劇場公開日 2024年7月19日

「ロトスコープによる奇妙な世界観」化け猫あんずちゃん あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ロトスコープによる奇妙な世界観

2024年7月21日
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鑑賞方法:映画館

ロトスコープを使った作品。「白雪姫」の時代からロトスコープは実写映像をアニメに置き換えることによってリアリティのズレというか揺らぎというか奇妙な効果を生み出してきた。
本作では、人間(かりん、哲也、住職、井上、林など)はそのままダイレクトのアニメで表現し、キャラクターはロトスコープで再現しているようだ。ただし、すべてのキャラクターにロトスコープを使ったのではなく雑魚キャラ(カエルくん一味や鬼ども)はダイレクトアニメなのだろう。ロトスコープで表現されたキャラクターはあんずちゃん、カエルくん、貧乏神そして閻魔大王あたりか。いずれも面白い出来上がりだが、なかでも閻魔大王はパイロットフィルムで演じたのは宇野祥平であり特に存在感が強かった。
普通のアニメキャラクターにロトスコープのキャラクターが混ざると、言ってみれば満員電車の中にゆるキャラが居るような感じになる。通常の生活空間を描いた映画であってもこれは面白いと思うけど、この映画の設定はお盆あたり(かりんの母親の命日ではあるが)での地獄巡り。いわば彼岸と此岸が交錯する物語なのである。それだけにロトスコープのもたらす奇妙な感じが効果を出している。
話は変わるが、森山未來っていう役者さんは、先日は「大いなる不在」をみたばかりなのだけど、製作者の意図を理解して協力してくれる実にありがたい存在なんでしょうね。

あんちゃん