ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへのレビュー・感想・評価
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いわき・小名浜にある、震災復興公営住宅. 原発周辺から避難を余儀な...
いわき・小名浜にある、震災復興公営住宅.
原発周辺から避難を余儀なくされた方々が住まう場所。
独特な支援活動チームがあり,
住民の方々から, 郷里の記憶や, 思い出の歌について尋ね
まとめてラジオ番組のような作りのCDに仕上げていたと。
思い出を語る皆さん, 好きな歌を思い出す際の生き生きした表情,
なかには、遠方に引っ越した人もいるけれど、会合には皆集まってくれて。
カラオケにとどまらず、バンドまで組んで、皆の愛着ある歌を共有しようとするところ。
丁寧に接して、人々の心を纏め繋いでいるなあと、ただただ感心です。
冒頭がすばらしい。
2023年。小森はるか監督。東北震災後、避難した人のための復興団地で暮らす孤独な高齢者たちとそれを支援する都内の若者たちのボランティアグループとの交流を描く。グループは高齢者たちの昔の話を聞き、リクエスト音楽とともにラジオ形式のCDをつくって配布している。ラジオ番組を製作することが地域支援・地域交流につながるという形で、若者たちと老人たちの関係がつながっていく。
道路が濡れているので雨上がりの田舎道だとわかる冒頭のカットが変わると、曇天の空にやはり雨上がりであることを示す虹の後のような光雲がある。注意して見ていたが、映画中に曇天が出現するのはここだけで、あとは最後まで画面内は晴天で光が行き渡っている(実際に晴れてなくても光の処理で晴れているように感じられる)。団地の建物の白さも強調されているので、一言でいえば、作品内には光(白)があふれている。画面が明るい。それでいて、団地の後ろにはどかっと威圧感をもって小山が聳えていて、なにやら不気味な危うい先行きを暗示しているようだ。それはまさにボランティアの限界、地域支援の難しさなのかもしれない。ボランティア、ドキュメンタリーから連想されるような、映画であることを無視した撮り方からは程遠く、画面を意識した作品であることがひしひしと感じられた。背後に聳える小山に、まったく関係なく「ペイルライダー」を思い出してしまった。
支援の形がすばらしいのは言うまでもない。
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