新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!のレビュー・感想・評価
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藤吉夏鈴の非アイドル的魅力を活かした青春映画。小林啓一監督作としては物足りなさも
バラエティ「あざとくて何が悪いの?」の番組内連ドラやNHKドラマ「作りたい女と食べたい女 シーズン2」で、女優としての藤吉夏鈴の魅力を高く評価していたので、今回の映画初主演も嬉しい限り。櫻坂46の現役メンバーでありながら、華やかな笑顔で陽のオーラを振りまく王道の美少女アイドルとは異なり、少年のような朴訥とした雰囲気と、憂いを秘めた陰りある表情が特徴的で、だからこそたまにしか見せない穏やかな微笑のインパクトが増す。この「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」も、そんな藤吉の特有の魅力をうまく活かしていると思う。
一応ミステリ仕立ての話にはなっている。高校1年の結衣(藤吉)は、憧れの若手作家・緑町が在籍するという文芸部への入部の条件として、新聞部に潜入して緑町の正体を突き止めることに。緑町の小説は高校生対象の文芸コンクールで選外にはなったものの文芸誌に全文掲載されたと説明されるのだが、常識的に考えたら本名が分からない応募者を審査対象にするはずがない(ペンネームだけで応募可能なら大学生や大人のなりすましを排除できない)、よってミステリの前提自体が破綻しているわけで、観ながら「なんだか中高生が考えたような脚本だな」と思っていたら、あとで原案者が高校生の時に考えたアイデアが基になったと知ってびっくり。もちろん最終的にはプロの脚本家が手を入れて完成稿になったが、本格ミステリを目指すのではなく、緩めのミステリ風味と軽い笑い、そして不正を暴くジャーナリズムへの憧憬を組み合わせた学園青春物としてまとめたのだろう。
小林啓一監督については自らのオリジナル脚本で撮ったデビュー作「ももいろそらを」が大のお気に入りで、「殺さない彼と死なない彼女」と「恋は光」も観たが、ちょっと変わった女性キャラクターを魅力的に描くのが上手い印象。ただし3作目から漫画原作物が3本続いており、6作目にあたる本作も他者の原案・脚本ということで、小林監督の持ち味が十分に発揮されていないもどかしさも感じた。そろそろ自身のオリジナル脚本で新作を、と心待ちにしている。
リアルでありながら、不思議な物語世界へと誘われる
人気アイドルグループ「櫻坂46」の藤吉夏鈴さんが映画初出演にして初主演を務めたアイドル映画として充分楽しめますが、本作はそれ以上の輝きを放つ青春映画に仕上がっています。メガホンをとったのは、「ももいろそらを」「殺さない彼と死なない彼女」などのひと癖ある作品で青春映画の演出に定評のある小林啓一監督。藤吉さんの俳優としての魅力を引き出して主人公トロッ子と融合させ、藤吉さんもその演出に応えて新たな可能性を見せているのです。
文学少女で憧れの作家がいる名門高校の文芸部に入部するはずが、ひょんなことから非公認の新聞部に潜入し、新米記者として活動することになった主人公のトロッ子こと所結衣が、高校の闇に切り込んでいくことになります。取材を続けるうちにジャーナリスト魂に火がつくトロッ子を、藤吉さんが内に秘めたような眼差しで真っ直ぐに演じ、彼女が醸し出す独特な空気感とテンポで突き進んでいく様が、破天荒な新聞部部長を演じた髙石あかりさんに引っ張られながら物語展開をけん引していくのです。
今回は大野脚本の台詞の要素も強いですが、小林監督の演出は、通常のテンポとは異なるような台詞まわしと俳優同士の掛け合いが特徴的。特に注目して欲しいのは、登場人物たちの視線とその交わりです。カットごとに切り取られる視線の方向とつなぎが的確で、それによって人物同士の感情の交わりが伝わってきます。成瀬巳喜男監督の視線の演出を想起したほど。また、主人公たちを切り取る世界も光(自然光)を意識した画面とカメラの動き(特に横移動)、風や電車などの日常における生活音によって、リアルでありながら、不思議な物語世界へと誘われます。
『推しの子』じゃないけど、アイドルが女優さんとしてどうなっていくのかかなり興味がある。
この映画が見たいというよりも、櫻坂46の藤吉夏鈴さんが見たいという気持ちのみで見に行った。
欅坂46時代から好きで、ずっと注目していた。
注目したきっかけは冠番組の最初の学力テストだった。
おバカ女王にはならなかったけど、”天ちゃん、藤吉、松平”とMCの澤部さんにセットで呼ばれていた3人は、珍回答を連発していて面白かった。
その後、冠ラジオ番組にゲストで来た時にトンチンカンなことを言っていたので、さらに注目するようになった。
それから櫻坂46になり、表題曲ではないけど初めてセンターをやった「なぜ恋をして来なかったんだろう?」のMVを見て決定的になった。
「なぜ恋」は曲もよかったけど、MVもすごく完成度が高かった。
ちなみに個人的に好きな部分は、夏鈴ちゃんがメンバーの輪の外周を走り回って、その後真ん中に滑り込むところ。
走り方が汚い人もいるけど、フォームがきれいで滑り込みもうまかった。
それになんとなくグループ内での夏鈴ちゃんの立ち位置を象徴しているみたいでいいシーンだった。
夏鈴ちゃんは欅坂46時代の先輩の雰囲気を一番色濃く受け継いでいて、一言で言うと暗くてさわやかさの全くない変人。
顔は可愛いんだけど普通のアイドルみたいにキラキラ感が全くなくて地味。
でも雰囲気が欅坂46の初代センターだった平手友梨奈さんに似ているし、顔も『誰も知らない』の頃の柳楽優弥さんや、女優の波留さんにもちょっと似ているので、女優さんが合うのではないかといつも思っていた。
それで女優さんとしても注目していて『あざとくて何が悪いの?』とか、ドラマの『アオハライド』、NHK夜ドラの『作りたい女と食べたい女2』等もチェックしていた。
今回いきなり映画初主演ということで見てみた。
見てみたけど、内容的には恋愛が入っていない訳の分からない少女マンガみたいな感じだった。
この内容では有名アイドルを使わなければ商売にならないだろうと思った。
でも普通の有名アイドルだとキラキラしているからこの内容だとおかしなことになる。
それで苦肉の策としてキラキラ感の全くない夏鈴ちゃんが選ばれたんだろうと思った。
そういう感じなのでアイドル映画としても普通の映画としても中途半端な感じは否めない。
でも有名な俳優さんや若手のうまい女優さんも出演していたので、そんなにつまらないというわけでもなかった。
夏鈴ちゃんの演技はいつも通りで、うまいという訳でもなく、爆発的に人を惹きつけるものもなかったけど、そこそこ普通に見ていられた。
次に主演映画があるのなら、キャラには合わないけど本当の少女マンガ原作のキラキラした恋愛映画が見てみたい。
でも一応現役アイドルだからキラキラした恋愛映画は厳しいものがある。
夏鈴ちゃんはそろそろアイドルを卒業して女優さん(どちらかというと映画?)専業でやってみてもいい時期かもしれない。
ただ、現在の夏鈴ちゃんは髪の毛を金髪に染めてしまっている。これは些細なことのようだけどかなり問題だと思う。
金髪でいいという役はなかなかないし、黒髪の人に役作りで金髪に染めてくれと言うことはできるけど、金髪に染めている人に黒髪に戻してくれとは言いにくい。
そうすると夏鈴ちゃんを起用したくても、めんどくさいから他の人でいいか、となりかねない。
グループ内でもいったん一人だけ金髪に染めたら、グループ全体の印象が変わってしまうから黒髪に戻しにくくなる。
こうなると夏鈴ちゃんの女優生命にもかかわってきそうな気がする。
なんでマネージャーはやめさせなかったんだろう?
関係ないけど夏鈴ちゃんの将来が心配になってくる。
夏休み最後という事で学園モノを。
青春を駆け抜ける
いやぁ、面白かった! 小林啓一監督、さすがです。潜入スパイが対象に感化され、やがてその対象によって真実に目覚め巨悪を討つという、ある種の王道的な展開で、またある意味予想通りに物語は進んでいくんだが、社会派の色合いを持ちながらも青春エンタメ娯楽映画としてはそういう風に話が進んでくれなくちゃ困るというか、胸がスカッとして溜飲が下がり快哉を叫ぶ物語でなくちゃ困るのだ。そして主人公たちの若き正義感あふれる姿がクライマックスの疾走に重ねられていく爽快感。またも自然光のみで撮られたと思しき淡い映像美に彩られた大団円の終わりゆく青春の美しさ。本編に通じるエンディング曲の疾走感。とてもいい映画でした。
主演の櫻坂46の藤吉夏鈴という子は映画初出演にして初主演とのことで、やや拙い演技ながらもその拙さが主人公の朴訥さと素直さと無邪気さに上手くハマっていた。そして脇を固める新聞部長役の髙石あかり、文芸部長役の久間田琳加、新聞部副部長役の中井友望、元文芸部員役の綱啓永など若い芸達者俳優たちも皆好演。巨悪の理事長役の高嶋政宏もギャグにならないぎりぎりのラインで怪演してた。そのあたりのバランス感覚も小林監督は相変わらず上手い。出演者曰く、わずかな目の動きや前髪のミリ単位にまでこだわるという画作りの絶妙さ加減も健在だ。ちなみに小林監督の前2作『殺さない彼と死なない彼女』『恋は光』と違って恋愛要素はほとんどないんだが、それでもちょっとだけそこはかとなく百合っぽい感じもあったりなんかして。
1年生が主役の青春映画
主役の藤吉夏鈴さんは映画初出演にして初主演という大抜擢。統計を取ったわけではないが女子高生がメインの映画で1年生が主役という作品は珍しいのではないかな。しかも周りは全部上級生、これっていきなり難しい役ではないのかなと思いました。この時期1年ごとの変化が大きいからね。でも髪型やメイクも他の子よりも幼く見えるように工夫されていて(多分)あまり違和感を感じませんでした。ちょっと棒読み風なナレーションやセリフも1年生的なオドオド感があって悪くないと思いました。
別の話。髙石あかりさんいいですね。なんでも出来るスーパーウーマンになって行けそうな気がしました。(もうなってる?)
追加です。髙石あかりさん、NHK朝ドラヒロインヒロイン決定おめでとうございます。やはり見ている方はちゃんと見ているんですね。大いに期待しています。
勧善懲悪青春映画
今も終息したとは言い難い日大の不祥事を元に、在学中の学生だった宮川彰太郎が書き上げた原案を、小林啓一監督が映画化。
舞台は、文芸コンクール連覇の文芸部を有する名門私立櫻葉学園高校。文学オタクなのに文芸部への入部を断られた新入生の所結衣(藤吉夏鈴)は、仕方なく学園非公認の新聞部へ入部し、部長の杉原かさね(髙石あかり)、副部長の恩田春菜(中井友望)、顧問代理の山本(石倉三郎)に歓迎され、トロッ子と仇名をつけられる。
かさねのバイブルは、真実を求める探求心を謳った『前島勝美、我が記者人生』であり、そのモットーに従って学園に巣食う悪を次々と暴いていく。最初はその暴走する正義感に反発していたトロッ子も、徐々に共感を覚え、行動を共にしていくが、敵もさる者で逆に追い詰められていき……
理事長の沼原栄作(高嶋政宏)はじめ教師陣は、パワハラ/セクハラの被害者である山内(筧美和子)以外、滑稽なほど戯画的で胸くそ悪く、全員滅びてほしい。とはいえ、それを実現する勧善懲悪的なストーリー運びはけっこう強引。文芸部部長・西園寺茉莉(久間田琳加)と元文芸部の松山秋(綱啓永)の動向には、ご都合主義的な部分が目立つ。
ところが、そんな欠点があるにもかかわらず、新聞部3人の真っすぐで瑞々しい演技にはそれを上回る熱量があり、思わず応援したくなる青春映画に仕上がっている(高石と中井は人気シリーズ『ベイビーわるきゅーれ』からいい意味でタッグ感を引き継いでいる)。丁寧につくられたフィナーレからの落穂拾いも、映画体験としての満足度が高く清々しい。
文学好きの高1女子の話。 ある高校生作家のファンで、憧れて同じ学校...
本当は(パート2)
主役は髙石さん?
【「新聞記者」女子高校生バージョン。チープな感じが良く(褒めてます。)学園の闇に迫る女子高生達の正義感溢れる展開も佳き作品。ヤッパリ、キャリア上手の高石あかりさんが、特に良かったなあ。】
■「新聞記者」・・2019年に、今を時めく藤井道人監督が世に出したポリティカル映画の逸品である。そして、この作品はナント、シネコンでも上映され、大ヒットをしたのである。邦画の潮流を変えた作品であると言っても、過言ではないと思う作品でもある。
そして、今作は設定を高校に移し、学園の闇を暴こうと活躍する女子高生たちの姿が、ナカナカなのである。
◆感想
・演者の殆どの方を知らず、且つ若手の俳優さん達の演技は初々しい、と言うか申し訳ないが拙い。
そして、設定もチープ感が漂うのであるが、今作はこの感じが良いのである。(キッパリ!)
■ペンネームで作家活動をするミドリマチコノハに憧れて、コノハが在籍されているという私立高校に入学したユイ(藤吉夏鈴:アイドルさんだそうである。)は、文芸部の西園寺部長(久間田淋加)から入部を許可すると言われ、コノハへのインタビューの実績がある学校から認可されていない、学校の先生たちのスクープを得意とする新聞部に入部する。
そして、部長杉原かさね(高石あかり)ともう一人の部員恩田春奈(中井友望)と学校の闇に迫る中、学園理事長の沼原(高嶋政宏)から、様々な圧力を掛けられる。
・ヤッパリ、高石あかりさんの突き抜けた存在感が魅力的である。今作では、賄賂で、連続全国高校文芸大会3連覇を狙う理事長に、真向勝負をするところなどは、「ベイビー・ワルキューレ」の様であり、理事長をぶん殴って退学になった後に履いている黒いソックスには”国士無双”と縫い込まれているのである。何だか、凄いなあ。
・ペンに仕込んだ録音装置での理事長との”スクープ録音合戦”や、理事長の言いなりだった西園寺部長が、表彰式で司会から”作品について”を問われた時に、”読んでいないから分かりません。!”と答えちゃうところなども、大変宜しい。
<今作は、悪徳理事長に支配されていた高校生達が、”良くない事は、良くない!と言う存在が必要。”というジャーナリズム精神により、真っ直ぐに進む姿が、ナカナカな作品なのである。>
藤吉夏鈴さんの存在感
さあ、革命を起こそうぜ!
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