「物語り、構成、演出、テーマ・・・全て完璧である。」毒親 ドクチン mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
物語り、構成、演出、テーマ・・・全て完璧である。
世界共通のテーマでありながら、最もこの現象が表出しやすい、韓国の映画作品として取り上げられた意義は大きい。「愛」の本質が興味なのか、関与なのか、はたまた執着なのか・・。一方で無関心で無い関心とは?愛する主体への自己愛と錯覚されがちの愛をどう解放するのか?自己犠牲が本質なのか?それとも同化なのか?保護関与なのか?人類が永遠に希求してきた愛の本質を、最も関係の濃い親子の間で取り違えられがちな愛の形が虐待と変容しないその境界点とは・・・。古くからある永遠の連鎖を伴うこの重い問いに出した答えはこの作品の中にあるのか?見た人だけが自らの人生と照らし合わせて回答を見つけるしか方法がないだけに、この作品の答え無き結末の表現形式は極めて優れていると感じずにはおれなかった。傑作である。
【修正評】
サスペンスの体をなしながら、世界共通のテーマ「愛」についてこれほどまでに不覚考えさせられた映画はチョッと他にない。オープニングからエンディング迄サスペンス的な要素で引っ張られながら、その同時進行で「愛」とは何かをずっと考えさせられるように仕掛けがなされている。この仕掛けはネタではないので鑑賞には全く影響せず、ココでは明確にお伝えておきたいのだが、この考えさせられる仕掛けよりも、その仕掛けによってどこに鑑賞者が向かうのかはこの作品と向き合った鑑賞者だけが知る問題となっている点がポイント。ただこの解は物語の進捗とは全く関連付けられてないので、純粋に物語のスリリングは楽しめる構造になっている。
とにかくお薦め。この物語のネタのもたらす恐怖とあなただけのあなたの人生の中での解をこの結末と是非照らし合わせてみて貰いたい作品である。