ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへ

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ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへ

解説

福島県の復興公営住宅で実施されている、音楽を通じた被災地支援活動を記録したドキュメンタリー。

福島県いわき市にある復興公営住宅・下神白(しもかじろ)団地には、2011年の福島第一原発事故で浪江町・双葉町・大熊町・富岡町から避難してきた人々が暮らしている。同団地では2016年から、かつて暮らしていた町の記憶と当時のなじみ深い曲について住民たちから話を聞き、それをラジオ番組風のCDにして配布・リリースするプロジェクト「ラジオ下神白」が展開されてきた。2019年には住民たちの思い出の曲を演奏する「伴奏型支援バンド」が結成され、バンドの生演奏による歌声喫茶やミュージックビデオの制作など、音楽を通じた被災地支援活動が続けられている。

「息の跡」「二重のまち 交代地のうたを編む」などのドキュメンタリー作品で震災後の東北の風景と人々の営みを記録してきた小森はるか監督が、人々の豊かな関わり合いを丹念に映し出す。

2023年製作/70分/日本
配給:ラジオ下神白
劇場公開日:2024年4月27日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
企画
アサダワタル
撮影
小森はるか
編集
小森はるか
福原悠介
整音
福原悠介
ミュージックビデオ撮影・録音協力
齊藤勇樹
長崎由幹
福原悠介
デザイン
高木市之助
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(C)KOMORI Haruka + Radio Shimo-Kajiro

映画レビュー

5.0冒頭がすばらしい。

2024年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2023年。小森はるか監督。東北震災後、避難した人のための復興団地で暮らす孤独な高齢者たちとそれを支援する都内の若者たちのボランティアグループとの交流を描く。グループは高齢者たちの昔の話を聞き、リクエスト音楽とともにラジオ形式のCDをつくって配布している。ラジオ番組を製作することが地域支援・地域交流につながるという形で、若者たちと老人たちの関係がつながっていく。
道路が濡れているので雨上がりの田舎道だとわかる冒頭のカットが変わると、曇天の空にやはり雨上がりであることを示す虹の後のような光雲がある。注意して見ていたが、映画中に曇天が出現するのはここだけで、あとは最後まで画面内は晴天で光が行き渡っている(実際に晴れてなくても光の処理で晴れているように感じられる)。団地の建物の白さも強調されているので、一言でいえば、作品内には光(白)があふれている。画面が明るい。それでいて、団地の後ろにはどかっと威圧感をもって小山が聳えていて、なにやら不気味な危うい先行きを暗示しているようだ。それはまさにボランティアの限界、地域支援の難しさなのかもしれない。ボランティア、ドキュメンタリーから連想されるような、映画であることを無視した撮り方からは程遠く、画面を意識した作品であることがひしひしと感じられた。背後に聳える小山に、まったく関係なく「ペイルライダー」を思い出してしまった。
支援の形がすばらしいのは言うまでもない。

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