「【”"鳥籠、そして回帰不能点。”謎の生き物が、夜の帳が訪れるとガラス張りの部屋の中に逃げ込んだ”人間”達を覗いていた訳。”今作は北欧の民間伝承をベースにした如き、ダークテイスト漂う作品なのである。】」ザ・ウォッチャーズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”"鳥籠、そして回帰不能点。”謎の生き物が、夜の帳が訪れるとガラス張りの部屋の中に逃げ込んだ”人間”達を覗いていた訳。”今作は北欧の民間伝承をベースにした如き、ダークテイスト漂う作品なのである。】
■”前半の”登場人物は、籠の中の鳥を届けるためにアイルランドの北にある奥深い森に踏み込んだ、主人公ミナ(ダコタ・ファニング)と彼女が逃げ込んだ森の中の全面ガラス張りの一面と他面はコンクリート打ちっぱなしの建物の中で避難しつつ暮らす初老で白髪の女性マデリン、夫ジョンと森に迷い込んだキアラ、そして情緒不安定な青年ダニエルのみである。
冒頭、ジョンは逃げ道を探すために必死に森の中を走るが、方向を失い”謎の生き物”に襲われ”穴”に引きずり込まれるシーンから物語は始まる。
陰鬱な森。嫌な声を上げ群れを成して飛ぶ鳥の群れ。
ダークな雰囲気が横溢している・・。
◆感想
・ミナが逃げ込んだ建物には、上記4名のうち行方不明になったジョンを除いた3名が暮らしている。中でもマデリンは幾つかのルールを3名に課している。
1.日が暮れたら外に出ない
2.”謎の生き物”が毎晩覗きに来るが、背を向けてはイケナイ etc.
・だが、ミナは幼い頃からの無鉄砲さで、ダニエルと森の”穴”にロープで懸垂下降で入って行く。
そこで見つけた古い自転車、ビデオカメラ。穴の奥からは不気味な声が聞こえて来て、間一髪彼女は、ダニエルに引き上げられる。
・ミナの行為が”謎の生き物”の怒りを買ったのか、夜になると”謎の生き物”は強化ガラスに体当たりをし、行方不明になったジョンの声色でキアラに扉を開けさせようとする。
■この物語は、ここから一気に面白怖くなっていくのである。
・”謎の生き物”達の攻撃に、身の危険を感じた彼ら。だが、その時に部屋のカーペットの下に鉄の扉がある事に気付き、彼らは取り付けられた梯子を使って地下の広大な部屋に下りる。
そこは、建物を作らせた北欧伝承を研究していたキルマーティン教授の研究室であった。
その部屋に有ったパソコンを起動させると、日々の博士の研究の様子が映し出される。徐々に見ていくと、博士が地下牢に”背の高いクリーチャー”を捕らえている光景が映される。そして、研究300日目の映像を見ると、そこには憔悴し切った博士の表情が・・。
博士は”もしこれを見ている者がいたなら・・。”と言い森からの脱出ルートを話し、”アイツを殺して・・。”と言う言葉と共に、梯子を上がって行く姿と乾いた拳銃の音が二発鳴る。
ー 博士が、憔悴していた理由は明らかである。”背の高いクリーチャー”は、博士の妻に擬態していったのであろう。-
・博士の言葉通りに森を抜け、湖に出ると言葉通りに舟が一艘浮いている。だが、彼らを追って来た”背の高いクリーチャー”達が、徐々に人型に変わって行きダニエルは、ジョンの姿をした男を助けようとするが、その男の手は人間のモノではなく、彼は喉を掻き切られ絶命する。そして、ミナとキアラとマデリンは脱出する。
・ミナはキルマーティン教授の大学の部屋を訪れ、教授の研究していた資料を持ってキアラの部屋を訪れる。その資料の中の写真にはマデリンが映っている。
彼女はキルマーティン教授の妻であり、その写真を見た瞬間に観る側は、”背の高いクリーチャー”が擬態をする”古代の種族”であり、教授の資料からその種族は且つては人間と共生していた“妖精”であったが、人間に地下深く閉じこめられた事を知るのである。
・ここ迄来ると、彼らと過ごしていたマデリンが、実は”古代の種族”が擬態したモノであり、彼らと共に逃げた意味が分かるのである。
キルマーティン教授の大学の部屋を訪れ資料を集めた後に、最初にミナが会いに行ったキアラも擬態した”古代の種族”であり、マデリンに変容し、何処ともなく飛び去るのである。
<今作は、劇中印象的なシーンである全面ガラス張りの一面と他面はコンクリート打ちっぱなしの建物の中でガラスの内側に貼られた鏡に自身の姿を映した双子の様なミナの姿が暗喩していたように、登場人物達に擬態していく”古代の種族”の姿や、ラスト、幼き自分が冒した母を事故死させたトラウマを、双子の姉と出会う事で克服するミナの姿が印象的な、北欧ホラーテイスト溢れる作品なのである。>
さすがのレビューありがとうございます。ストーリーが鮮明に蘇ってきて本当に感動します。ひそかにノブさんのレビュー楽しみにしてました笑
偽マデリンは、妖精と人間のハーフだから陽の下を歩けると思ってました、、。。う〜〜ん難しい。。。