医学生 ガザへ行くのレビュー・感想・評価
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ガザの様子が
地域映画会にて。貴重な体験をした医学生、彼の目を通して当時のガザの様子が伺えます。爆撃下で友達と冗談を言い合うシーンも、本当の恐怖の下では冗談でも言わないとやっていられないような心持ちになるのでしよう。色々、リアルでした。 この留学の後、医師になった彼は今の状況を見て、どう感じるているのでしょうか?この作品の頃より事態は悪化しているように思えます。
侵攻前のガザの人々の生活を知って
アジアンドキュメンタリーズにて視聴。 イタリアの医学生が、卒論のために、ガザ地区にある大学へ留学生として赴く姿を追ったドキュメンタリー。 ガザ地区といえば、昨今のイスラエル軍の攻撃により、瓦礫と化した映像が思い浮かぶが、このドキュメンタリーのなかでは、他の国と変わらない街並みや日常生活が描かれている。 人々は、そこで働き、買い物をし、友人や家族たちと和やかに談笑し、そして大学では、しっかりとした医学教育が行われている。 ただ、中身は早くから臨床的で実践的な学びが取り入れられており、大学院にならないと実際の医療行為を学ばないイタリアと比べて、それだけ早急に治療の技量を身につける必要がある地域なのだということが浮き彫りになる。 もう一つ決定的に違うのは、封鎖されたガザ地区は、「天井のない監獄」と言われており、パレスチナ人たちは、余程のことがない限り、外に出ることができない。 途中、イタリアへの留学を目指した友人が出てくるが、彼の語る「ガザを出られることは、莫大な資産を手に入れるのと同じ」という言葉が重い。 でも、彼らの眼差しは強い。 ジュマナという、将来は外国人ジャーナリストの仲介をしたいと女子学生は、 「70年以上こんな状況にいるけれど、恐れる必要はない。心に信念があれば、自分が持つ権利を、故郷を信じていれば恐ることはない。真実を知っているから。」と力をこめて語る。 今、イスラエルがしていることは、こうした真っ当に生きようとしているに過ぎない人々の生活の破壊だ。 この作品の中にも、国境近くのデモで、イスラエル軍から射撃されるシーン、ピンポイント爆撃を受けるシーンが出て来るが、それだけでも十分に恐怖が伝わる。 その分、現在行われている難民キャンプへの攻撃の残忍さが、かえって強調されるだろう。これらは虐殺であり、ユダヤ人がナチスにされようとしていた民族浄化を、パレスチナ人たちに対して行い、難癖をつけて、資本力の差を利用して、決定的に領土を奪おうという犯罪行為ということが明らかであり、本当に許せない。 そもそも、イスラエルが敵視し、テロ組織と指弾するハマスも、元々選挙で選ばれた正当な組織であり、狂信的なことを人々に求めている訳ではない。それを、歴史的な経過も様々な事情もぶっ飛ばし、資本力にものを言わせたプロパガンダで、偏った報道を垂れ流して、わかりやすい敵認定している時点で、イスラエルの別の意図が透けて見える。 現在、アジアンドキュメンタリーズの中で、無料公開されている「ガザ 自由への闘い」を観るとそのことがよくわかる。 無料の会員登録するだけで観られるので、ぜひ観て確認して欲しい。 何の武器も持たずに平和的に行進しているところに、打ち込まれるイスラエル軍の攻撃。 まさしく、このドキュメンタリー自体が、イスラエル軍の残虐性の可視化となっていることを。 遠く離れたイスラエル軍に届くはずもない投石が、フェンスを揺さぶることが、射殺の理由になるのか。 世界的に禁止されている「子どもを射殺すること」にどんな正義があるというのか。 ネタニヤフも登場し、信じられない言葉を投げかけてくる。 是非、その目で確認して欲しい。 追記 「平和を求めましょう」リッカルド・コッラディーニさんッセージ(映画『医学生 ガザへ行く』) YouTubeで観られます。こちらも是非。
イタリア人の医学生、救急外科医になりたいと志願して 留学したガザで...
イタリア人の医学生、救急外科医になりたいと志願して 留学したガザでの、日々の奮闘や生活の記録。 現地の学生や先生など、周囲とは、とても打ち解けている様子。 その一方で、場所柄でしょうが ある日いきなり爆撃に晒されたり、 それゆえの外傷患者の多さにも驚き。 医学生としては、とても成長した様子。 驚く映像に、逞しさと、遣り切れなさを 感じずにはいられません。
ガザ・サーフ・クラブに続けてチェック
渋谷のシアター・イメージフォーラムで「ガザ・サーフ・クラブ」を観ました。 あちら側で人間たちがどう生きているのかを知りたかったからです。 ジョー・サッコ著/小野耕世訳 コミック特別増補版 「パレスチナ」(2001 )もオススメです。ジョー・サッコは壁の内側に入ってそこに住み、市民に話を聞いてまわりました。それをコミックに著しました。 家族で回し読みしています。 「知っていたこととぜんぜん違った・・」と感想のうめきが。 ホロコーストが終了してしまえば、証言者もいなくなる。 「テルアビブ・オン・ファイア」では、両国の関係に一条の光を見た私ですが、まさかこんなことになるとは。
ガザとは
映画で描かれたのは、2018年から2019年にかけての数ヶ月とのこと。 イタリアの医学生が、エラスムス制度での留学先としてガザを選び、ガザでは初の留学生として受け入れられる。現地の人たちとの交流を通して成長していく姿を追ったドキュメンタリーだ。 (早大の岡真理先生が舞台でガザの解説をしてくださり、更に深く理解できありがたかった) この映画で出てくるのは、ガザのひとつまみの富裕層で、大多数のガザの人々の暮らしとは違うとのことだか、 理不尽な爆撃や恐怖がすぐそこにある暮らしが描かれている。 映画を通して、ガザの人々のあたたかさや普段の生活を近くに感じることができる。ガザの人々の1人1人の人となりが鮮明になり、自分の中で息づき始めた感覚だ。 ここに出てきたみんなは今どうしているのか。。。 連日のイスラエルによるガザへの攻撃。 もはや、テロの報復なんかではなく、ジェノサイド、民族浄化を目的としているのは明らかだ。 これに対して、世界は日本は我々は、何もできないのだろうか。 ウクライナ侵攻は相手がロシアだから西側は一致団結して反対を唱えるのとは対照的に、 パレスチナでの惨劇は、イスラエルだから、世界が口を閉ざす。イスラエルの後ろ盾のアメリカも資本力のある国内勢力があるからパレスチナ支持を継続する。 21世紀の今、これだけのジェノサイドが行われても、我々は何もできないのか。 こんなことが許されている現実について報道さえもされない。 「この問題は難しい」の一言で思考停止になっている。 「ガザとは何か -パレスチナを知るための緊急講義-」(岡真理著)は、2023/10/7に端を発したパレスチナ攻撃後に、京大と早大で講演された内容を元にしたもので、非常に分かりやすく、私たちがなすべきことを訴えかける。 「イスラエルとは何か」を問うべきだ、と。 イスラエルによる軍事占領が約60年も続き、死と隣り合わせで生き抜いている。マスメディアでは語られない、語ることができない、ガザの人々の様子を垣間見ることができるのはありがたく、身近に感じることができるのは映画ならではだ。 パレスチナ人は、私たちと同じ人間だ。こんなにあったかく人間味のある人達だ。こんな当たり前のことが抜け落ちて、攻撃をし、そして世界がそれを許し続けてしまっている。半世紀をとうに越えての長きに渡るこの惨劇を。 1人でも多くの人に知ってほしい。
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