「ラストの一言」入国審査 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストの一言
意外性があった・・・と言うか、
最悪の事態を想定していたので、
逆に驚きましたね。
あれだけ怪しまれて、プライバシーに踏み込んだ質問をされて、
麻薬探知犬まで来て、髪の毛の中まで調べられて、
携帯やパソコンのパスワードまで聞かれて・・・
・・・エレナがアメリカが心底・大嫌いなる頃に・・・
「アメリカへようこそ」
と、パスポートにスタンプをポンポン‼️
そして英語で歌う“コングラチュレーション“の歌詞‼️
笑いが込み上げる最高のラストが、
“アメリカへようこそ“の言葉が、
ブラックジョークにしか聞こえなかったです。
(ディエゴには、天使の声に聞こえたでしょう)
■ストーリー
スペインのバルセロナ。
空港へ向かうタクシーの中には、一組のカップル👭
ディエゴ(38歳)とエレナ(32歳)
ディエゴはベネズエラ国籍で、エレナはスペインの国籍を持つ、
コンテンポラリーダンサー。
ディエゴは今は無職だけど都市開発クリエーター。
これから空港へ向かってアメリカへ向かうところです。
タクシー内では、スペインのお笑いタレントが、
トランプがメキシコの国境に建設する壁に、1ユーロ寄付しよう・・
なんて、ふざけたことを喋ってる。
(日付は2019年2月です)
無事ニューヨークの空港へ到着して、入国審査、
この後2時間後にはマイアミ便に乗り換えて叔父の元へ向かうはずが、
入国は許されずに別室へ。
そこから長い長い待ち時間と尋問を受けることになります。
そこで明かされる事実婚の相手ディブの《数々の疑惑と過去》
●
そもそも今回アメリカへ来たのは、
エレナが移民ビザの抽選に当たったから・・・
(そんな抽選が、あったのですね、当時)
●
ディエゴは過去にアメリカに滞在していた時に45歳のアメリカ国籍を持つ
女性と婚約していた。
それも1年間の交際期間に一度も会ったことのない女性と。
その期間はエレナとの交際期間とも重なるのだった。
◎エレナには全く知らなかった。ディエゴの婚約を。
◎エレナの顔は次第に曇り、ディエゴと視線も合わせなくなる。
《そしてヒスパニック系の女性審査官は告げる》
【ビザ目当てではありませんか?】
と、ディエゴに質す。
とてもニッチでタイムリーな企画テーマを、65万ドル(1億円程)の
予算でたった17日間で撮りあげた手腕には脱帽です。
ただ、もう一捻り、もうひと堀がほしかったです。
ディエゴに決定的な何か、爆弾がひとつあったら
良かったと思います。
◆取り調べ中に、ガタガタしたり、突然停電したり、
部屋を何度も移動させられたり、不安を煽る演出は巧み。
77分と短くて、ちょっと物足りない気もする心理ミステリーでした。
物価高や政治不安、犯罪の複雑・巧妙化、
不法移民や不法就労問題などで、
ますます入国審査も厳ししくなりそうですね。
■
ただ一つ確実なのは、ディエゴとエレナの関係性には、
赤信号が点滅してしまいましたね。


