大きな家のレビュー・感想・評価
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メディア向けのきれいごとを言わない子どもたち
『14歳の栞』の制作チームに斎藤工が合流して出来上がった、ある児童養護施設のドキュメンタリー映画。普段の施設の日常を、子供たちの目線で撮ることを徹底していて、感動的な演出などをしない点がいい。子供たちの発する言葉が、「メディア向けのきれいごと」ではないのだ。施設の職員や子供たちを「一緒に住んでいる他人という感覚」と言ったりする。当然、「血は繋がってなくても家族だ」という言葉の方がメディア受けはいいわけだが、決してそういう言葉を言わせようとしない取材スタイルが良い。
ミャンマーの児童養護施設に行くエピソードがあるが、そこの子供たちは対照的に、みな家族だと言う。この違いは何だろうか。家族の捉え方の違いか、日本的な照れや謙遜のようなものがあるのか。
本作は、子供たちのプライバシー配慮のために映画館のみで上映される。『14歳の栞』と同様のやり方だが、映画館というある程度クローズドな場所だけで見せることができるもの、というのがある。ある程度、クローズドであるということ、これも映画館の価値だと思う。
家族とも他人とも言い切れない、そんなつながりのなかで育つ
2025年映画館鑑賞41作品目
4月29日(火)一関シネプラザ
通常料金1800円
俳優の斎藤工企画プロデュースのドキュメンタリー
監督は『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』の竹林亮
動画配信しない
DVD化もしない
公開は映画館のみ
映画鑑賞前こんなビラが配られた
「この映画に登場する子どもたちや職員は、これからそれぞれの人生を歩んでいきます。」
「SNS等を通じて、出演者個人に対するプライバシーの侵害の侵害やネガティブな意見、各家庭の詮索や勝手な憶測、誹謗中傷を発言することはご遠慮ください。」
「また、ご近所にお住まいの方は、施設名や地名の言及はお控えください。」
「どうかご協力をお願いいたします。」
スクリーンでも念押し
X民とかヤフコメ民とかからすれば手足をもぎられたようなものだろう
何も書けない
蝶々になって飛んでみたい7歳の女の子
卓球少年の11歳の男の子
野球少年の14歳の男の子
高校に進学する15歳の女の子
アクション俳優になりたい17歳男性
退所し社会人になる18歳女性
大学進学し陸上部に所属する19歳男性
7人の目線を中心に展開
方針に従いあえて名前は伏せる
正直いうと1人だけ名前を忘れた
野球少年
そっちの方から具体的な路線を言っちゃダメでしょ
そこは伏せないと
東京都民じゃないけどすぐにわかったよ
だって昔その近くに住んでいたし生まれた場所もわりと近い
懐かしいな
耳が不自由な人にも配慮したのか
全て字幕付き
優しい世界
ちょっと長かったかな
あとスケボー上手いね
今の東京の子たちはこのくらい当たり前なのかな
よりよく生きる(生きさせる)ことに全振りした覚悟と温かさ
子どもたちを支える職員のあたたかさ
公開4ケ月目、大阪では劇場を変えつつも公開が続いていて、私が観た平日午前でも30人くらいは観られていただろうか 児童養護施設は昔の孤児院と言われていた時代から大きく変わっている 孤児よりも実の親がいる子が多いし、多人数の部屋から個室化が進んでいる それだけに個々の子どもの背景は多様であり、実親と児童相談所の間で子どもを支援される職員の方の思いが強く感じられた 登場された子どもたちはごくごく普通の子どもたちである 自分の今の思いも、将来への思いも、きちんと語っていた 社会の大変さを知る映画を観ている私たち大人は、彼ら彼女らが幸せに、これから普通に生きていくことを願わずにはいられないが、普段子どもたちを支えている職員の方の思いはとても大きいものであろう 映画のはじめに、卒園した子どもたちについて、たくさんの貯金ができた者、パチンコ店で永く勤めている者がいる一方で、厳しい生活に直面している者も少なくないことが語られていた 親以上に昼夜を問わず、年末年始も問わず子どもに寄り添い、一人ひとりの子どもたちの誕生日を祝ってくれる「おとな」である職員の方々 我が子を育てる何十倍も心配をして、見守ってこられたこと おとなは決して冷たい存在ばかりではないことを、子どもたちには感じて欲しい
(3月27日 扇町キネマにて鑑賞)
『大きな家』を観てきました。
こどもが主役ですがおとな達の無償の愛を感じる映画です。 世の中は生産性など成果主義が叫ばれています。 この事業だけは何事も無く穏やかに継続して欲しいと思いました。 『14歳の栞』と同様、配給はPARCOです。 映画館のCINE QUINTOを運営しているのは承知していますが このような商業的で無い作品に出資するとは少し見直しました。 清原果耶さんと南沙良さんは16・17歳の時にこども達と生活を一緒にする女の子の役を演じましたが 人の内面は複雑で心の機微を捉える難しさに悩まれた事を吐露されていました。 この映画はこども達の笑顔で救われますが自分が理解している以上に重たいthemeなのかも知れません。
「大人の都合」に振り廻された子供達
納税の意義を感じる作品
ある児童養護施設の日常を映像に収めた作品です。
予告を見たときは、受け止めきれる内容か不安もありましたが、実際はすがすがしい気持ちとともに映画館を出ることになりました。
設備も運営も充実した施設だったことで、親がいないとか親と離れても、保証される社会保障のレベルがこのレベルならば安心だと感じました。
独り立ちするにあたっての準備期間を過ごす、自立準備室では、アパートで独り暮らしするような体験ができるので、施設から出た後の予行練習も十分できるという点で、一般家庭よりも恵まれているところもあると思いました。
登場する子供たちのほとんどは、施設にいる人たちは友達よりも近いけど、家族ではないと言う。でも、それは家族だと断言する子もいる。
私の考えは、家族とか親子というのは血縁ではなく、社会的な結びつきによるものであるほうが、そこに属する人たちの可能性を引き出すことができるというものであり、最後に出てきた子供と意見が一緒です。
クラファンで集めた資金でネパールの児童養護施設にボランティア研修をしにいったメンバーは、血縁に縛られず幸せそうに過ごしているネパールの子供たちを見て、そうした考え方に気が付き、そのほうが幸せだと悟るのですが、日本ではそれができると思えないとも発言します。
儒教とか家父長制とか、凝り固まった人間関係のフォーマットが人間の幸せを奪っている理由なのだと改めて感じました。
また、出自や家庭環境に関わらず、子供たちが健康で文化的な生活を送るために必要な財源は、大人の負担で確保しなければならないとも感じました。
配信、円盤化しないというので
おしゃれなドキュメンタリーでした
この映画出てくれた子どもたち職員の方たちにはもちろん感謝しかないけ...
児童養護施設の日常
やっぱり家だろうな
飾り気ない
《人をそこに想像する》
家族という捉え方はさまざま
映画館での上映のみ、ソフト化も配信もしないということで、ずっと気になっていたものの、なかなか後回しになってしまっていたけれど、やっと上映時間が合って観ることができた。
児童養護施設というと、なんとなく触れちゃいけないような気がしていたけれど、そこで暮らす子たちは意外にもドライに自分の境遇を捉えている印象。みんな将来の夢や目標を持って、悲壮感のようなものは感じない。
そして職員の方々も怒りもするし叱りもする、時には辛辣な事も言い合うし、成長を喜び泣きもする。
家族ではないと言いつつも、心の拠り所でもある、なんだか不思議な関係。
未就学の小さな子から始まり、小学生から思春期、反抗期の中高生、そして施設を出た19歳までの子たちが登場する。
18歳になったら自立する訓練をして退所、特に用事がなければ戻ってきてはダメというルールに少し驚き。
今では18歳は成人の歳とはいえ、強制的に大人にならざるを得ないのかと思うと、自分は甘ったれだったなと感じるし、もしかしたら今でもそうかもしれない。
なぜ施設で暮らすことになったのかは様々だけれど、死別だったり、離れて暮らしていると本人が話すことはあっても、あまりそこは重要ではないから明かされることはない。
撮影に関しても、東京である事は明かしてはいるけれど、時折差し込まれる町の風景も、あまり個性のないどこにでもある街並みで、極力特定されないようにしているのが好印象。
観るまで7週かかったけど、観てよかった。
「放課後カルテ」で毎回泣く私ですが…
配信なし、今すぐ映画館へ!
現在、日本で児童養護施設に暮らす子どもたちは何人いるか? …答えられない人はもれなく、この映画を見るべし。プライバシーの観点から配信はないと言うから、今すぐに…!
カメラの前の児童たちは、子どもらしい無邪気さをまといつつ、時に子ども離れした鋭さを見せる。全編にほんのりとした切なさがありつつ、今を生きる子どもたちの姿は美しく、思わず応援の拳をにぎってしまう。
何より本作で描かれている児童養護施設の日常は驚くほどリアル。彼らは日々何を食べているのか?洗濯はどうしているのか?部活はやっているのか?そんなことすら知らなかった自分の無知さを突きつけられる。
鑑賞後、「児童養護施設」という文字の羅列が、輪郭をもった立体的なものに感じられる。映画館でしか観られない、だからこそぜひ観たい名ドキュメンタリー。
その人なりの幸せを願って
現在進行形で施設にいる子は「ここは家ではない」と話し、施設を卒業した子の心には、よりどころのようになっていたのが印象的でした。
映画の冒頭で施設職員の方が「卒業した子の中には、連絡が取れなくなる子も相当数いる」とお話されていたので、それだけこの世の中は、「世の中が考える一般的なレール」からはずれて生きている人々に、厳しいのだということなのでしょうか。
施設職員と子どもとは、わりと関係良好なシーンが多く映っていましたが、現実では、長所も欠点もある人間同士、どうあがいても上手くいかないことはあるでしょう。
「世の中が考える一般的なレール」の枠内に収まっているはずの私でさえ、親子関係、家族関係に日々悩むのですもの。
この世に生を受けたすべての人が、それぞれの環境で、その人なりの幸せを感じながら毎日を生きていけますように…そんな気持ちになりました。
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