毒親 ドクチンのレビュー・感想・評価
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毒親を生み出しているのは、無関心を貫く傍観者なのかもしれません
2024.5.13 字幕 京都シネマ
2023年の韓国映画(104分、R15+)
ある女子高生の死を巡って露わになる家庭問題を描いたミステリー映画
監督&脚本はキム・スイン
原題は『독친』、英題は「Toxic Parents」で、ともに「毒の親」という意味
物語の舞台は、韓国のソウル
受験を控えた女子高生のユリ(カン・アンナ)は、ネットで知り合った人たちとホンイン湖を訪れていた
ジュンテ(カン・ヒョンイル)は近くの喫茶店でコーヒーとケーキを買い込み、チャンヒョン(タクヤ)とウンソ(パク・ウンソ)らもパーティーの準備をしている
彼らは「自殺志願サイト」で集まった若者たちで、その日は決行の日だった
最後の晩餐とばかりにバーベキューを楽しみ、そして4人は軽バンに乗り込んだ
その後、軽バンの中から3人の遺体が発見され、一人は逃走していることが判明する
事件を担当することになったオ刑事(オ・テジョン)、チャン刑事(ユン・ソジン)、ユン刑事(ソ・ヒョンギョン)たちは、遺体の身元確認を急ぐ
そして、その知らせは、ユリの母ヘヨン(チャン・ソヒ)のもとに届いた
ヘヨンは「自殺をするような娘ではない」と食ってかかり、現場から逃走した男が犯人ではないかと言う
また、ユリが不良娘のイェナ(チェ・ソユン)と付き合いだしてから素行がおかしくなったと言い、前日に担任のギボム(ユン・ジュンウォン)ともおかしなやりとりがあったと言い出した
遅々として進まぬ警察に苛立ちを見せるヘヨンは、あろうことか「担任とイェナを犯人だと告訴」してしまう
それによってオ刑事たちも余計な仕事が増えるのだが、この自殺騒動の背景からはおかしなことばかりが発見されるのである
映画は、ユリがどのような理由で自殺に至ったのかを紐解く流れであるものの、一人が逃げ出したことで事件性を窺わせる内容になっていた
いわゆるミスリード的な流れだが、物語のテーマを考えると、車の外で倒れているところを発見される、で良かったように思えた
いわゆる「毒になるほどの親の愛」というものが描かれていて、過干渉すぎるヘヨンの実情が描かれていた
だが、親は一人ではなく、父チャンフン(ソン・ヨンジン)も存命だったことを考えると、あながち母親だけの責任とも思えない
父と娘で二人だけで会おうとしても、その後のことを考えて母(妻)に連絡するし、最終的には「過干渉だとわかっている」のに、子どもを放置して家を出て行ってしまっている
このあたりの背景を考えると、毒親というものは片方だけの問題ではない(シングルも広義的には同じか)と言えるのかもしれない
映画では、イェナとの関係を悪く言われ、彼女の夢を台無しにする行動を起こした母への当てつけのようなものだが、実際には「ユリの強すぎる母への愛」というものが、歪な方法を選んでいたことがわかる
彼女は「死んだらお母さんのお母さんになりたい」と言い、その理由は「お母さんに愛し方を教えるため」だった
母親か自分かどちらかがいなくなるしかないと考えた先に出た結論というものが、自分を殺すのではなく、死んで母親を1から教育し直すというところに、ユリの病的な愛というものが描かれているように思えた
かなり強烈な内容だが、殺人と自殺を並列に描くミステリー部分は不要だったように思う
第4の男が犯人であるかのようなミスリードがなくても、ヘヨンはハナからイェナや担任を疑っていた
彼が証言することでユリの本懐がわかるのだが、それは彼が生きてあの時のことを話せばよかっただけなので、一酸化炭素中毒で死にきれなかった、というのでOKだったのではないだろうか
いずれにせよ、韓国の社会問題を切り取っていて、学歴至上主義の闇を描いている
そんな中で、自分の行動を微塵にも悪いと思っていない母親を描き、最後まで変わらないところがリアルであると思う
ラストでは、姉が消えたことで的になっている弟ミンジュン(チェ・ウンジュン)の叫びが聞こえるのだが、彼にどうやって姉の死を説明するのだろうか
このあたりも含めて、いずれ真相がわかった時に何かが起こりそうな不穏さを抱えたまま、映画は終わってしまったように思えた
世界中の永遠の問題
国民病
湖畔の社中で死んだ高校生の娘の死を巡りファビョる母親の話。
10歳以上歳上の男女2人と共に死んだ娘の死が担任教師による殺人であると騒ぎたてる母親と、訴えられた教師、捜査にあたる刑事が聴き込む体で過去に遡ってみせていくストーリー。
三現主義を無視して捜査する警察とか、何を持ってして告訴出来ているのかもわからない母親とか、ミスリードにもならないミスリードだけれど、事件性を匂わせるからまどろっこしい。
そして母親があまりにも見え見え過ぎてなんだかね…娘にしたって、そこまでの態度を示すなら、薬の理由はお前だって言えば良いのに…。
日本人からしたら強烈な火病だけど、隣国民からしたらそれ程強烈でもないのかな?
話し自体は面白かったけれど、解が出てからも長ったらしく説明的だし、もうちょっとスッキリならなかったかな。
韓国の教育ママは怪物!ミステリードラマ
お母さん、あんたはイカれてるよ!腹立つ!お前のせいだよ。皆んなのせいにしやがって。あー腹立つ。
先生、あんたも被害者だったんだね。だからこそ、、、
親父、ザマーみろ!スカッとしたよ。
不気味で怖くて面白かった‼️
ポレポレ東中野さん、上映してきださり有難う御座いました。感謝致します。
母という名の呪縛、娘という牢獄
自殺サイトで集まった男女が車内で一酸化炭素中毒による自殺を図り女子高生ユリが亡くなる。このユリの自殺の原因が明らかにされてゆくサスペンスタッチの作品。
韓国映画には珍しく担当する刑事が優秀で慎重な捜査が繰り広げられる。しかしタイトルでネタばれしてしまってる通り自殺の原因はやはり母親にあった。ただ、これは母親の過干渉やら共依存を苦にした娘の自殺というのではなく、その決断に秘められた少女の思いに驚愕させられる。
キーとなるのはユリの部屋で見つかった子供が書いた絵日記のページの切り抜き。それは虐待する母のことをユリが書いたものと思われたが、実はユリの母が子供の頃に書いたものだった。
ユリは母が虐待されて育ったのを知り、それで自分に対して過干渉してるのだと理解する。愛を知らずに育った母、愛を知らないからこそ自分が経験したような思いを娘にはさせたくない。自分は誰よりも娘を愛したいという思いからの過剰なまでの愛情表現だったのだろう。
そんな母の歪んだ愛を理解しながらもそれが自分を苦しめている。この負の連鎖を止めなければならない。そのためには母か自分が消えるしかないという極端な考えに支配されてしまい、今回自殺を図ったのだろう。
自殺間際、彼女は笑顔を見せていたという。それは最初は憎い母への復讐ができた満足感からと思われたが、本当はこの不幸な連鎖から母や自分を解放できることへの満足感からだったのだろう。
命を懸けて母をこの無間地獄から救おうとした娘の決断に驚かされる。娘が命を懸けて断ち切った負の連鎖。あとは母親次第だ。残された次男に対して同じ過ちを繰り返すのか、娘の思いを理解してこの負の連鎖を断ち切れるかは。
本作は一見、毒親をテーマにしたサスペンス映画ながらもユリの担任教師も同じように酷い父親に苦しめられている姿が描かれていて、どこの国でも同じような親子関係があることが思い知らされる。この教師の父親はトランプ大統領の父親にそっくりだ。そのせいでトランプはあのような人間になってしまった。
レビューの表題に書いた通り、日本で起きた滋賀医科大生母親殺害事件を連想させる本作。でも本作はさすがに創作だけに最後には希望の持てる結末に。実際に起きた事件の方はもっと残酷で救いがない。まさに事実は小説より奇なりだ。
この事件以前にも子供を医者にしたいがために父親がスパルタ教育を続けてその子がストレスで家に放火して母親が亡くなる事件なども起きた。
子は親の所有物じゃない。子供はあくまでも授かりものであり、親は育てさせてもらってるに過ぎない。過度に親が期待をかけたり、過度に愛情を注ぎこむのは子どもにとっては大きなプレッシャーになる。子供でもなんでものびのび育ててやるのが一番だろう。
本作は結末としてはユリが自己犠牲により負の連鎖を断ち切る道を選ぶが、これは少し美化しすぎな気がする。いくらなんでもこれでは彼女が聖母過ぎるだろう。やはり等身大の女子高生にここまでのことはできないだろうから、母を憎み母を苦しめるために自死したという方がリアリティは感じられる。
作り話だから美談で終わらせたかった制作側の気持ちもわからないではない。確かにこの方が見終わった後の気分はだいぶ違う。
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