「"伝記映画"の限界と可能性」アビエイター keitaさんの映画レビュー(感想・評価)
"伝記映画"の限界と可能性
90年代以降、復活し名実ともに巨匠であることに疑いの余地は無いスコセッシの作風は根底を貫くアイデンティティーは一貫しているものの、より洗礼され、より映画らしくなった。
富と名声を欲しいままにしてきたヒューズだが、やはりただの大富豪としての人生を歩むことは出来ない。
精神が侵されて行く様をスコセッシは一人称的視点で描く。
だが、ヒューズと私達の間には絶対的な隔たりが存在し、スコセッシは決して感情移入をさせない。
どんなに苦しみ、もがこうとも私達はただ見つめるだけなのだ。
また、彼は史上類いまれなるオープニングとエンディングのセンスを持っている。
映画の力も限界も知り尽くしたスコセッシが描く"伝記映画"の限界と可能性を見せつけられる。
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