「軍事独裁政治のもとで、それでも闘う人たちの姿を監督自ら描いたドキュメンタリー。あらゆる点で想像を超えているので、観るべき映像と思います。」夜明けへの道 taraさんの映画レビュー(感想・評価)
軍事独裁政治のもとで、それでも闘う人たちの姿を監督自ら描いたドキュメンタリー。あらゆる点で想像を超えているので、観るべき映像と思います。
2011年に民政になり、それ以降監督としてまた俳優としても、ミャンマーで活躍したコ・パウ監督。
2021年2月にクーデターが起き、それに対するデモを呼びかけ先頭にたったことで、指名手配され、以来自宅に帰ることができずに、最初は町の中でかくまってもらっていたけれど、やがて地方の森の中の解放区へ。そこでの暮らし(闘い)をご自身でスマホなどでとってつくったドキュメンタリーでした。
◇ミャンマーでは、長い間少数民族の人たちの闘いがあり、そこがミャンマー国軍の力の及ばない地域(解放区)となっていて、そこにクーデターに反対する人たちが逃れて、連邦制民主主義のミャンマー目指して、共に闘っていると知りました。
◇解放区での生活は、自分たちの部隊の訓練・闘いを支えながら、革命を目指した死と隣り合わせの 質素で規律ある暮らしですが、ギターなど芸術も共にある暮らしの様子が伝わってきました。
◇映画からは、未来のために闘おうという意思が伝わってきて、集団生活はこんな風にできるのだということにも、刺激を受け、観てよかった映画でした。「2011年から10年間民主主義を知ったからこそ、後戻りは許さない。。。民主主義の国を作るまで、闘う。」「最初は怖かったけれど、今は死を恐れない」という監督の思いがしっかり伝わってきました。
◇ただ日本の政治も、国民の声が届かなくなっている状況を思う時、「今の日本に人権と民主主義があるのか」「この映画をどう受け止めるのか」、複雑な気持ちになりました。
終わってから感想のシエア会で、いろいろな人と話したい映画と思いました。
日本にはミャンマーの人たちが大勢いて、海外からの支援活動をされていると聞きました。もしこれからミャンマーの方とつながることができるなら、応援もしつつ、一方的に支援の立場になるのではなく、日本の複雑な状況・日本にいるからまだわかる世界の状況を伝えられたらと思いました。
★映画には力があることを改めて実感しました。無事に生き延びて、次々に映画を作り続けてほしいです。