「個人的には好きな部類だけど…」ドライブアウェイ・ドールズ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
個人的には好きな部類だけど…
観る人を選ぶ映画ってある。セリフがほとんどなくて美しい風景を観てください!的な映画や、ものすごく社会派すぎて気合いが必要な映画、内容や表現がお下劣すぎる映画、その国の文化を知っていないと完全には理解ができない映画とか。
この映画もお下劣すぎて受け入れられない人が多いと予想できる。レズビアンのロードムービーってだけでもなかなか攻めた設定なのに、その日のパートナー探しをする女性たちの姿が描かれたりする。そんな姿が描かれることはなかなかない。女優たちが脱いだりすることはないが、セックスシーンもそれなりに攻めた描写だった。
ロードムービーが好きなのでそれだけで面白く感じてしまうし、レズビアンの2人が自由に行動する姿がとても眩しくていい。そもそもギャングたちが奪い返そうとするブツがアレであることも笑える。
基本的にはお下劣でバカらしい青春ロードムービーとして楽しんだのだが、実は奥深さがあるんじゃないかと感じてしまう。インド系のマリアンが呼んでいるのがヘンリー・ジェイムズの小説で、最後にヘンリー・ジェイムズの小説のタイトルに寄せた映画のタイトルであることが示唆されたりする。他にもヘンリー・ジェイムズの兄弟も小説家だと聞いて「リック?」と聞き返すシーンともあったりして、アメリカ文化に精通していないと笑えないシーンも結構あったりする。私も、ここ本当は笑えるシーンなんだろうなと思うところがいくつかあった。そういう意味でも観る人を選ぶ映画なのかも。
ちなみに最後に映し出されるタイトル。ちょっと変化するのはまさにヘンリー・ジェイムズの小説のタイトルだそうな。そしてDykesってのはレズビアンのことらしい。これを映画のタイトルにできなかったところに、LGBTQの現状を表している気がする。レインボーのカードも出てきたりすることを考えると、意外とLGBTQのプロパガンダ映画だったりするのかも。この手の映画をそんなことに使っているとしたら相当の策士だな。