「それぞれの事情、それぞれの思い〜複雑」大きな家 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの事情、それぞれの思い〜複雑
色々評判になっていたので鑑賞。
様々な事情で親と暮らせない子供たちが集まって
職員さんにサポートされながら暮らす養護施設を取材したドキュメンタリー。
賑やかに誕生日を祝うシーンや、施設で行われる様々な行事など
子供たちの遊ぶ姿や軽く喧嘩する姿も織り込んで、
幼稚園に通う年齢の少女から、18歳で施設から退所して
施設の近くで一人で暮らす大学生まで、数人の子供たちに密着して
日頃の暮らしへの感想と施設の仲間や職員に対する本音を
インタビューしている。
この映画は撮影に協力してくれた子供たちのプライバシーに配慮し
ビデオ化や配信はされないので、興味のある方はぜひ劇場で!
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
私の頭の中が養護施設と言うと「タイガーマスク」に出てくる
ちびっこハウスからアップデートされてなくて(何十年経ってんだ!)
今時の施設の充実度にまず、驚いた!
それぞれ個室になってて、食事も担当の職員さんが作ってくれる。
洗濯物や身の周りの物も、年齢の低い子供たちには、
本当の親がするように職員さんが片付けて準備したりしてくれる。
本当の親子ではないけれど、一般家庭に少しでも近づけるように
色々工夫されているんですね。
一緒に暮らす仲間と職員さんたちを子供たちはどんな風に思っているのか?
例え一緒に暮らしていなくても、親との関係がそれなりに良好な子供たちは
「血が繋がっていないので家族とは言えない。」と答える。
親との関係が破綻しかけていて、薄々それに気付いている子供は
「家族みたいなものかも〜」と曖昧ながらそっちの方向で答える。
それぞれの実の家族との関係性によって、施設生活のポジションが違う。
それぞれに複雑な感情〜〜
子供によって、施設の仲間を「家族」として認めてしまうと
自分が本当の家族と暮らせていない寂しさと現実を
丸ごと、受け止めないといけなくなる。
あくまでも施設の暮らしや仲間は「仮の存在」としておく事で
「本当の自分」を保とうとする様な健気な姿がほの見える。
兎に角、
みんな元気で!
みんな自由に生きられる様に!
願わずにはいられない。