタしてます。
舐めてた奴が実は…系の作品に当てはまりそうなんですが、割とミステリーな要素が強いので、ジャンル映画にはなりきれなかったなぁというのが今作の印象でした。
地下鉄を運転してたら男が飛び込んできて、その男を確認したら息子だった…といった感じの始まりでしたが、警察が大人数を動員してまでやる事件か?と思うところはありましたが、まぁそれはご愛嬌ってことで飲み込みました。
アクションは近年主流の高速アクションでは無く、しっかり地に足ついたキックパンチがメインで、驚きこそないけれど、こういうアクションも良いねってなるくらいにはちょうど良いものに仕上がっていました。
節々のセリフには光るものがあって、序盤の「車内は禁煙だぞ」→ガチャ「車外よ」というスムーズさや、「下着落としてしまって、しかもめっちゃ履きつぶしてるんです」と良い具合のジョークと小気味のいい会話が今作の最大の魅力でした(後半はそれが薄くなってしまったのが残念)。
終盤は物語自体そこまで進まず、油断していたら急にエンドロールに突入してしまったので、んーなんだかなぁってなりました。
規模がそこまで大きくないのと、見せ場が少なかったのもあって作品全体ではややウケくらいでしたが、所々の部分は良かったのでそれでイーブンな作品でした。こういう系の作品は時期をずらして散らしてやってくれ〜。
鑑賞日 5/20
鑑賞時間 16:20〜18:10
座席 K-10
ちょっと地味めな復讐もの
タイトルは英語、舞台はブリュッセル、言語はフランス語メインでたまにスペイン語、最初少し混乱してしまいました
過去が謎の見た目普通のおじさんレオが息子の復讐をするというアクション作品
こういう内容のハリウッド作品と比べると派手さもなくテンポもそんなに良く思えず、途中までストーリーにあまり入り込めなかったですが、主人公レオの人物像が見えてきてからは楽しめました
そんな普通のおじさんのアクションシーンがなかなか観応えあって良かったんです
息子の復讐のために戦うおじさんレオはリーアム・ニーソンみたいに無双感は全然なく、ジェラルド・バトラーみたいにワイルドな強さを出してるわけでもなく、本当にただのおじさん
ハリウッドのアクション作品と比べて物足りなさもありましたが、ラストの寂しそうな悲しそうな表情がとても心にグッときました
そういうところがハリウッドのアクション作品と違うなぁと感じました
どうでもいい事だけど、人質の口に貼るのがガムテープじゃなくて👄のイラストが描いてあるのが貼ってあって、シリアスな作品なのにそこだけ違和感というか少し笑えました
200ユーロで「質問はナシ」なのに色々聞いちゃうジャンク屋がツボ
2024.5.22 字幕 T・JOY京都
2022年のベルギー&フランス&スペイン合作の映画(100分、G)
訳あり地下鉄運転手が息子の怪死の真相を追うミステリー映画
監督&脚本はジョルダーノ・ジュデルリーニ
原題は『Entre la vida y la Muerte』で「生と死のはざまで」という意味、英題は『On the Edge』で「縁に」という意味
物語の舞台はベルギーのブリュッセル
そこで地下鉄の運転手をしているレオ・カスタニダ(アントニオ・デ・ラ・トレ)は、偏頭痛持ちで、時折血の涙が出てしまう状況にあった
2年前に妻が他界し、一人息子のユーゴ(Noé Englegert、幼少期:Hugo Quero)とはそれっきり会っていない
ある日、彼の元に疎遠の息子ユーゴが現れ、なぜかユーゴは父の運転する地下鉄の前に飛び込んでしまう
急ブレーキをかけて轢かずに済んだものの、ユーゴは複数の銃弾を受けていて、そのまま死んでしまった
警察は殺人事件として動き出し、警視(オリビエ・グルメ)の娘・ヴィルジニー(マリーヌ・バクト)主任刑事が担当となった
同僚のカール(Fabrice Adde)と共に動くヴィルジニーは、ユーゴの動きを不審に思い、レオが何かを受け取ったのではないかと勘ぐる
レオは取り調べで否定するものの、彼は息子からある家の鍵を預かっていた
レオがそこに向かうと、駐車された車の中に1人の男が死んでいた
そして、レオの元にユーゴの恋人マリカ(Lila Jonas)から「お金を返さないと殺される」というメッセージが届く
そこでレオは、男の所持品を探り、彼の胸元に隠しカメラが仕掛けられていることに気づく
それは警察が使用しているもので、男は潜入捜査を行なっていたラルフ(Alexxandre Bouyer)だった
さらに映像を解析すると、ラルフはヴィルジニーと恋人であることが判明した
映画は、息子の仇を探すレオと、恋人の安否を気遣うヴィルジニーが描かれ、それぞれが同じようなルートを経て、真相へと迫っていく
レオは元潜入捜査員であり、ある事件にて妻を亡くしていた
彼の頭の中には銃弾が残ったままになっていて、その後遺症として、血の涙を流すという症状が出ていた
生きていることが奇跡で、それゆえに原題の意味に通じるのだが、邦題は表面だけを見て無理やりつけている感は否めない
物語としては、子どもを思いやる親というのが登場し、レオには警視とヴィルジニーが親子であることがわかっていた
それを端的に「あんたがいると彼女がイラつく」と言い、「息子も俺といるときはそうだった」とつけ加えていた
この洞察力を持ってしても親子関係は難しく、うまくいかない果てに悲劇があり、今回はその後始末をつけた、ということになっていた
いずれにせよ、一般人っぽい人が実は凄腕のというパターンで、今回は「同じ警察官だった」という設定になっている
彼は名前を変えていて、インターポールが照会を拒否するという人物になっていた
この段階で「同業者なのね」とわかる人にはわかるのだが、潜入捜査員として万能過ぎないところはリアルのように思う
見つけたカメラデータの解析をジャンクショップのカルロス(パブロ・アンドレス)に頼むのだが、その時のやりとりもスタイリッシュだった
切れる関係を惜しむ2人だったが、レオが現役の刑事で、ブリュッセルが管轄なら、2人でいろんな事件を解決したのかなと思った
マリーヌ・バクト
スタイリッシュな映像で、終始クールなトーンが続きます。
途中、少ーしダレたかな…
あらすじ読まずに観たんですが、何が起きているのか、どういう事なのか、どうなるのか、徐々に徐々に分かっていく感じが良かったです。
最後まで観ると、そういう事か!と。
終わり方が好き。
必見作ってワケじゃないけど、まあ良かったです。
70点ぐらい。
主役より、準主役ぐらいの女刑事を演じたマリーヌ・バクトがカッコ良くて存在感ありました。
カッコイイ!!
彼女が出てる他の作品も観なきゃ(笑)
ストーリーがよく練られていた
最後には事件のあらましが分かるが事件自体はありがちで、アッと驚く展開はなかった。
チープな事件にもかかわらず、裏がありそうな主人公の行動が事件を複雑にし、また少しずつ主人公の正体と事件の全容が解けていくストーリー展開は良く考えられていた。
序盤は正体不明の主人公感を出すためギャングっぽい行動をするし、後半は正体もおよそ判明するためか、人命を優先した行動をとるようになる。どうしてもチグハグ感が出てしまうけど、まずまず面白かった。
映画の構成に配慮がなくストーリーを追いにくいのが最大の難点
今年192本目(合計1,284本目/今月(2024年5月度)26本目)。
(前の作品 「碁盤切り」→この作品「ティアーズ・オブ・ブラッド」→次の作品「」
なぜかt-joy系列(広島ならバルト11など)「だけ」で固め打ちされている作品がいくつかあるのですが、そのうちの一つです。
まず、タイトル関係から混乱させてくるのが映画の特徴で、このタイトル名は英語表記のものでアメリカ映画かなと思うと実はフランス(ベルギー?)が舞台で、かと思えばこのサイトの原題タイトルはスペイン語ですが、始まると「フランス映画あるある」の、あの形容しがたい独特の音楽で表示される「CANAL+」の表示。あれ?フランス映画なのかな???というところでまず混乱させてきます。
ストーリーの筋は何となく理解はできるのですが、文字として感想を起こすのが難しい事情として「理解を完全にしにくい」点があります。映画をご覧になった方はわかりますが、フランス語字幕(一部、スペイン語)について、白いコンクリートを歩いているところやカーテンの部分など、文字が見えにくいところでもどんどん出しているので、もはや色覚検査か何かかというような有様で、一方でフランス映画なので聞き取りもほぼ不可能です。ここまで「優しくない映画」も珍しいんじゃないか…といったところです。
ただ映画の言わんとする筋は理解できますし、「フランス映画扱い」ではあるものの、フランス映画独特の余韻を残すタイプかというと微妙で(一応、やや解釈をゆだねる部分はある)、フランス映画ではあまり見ない「撃ち合いシーン」(要はアクションシーン等)等が多いことから、ここの原題通り、スペイン語版が元でフランス語版になり、それをさらに日本語版にして、タイトルも大きく変えた(なお、現代タイトルは「生と死のはざまに」程度の意味。仏西共通)ために「入るシアター間違えたのか」というほどわかりづらいのが難解かなといったところです。
もっとも幸いにも90分ほどの映画なので、ストーリーを完全に追えずに詳しい感想を書けない(書きたくないのではなく、うかつに「書けない」)としても、ある程度の常識的な理解はできるし、字幕が極端に不親切な点も、配給会社側の問題だとしても、スペイン語版からフランス語版がある模様であるこの映画では日本の配給会社もいかんともしがたい点があり(この辺の表示を勝手に変えると著作権法上トラブルになる)、まぁ「大人の事情」で生じた部分は程度の差はあれ生じています。
ただそれでも90分ほどでのストーリーなので、かなり(「少し」どころでは済まない)字幕の読めない部分があっても「言いたいこと自体は映像を見ていればわかる」のもこれも確かで、なり立ちが特殊(スペイン→フランス?)ということまで考えて甘めに減点なしのフルスコアにしていますが、こうした難があるので、「字幕までしっかり読み込んでフランス映画でアクションを楽しみたい」という方にはおすすめはできません。換言すれば、字幕は二の次で画像(映像)をみて6割でも展開を理解できればそれでよいと考えるなら推せるという極端な部分です(これが英語の映画なら、「英検準1くらいあれば聞き取りでも対応できます」とはいえましょうが、仏検1級や準1級ホルダーも日本では少ないのでは?)。
この「字幕の読みにくさ」に関しては、ここや公式サイトの予告編などからでもそれがわかるシーンがあるので、確認してからのチョイスがおすすめです。
ベルギー人は旧車好き?
死に際の息子から渡されたものを手がかりに、息子に起きたことを調べる地下鉄運転士の父親と、彼を手掛かりに強盗事件を追う警察の話。
ブリュッセルの地下鉄でホームから列車に青年が飛び込んで、衝突せずに列車は停止できたけれど手術中に死亡してと始まっていくストーリー。
何で地下鉄の運転士風情が闘える?そして狙われる?が序盤は解りにくかったけれど、息子が強盗に関わっていたという話しになって、インターポールがなんちゃら、スペインでの素性は???
まあ正体はなんとなくはわかった感じだけれど、仇討ち?それとも自分の手で?
あまり深さや派手さのある物語でも映像でもないし。テンポもあまり良くないけれど、孤軍奮闘するオヤジと後手後手の警察と、そしてどちらが主目的かわからないながらの少女と一味との対峙と、なかなか面白かった。
意外とおもしろかった
期待値ゼロで観たからかもしれませんが、そこそこ楽しめました。
復讐ものなんですが、何が起きたのかを主人公とともに徐々に見せていく構成が飽きずに観られた要因かと。
あちらの映画なので、邦画みたいな間はもちろんあります。
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