劇場公開日 2024年8月9日

「登場人物の個性が光るガールズ・ムービー」新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5登場人物の個性が光るガールズ・ムービー

2024年8月10日
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インターネットのご時世ながら、足でかせぐ取材に、壁新聞に、紙の号外の配布と、新聞部のアナログな活動ぶりが微笑ましい。
なんと言っても、髙石あかりが演じる新聞部の部長のキャラクターか強烈で、圧倒的な存在感を放っているのだが、彼女に振り回される新入部員を演じる藤吉夏鈴も、初主演ながら、個性的なキャラクターを存分に発揮していて、強い印象を残している。久間田琳加も、スクール・カーストの頂点に君臨する文芸部の部長を、いかにも「お嬢様」然と演じていて、悪役を楽しんている感じが良い。
謎の小説家が誰か察しがついてしまったり、ラストの陽動作戦が読めてしまったり、敵だと思われた人物が味方になることが予想できてしまったりと、どんでん返し的な驚きはあまり味わえないものの、それでもコミカルな展開は楽しめるし、勧善懲悪の結末にはスッキリすることができる。
そもそも、高校生の文芸コンテストに、それだけの価値や影響力があるとは思えないし、あれだけあからさまな不正が行われるということにも説得力が感じられないのだが、そこは、フィクションとノンフィクションの関係性を考えるための仕掛けとして、素直に受け入れようと思ってしまった。
ところで、その後、新聞部はどうなったのだろうか?不正を暴いた功労者として存続できたにしろ、新入部員がいなくて廃部になったにしろ、ここは、ラストで、きちんと説明してほしかったと思う。

tomato