ルックバックのレビュー・感想・評価
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熱心なファンが人を動かす
あらすじを知らずに観ました。
ライバルと思い込んでた同級生の京本ちゃんが、まさかの自分のファン。やがてその京本ちゃんと漫画を作って、トントン拍子に上手くいく。
ここまでは、上手くいきすぎだなーって思いつつも、良かったねという気持ちも強まり、感情移入してました。
まさか京本ちゃんが死ぬとは思ってませんでした。しかもかなり残酷な方法で…。藤野ちゃんはどうやって立ち直るんだろうかと思ってたら、昔の思い出の四コマを読んで、また歩みを進めた。
ストーリー自体は割と王道ですが、ルックバックというタイトルの伏線回収が丁寧でした。
創作者応援映画と聞いてましたが、あまりそういう印象は抱きませんでした。創作とは何たるかではなく、二人の友情が話のメインだと思います。
何かを頑張る時、たった一人でも尊敬して応援してくれる人がいるって凄いことですよね。でも藤野ちゃんは美大に行きたいって言った京本ちゃんを素直に応援できなかった。そういう後悔や、楽しかった思い出や、今まで言えなかった事とかが、漫画を描き続ける推進力になったんじゃないかと解釈しました。
原作不読で、原作者藤本タツキや「チェンソーマン」さえ知らないのに・・・
映画を選ぶ基準に口コミの評価っていうのはけっこう参考にする。予告編などで面白そうだなって思っても、よほどの事がない限り、評価が3.5くらいだと、観に行く気持ちが失せるし、逆に評価が4.0を超えていると、行くつもりがなかったのに、行かなくちゃと思ったりする・・・そう、私は極めてミーハーなのである。
で、本作だが、どこのサイトでもすこぶる評価が高い。うちの子ども3人も観に行っていて、口を揃えて、「良かった」と言っていた。普段、シルバー割の1300円で観ている私には、58分の上映で一律1700円という価格は少々高い気はしたが・・。
でもまあ、みなが勧めるし、原作不読で原作者藤本タツキさんのベストセラー作品「チェンソーマン」さえ知らないのに、思い切って観てきた。私の評価は、★4.3っていうほどではないにしろ、やはり京アニへの鎮魂を含めて、ドキっとさせられたり、京本との思わぬ死別には涙も出た。絵も革新的で、★3.9をあげてもよいと思う。入場者特典のオマケの原作本もお得でした。
号泣したってレビューもたくさんあり、もっと泣くかなと思ったわりには、それほどは泣けなかった。それって、もしかすると私が老けたせいで、青春映画のみずみずしさに反応しなくなったからなのかなと思ったりもしている・・・(笑)。
評判が良いので鑑賞
悪くはないけど、すっごく良かったかというと、
そんなに心には残らなかったかなぁ…。
評判が評判を呼んで…の感じかしら。
人は、突然いなくなっちゃうけども…、
その場面では、涙は出なかったかな…。
悲しいのは当然なので。
どちらかというと、
前半の小・中学生の、学校カーストから
ズレた感じの藤野と京本が、
漫画を描くという好きなことのおかげで出会い、
二人で共同作業をすることにより、
世界が広がりイキイキ動き出し、
キラキラしだした心の昂ぶりと、
田舎の風景のノスタルジーな風景に胸が熱くなって、
ウルウルしてしまいました。
出会えて良かったねって思っていたし…。
だから、藤野さんには、
自分のせいでって、思って欲しくなかったし…
ラストは、もっと解りやすく、
その気持ちを翻す展開がもう一つ欲しかったのかもな、個人的に…。
描く、それでも描く
藤野と京本の化学反応は良かった。
絵が上手いと思ってた藤野が京本の
絵を見て打ちのめされた表情は印象的。
そして、また描くんだよね。何回も、何枚も。
藤野が雨の中を楽しく帰る姿が、楽しく伝わってくる画力は凄い。
わずか58分間に才能、挫折、友情、失望
が注ぎこまれている。その時の空気感が
感じられる。
誉められたら嬉しいし、前にも進める。
だが『中学生で絵を描いてたら、オタクだと
思ってきもがられる』の言葉は残酷だ。
何気無しに言われて、どれだけ傷を付けられて
きたのだろうと思う。
最後の4コマ漫画は神がかり的。
そんな発想があるとは。
他人に自分が頑張ってるのを認められたら
嬉しいよね。そういう経験は大切な宝。
何があっても描く姿は好き。
テーマは「時間」
言うまでも無いが漫画とアニメの違いと言えば、漫画には無い動きと音の表現がアニメにはあることだ。原作を読んだ時との大きな違いは主人公の東北訛りや背景の動きにより舞台が地方都市だということが鮮明になった点だった。アニメならではの俯瞰的なカメラワークで映される田園風景や背後で田植え機が動いている様子など、自分が幼少期に過ごした町とリンクして主人公らの心情がより近く感じられた。
このアニメ化によって「時間」がより輪郭を増している事も印象深かった。冒頭の4コマ漫画を考える藤野の様子や、2人が共同で最初の作品を制作する様子、街に出てはしゃぐ2人、高校卒業を控えてそれぞれの行く道を決めるまでの時間経過が(もちろん原作でも描かれてはいるが)より丁寧に表現されていた。
そしてあの悲しい事件の後、藤野が後悔の念から起こした行動が時間を超えて「起こり得たかもしれない別の世界」を我々に見せてくれた。藤野が望んだのであろう12歳当時の二人が出会わなかった世界線。その時間軸では京本の命を藤野が救い、奇しくも二人は現実世界と似て非なる共同作業を始めるかも知れないという微かな救いは、藤野の知るところではないという悲しさでもあった。それでも、その世界からの奇妙な繋がりによって藤野は京本からの「背中を見て」というメッセージを受け取り、京本のため/そこに居ない誰かのために作品づくりの世界へ戻っていく・・
特筆すべきはエンドロール。黙々と液晶タブレットで作品を描くデスクの向こう側には、実家の勉強部屋から見える風景とは全く異なるビル群。そしてそのビルの窓に傾いた太陽が反射し、陽が陰り、空が焼け、やがて夜の帳が下りてきて、藤野が作業を中断し部屋を出る。そんな時間経過をシームレスに見せる演出とバックに流れる「Light song」が、全ての表現者と志半ばで命を落とした人々を照らす希望の光になって欲しいと願ってやまないのであった。
そもそも原作が映画だったから
観に行くのはほぼ藤本ファンだろうから、映画的である事が最たる特徴である藤本作品を映画化するなら、制作陣はその意味を提示しなくてはならない。ちゃんと「映画」になっていた。演出意図が明快なので。声優さんの仕事ぶりも良い。編集と通話するシーンのナチュラルさとか。時折テレビなどで耳にする"アニメ声"を変だと思う私の感覚は異常ではないようだ。
【追記】声は女優さんだったのか。なるほど。
【再度追記】案外言及してる人が少ないので。ルックバックというタイトル、メインは事件が起きない「ifの振り返り」だろうけど、子供の頃に京本が藤野の「背中を見て」いた、ラス前に京本の部屋で藤野が「振り返って」半纏の「背中を見る」と。序盤の背中にサインという仕込みがラスト近くで一番情感に訴える演出になっているのは本当に映画的。原作でも2コマでセリフを被せて過去シーンに繋げる映像的表現となっている。来場者特典のストーリーボードからの変化が決定的なのが興味深い。つくづく映画的な漫画。
無慈悲に死が訪れるのは事実
見た時は、大事な人の死で涙誘うのはいつもの映画の手だよね。と思ってだけど、僕らは突然無慈悲に大事な人が亡くなるのをたくさん見てきた事に気がついた。その人達のことを忘れないようにしようと思った。2日経ってもガンガンしている。これから漫画を買おう。
まさにルックバック
振り返ることはできても戻ることはできないまさにルックバック。
情緒豊かな2人によって繰り広げられるストーリーはみるみるうちに観客を引き込みラストには感情が爆発し泣かれる方も。
個人的には空の演出が印象に残り夜から始まり夜に終わる、そんなところに一生の儚さや尊さを覚えました。錯誤する運命に元気づけられ前を向き先へと進む藤野。思い出してももう振り返らない。短い映画ながら全面に良さがでていると感じました。
自分が進む理由
2人で漫画を描いた少女の話
四コマで知り合った2人は高卒後にそれぞれの道を歩み美術大学行ったひとりが亡くなる。生き残りは後悔するが背中をみてまた歩みを進める。
どうみても京アニ事件。
背中がポイント。
映画は長ければいいという訳ではないことを教えてくれる映画だった。
日本アニメと青春の懐かしい感動
あまりインプット無しに観ましたが感動しました。1時間で1700円でも大満足。
冒頭は凝ったカメラワークで格好だけの映画ではないかと不安になりましたが、全くそんな事はありませんでした。
途中の畦道を走るシーンなんて溢れ出る感情が画面いっぱいに伝わってきて、生き生きとした動きに日本アニメの真髄を観ました。
引き合いに出すのも失礼かもしれませんが、ジブリが鳴りを潜めてから、日本のアニメは人の心の機微を描けない不自然なアニメが増えたように感じてましたが、ルックバックはそれを払拭してくれました。
得意げな気持ちを堪えても口の端から漏れてしまう子どもの笑みの魅力的なこと、
二人だけの世界で音が鳴り止み、聞こえない笑い声が聞こえること、
澄んだ空気、何気なく美しい日本の景色や時間の移ろい、
若く直向きで不器用で混じり気のない青春とそれを絵で表現するしかない衝動に感動しました。
不幸な事件も参考にしてリアリティを出したのであろう場面もありますが、最後も安易なハッピーエンドにせず、しっかりと現実と向き合ったストーリーには好感を持ちました。
今時の漫画を原作にしながら、日本アニメの良さをしっかりと受け継いだ素晴らしい映画だと思います。
容赦なく、心をエグる、𝐋𝐎𝐎𝐊 𝐁𝐀𝐂𝐊!! !!
主人公の性格が悪い為、死地に追いやった事のみならず、もっと優しく素直に接すれば良かったというルックバックが際立ちます。よって映画体験、読者体験の為に、このようなキャラに設定したのだと思います。鑑賞後は重苦しさをダイレクトに味わう事になる為、死を扱った良くある一般作品と一線を画していると思いますし、また流行っているから観てみようと足を踏み入れると、観客の心に一生の傷跡を残してしまうでしょう。京本の訛りがきついのは、純朴さを表していると思います。卒業証書はプリントと違って重要書類なので、やはり先生が直接手渡しするべきだったと思います。また特別料金で子供でも1700円ですし、1700円はやり過ぎだと感じました。繰り返し観たいという方もいるでしょう。一人でも多くの方が本作を観て、悔いのない人生を歩む手がかりになれば良いと思います。それが創作や映画の役割なのだと改めて感じました。
なんか惹き込まれるストーリー、現実的。
まったく内容知らずに視聴。
主人公の挫折や成功、葛藤とかとかを綺麗に描いている。ストーリーも比較的サクサクと進んで行くので見やすい。大きな感動や笑いとかはなかったけれど、グッと心にくるものがあり、訴えかけてくる印象。
2人の感情がしっかりと伝わってきてとても良い。終わり方も変に語ったりせず、凄くいい。
1時間短いなぁとか思ってたけれど、見てみてこれでいいって思える。通しで見たいとこではあったし、これより長くても短くても嫌になってたかもしれない。
1度見てみて欲しい作品ではあるかな。
短いけど心洗われる良作
「ファイアパンチ」「チェーンソーマン」の藤本タツキ原作。原作未読でしたが、面白かったです。
ストーリーはシンプルで、藤野と京本という二人の女の子が小学生4年生から20歳ぐらいまでの話。学級新聞で4コマ漫画を描いていた藤野は、同じ学級新聞に掲載する引きこもりの京本のことが気になっていた。卒業式の日に二人は出会い、一緒に漫画を描く、って話。
上映時間は50分と短い話ですが、話が動き出すまでが長い。でも、この部分が「上手い絵描きになるとは?」って、本作の主題を描いているんですよね。答えは「ひたすら描く」こと。下手でも、上手い人に嫉妬しても、周りが冷ややかな態度でも、ただただ描き続けこと。
最後のエンディングに向かう部分の工夫が上手です。あのまま、普通に扉を開けて、あの四コマ漫画を見つける、でも話は畳めるのですが、少しファンタジーな転調を入れることで、清々しくエンディングを迎えられます。
エピソードは地味だし、キャラクターも主に2人だけで、テーマは絵を描くこと。こんな材料でも、すごく心が洗われる良作です。
四コマとキャラの性格が気になる
美術ガチめにやってきてるんだけど、あまり響かず。
物語にハッタリとか意外な真実とか欲しかった。
四コマから二人の美術歴を細かく想像してしまい、それが本編のキャラの言動と一致している感じがしなかった
京本が都合よく背景しか描かないキャラだから成立していた漫画のタッグって感じがして、確かに楽しい時間ではあるだろうけど…。京本が藤野の嫉妬をギリギリ回避できたから成立した友情というか。
その上で最終的な結論が「一読者としての京本こそ藤野の創作の原動力」。それを美しいBGMで演出されていたのに混乱😵💫そんな美しいものかよっていうか…もっと生々しさを事実とした演出がみたかった
あと序盤の四コマ的に、藤野は人物描写と漫画の起承転結の上達を意識しており、京本は背景美術とか写実的なうまさに憧れが小学生の頃からあるように見えた。
本当の絵を描く原動力は互いの存在とは別の部分にあるからこそ京本の死後も藤野は普通に描いて当然と思えてしまた。
だって京本の絵見て本当に憧れて戦慄するなら背景美術の本買うよね、真っ先にルーミス先生買うってことは何か初めから凄い明確な目標あるよね藤野…
なんか細かい行動の違和感が無意識に積み重なり全然感情移入できず、突然の京本の死もコンセプトが曖昧っていうか💦
あと単純にどんでん返し的なエンタメ要素が欲しかった。
またifの中で京本が書いた「せなかをみて!」の四コマは、背景ばかり描いてた京本が急にそういうの描いてるのが不思議で。
コンセプトが判断しづらくどこに感動すれば良いのかわからず。自分が美術の道に進んだせいで京本の行動が当然の進路選択に思え、それに反対する藤野に共感できず感動や驚きもなく…
キャラデザはとにかく可愛くて京本の不器用でホワホワした感じが好きだった
人体の練習にスケッチブックはリッチだな!クロッキー帳にしとけ!と藤野にで思った
紡ぎ出される映像・音楽・演技に没頭
これはあれだ、「ソウルメイト」だ。
幼い頃からつづく友情。二人で共有した青春の時間、そして喪失と再生。
だからといってどこかで見たような物語を見させられたことということは全くない。
紡がれた映像・音・演技で二人の熱や思い、季節の移ろい、心の機微が存分に
感じられて没頭できた。60分程度の短編だけど濃密な時間で控えめに言って良かった。
予告の印象にとらわれず、見に行って良かった。
まず何より、主人公の藤木の絵が下手。コレ重要。
自分は原作読んでなくて、映画館の予告集で見て「イマイチだな〜」という印象を得て、公開後にその印象に全く反する好評を聞いて見に行った口。その悪印象の原因が、トレーラー冒頭の藤木の四コマが映るシーンと、直後の京本の「先生は漫画の天才です!!」のセリフだった。「この絵で天才?おいおい勘弁してよ」というのが予告見た時点での感想。それが実際の「漫画の天才です!!」のシーンで覆った。
作品冒頭、件の四コマがストーリー化されたアニメーションか流れる。ドライブ中の突然の事故、瀕死のカップル、来世でもう一度出会い、もう一度キスをすることを誓い、最後のキスをして息絶える二人、数年が過ぎ、突然前世の記憶を取り戻す少女、「彼はどこ?」
突然、宇宙の彼方に視点が切り替わる。地球目指して飛来する隕石。それは「彼」の顔を思わせる形で心なしかキスをねだるように、突き出した唇のような突起が……そして隕石は彼女目指して落下していき、画面は真っ白に……
そして場面は学校の教室に切り替わり、学級新聞が配られる。先程までのシーンはその新聞に書かれた四コママンガのストーリーだったことがわかる。クラスのみんなからは好評だが、二つのシーンを比べてみればわかる。作者の頭の中にあるストーリーを、四コマに落としきれていない。ついでに言うなら、みんな口々に藤木を絵が上手いとほめるが客観的に言って(前述の通り)彼女の絵は下手だ。
ここで、藤木が調子乗りでプライドが高くてちょっとイヤな性格なのがわかる。このあと先生に呼び出され、二つある学級新聞の四コママンガの枠の片方を京本に譲ってくれないかと言われて、(会ったことのない)京本を見下しながら承諾する。
そして、(まあかなりの人は予想してしまうだろうが)藤木のプライドは粉砕される。京本の絵は圧倒的に達者で、藤木は心の底から負けたと感じてしまう。なにより、この前まで藤木の絵を絶賛していた連中に「藤木の絵って京本とくらべたらなんかなんか普通じゃん?」とまで言われるのだ。この屈辱と怒りに、もっと絵がうまくなって京本と他の連中を見返してやると誓い、上達への道を模索して物語は動き始める。
この冒頭の部分、挫折と奮起の繰り返しというルックバックの重要なエッセンスであるが、ここで藤木の絵が下手なことが生きてくる。下手であるということは上達の余地があること、ここから絵を描いて描いて描きまくることで絵が上達していく様が具体的に見えてくる。
もう一つ、藤木の絵が下手なのは重要な意味がある。それは、藤木が京本に『マンガ家として』決して負けていないことを表している点だ。漫画家としての藤木は絵で勝負するタイプではなく、アイデア一本に賭けるタイプでもなく、ストーリーテリングが本領の、ちょっとブラックなテイストがウリのタイプだ。その点を正確に読み取っているからこそ、出会いのシーンの「先生は漫画の天才です!!」がするっと出てくる。藤木が京本の絵に絶対に勝てないと嫉妬したように、京本も自分では届かないストーリーテラーの才に強烈に憧れたのだ。実は京本は作中、藤木との合作シーンを除き、全く漫画を描いていない。京本が学級新聞で藤木の四コマの横に載せていたのはマンガではなく、淡々と綴られた風景だ。作中で京本が単独で描いた四コマ「マンガ」は、あの事件の後に藤木の手に届いた一編だけだ。
藤木が結構イヤなヤツなのも、同様に重要な意味がある。京本を部屋から引きずり出したあの四コマだ。
ドアの隙間から京本に届いた四コマは、しかし部屋から出てこようとしない彼女に対して藤木が抱いた怒りと皮肉を込めた、仄かな悪意に満ちた代物だ。そんな、藤木のいらだちの塊を、京本は自分を変えてくれた宝物として大切に持ち続けていた。だからこそ、自分のせいで京本はあの事件に遭ったのかもしれないと思い至ったとき、藤木は後悔に身を焼いたのだ。自分が敵わないと思った相手を勝手に敵視しライバル視し、相手にされないいらだちを即興の四コマに変えて相手にぶつけるような自分、その四コマを文字通り一生の宝物として大切に持ち続けた京本、あのとき藤木の心の中には、「なんで自分はこんな意地悪な四コマを描いてしまったんだろう」という思いで一杯だったはずだ。
だから藤木は思い出の四コマを破いた。ズタズタにされた思い出の欠片は、しかし世界を越えてささやかな奇跡を起こした。藤木のもとに帰ってきたあるはずのない四コマは彼女にもう一度立ち上がる勇気をくれた。帰ってきた四コマが破かれた藤木のそれと違って、感謝の気持を表していたのは、きっと藤木にとって救いだろう。
見終わった時に思ったのが、この話、中川翔子の空色デイズかピッタリハマるなと。誰もがみんな、ささやかな後悔を抱えたまま、憧れに押しつぶされそうになりつつも手を伸ばしながら生きていくんだなあと。
書きたいことはもっといっぱいあるけど、(入場特典コミックと本編の違いとか)とりあえずここまで。第一印象にとらわれず見に行ってよかった。
泣かそう、泣きに行こう映画
原作未読。
チェンソーマンの原作者の作品という事以外は一切の情報を持たないまま、ただ何故平日の昼間でもこんなに人が入っているのかを知りたかった興味から観に行きました。
泣ける映画という事で実は自分も泣く気満々で臨んだが、結果泣く事はなかったが、それなりに面白いとは思った。
音楽、ストーリー共に普通の人であれば琴線に触れてくる構成で作られていることは疑いないが(だって登場人物二人のうち一人が亡くなるんだから)、そもそも藤本たつきさんの描く登場人物自体が皆可哀想な顔立ち(チェンソーマンもそう)であるという事も悲しさや寂しさにドライブをかける効果があるのだと思う。
劇中冒頭の4コマ漫画のシーンは面白い見せ方だと思ったが、最後のもしも自分が部屋から出さなかったらという想像シーンはどういう効果を狙ったものなのかは正直言ってわからなかった。
学校に行ってないのに美大にAO入学できたり、片方のみ東北弁だったりと気になる点はいくつかあったが、本作の大きなテーマや流れを捉えて観た場合にはほんの些細な事になるのだろう。
声をあてた河合優実さんと吉田美月喜さんには違和感が全くなかったので良かったと思う。
上映館を絞り、鑑賞料金を一律1,700円にした意図って発表されているんでしたっけ?
自分にとっては金額相応で元が取れたと思わせる様な作品ではなかったかな。
ふたりの少女の出会いと別れ
クラスの人気者のマンガが得意な調子の良い女の子と、背景の絵が凄く上手な引きこもりの女の子の出会いと別れを描いた秀作。
原作は以前にネットで流し読みをした記憶があり、チェンソーマンの原作者がこんなマンガも描くんだと思った。
原作が短編マンガなので映画も1時間くらいがちょうどよい感じ。
少女の生活が淡々と描かれていくんだけれど、作画も良く、主役二人は(後で調べたら)声優が初めての若手女優とのことだが違和感は全くなく、特に京本の方言を使った引いた演技は素晴らしかった。また、バックに流れる音楽が凄く美しいメロディーも印象的。
ふたりが共作したマンガが認められ、連載が決定後に引きこもりの女の子が初めて自分の意思を通したが故に解散とその後に訪れる悲劇。
その後、本ストーリーとは別の世界線が描かれるけれど、あのシーンがあったからこそ、悲劇の中に救いが感じられたので満点にしました。
なんか人気のアニメ映画、知らんけど
ルックバックは知りませんでした。チェーンソーマンは、ずっとNetflixのお気に入りリストに入ったまま未視聴のままでした。
なんかやたら評価が高いアニメ映画だなと思いつつ、価格が固定な事(ある意味良心的)時間が60分未満ということで、スルーすると思っていましたが、翌週に観る映画が無いので鑑賞しました。
初見は、行間の多い普通の映画だと思いました。
ここまでファンを惹きつけるのだから、それなりの話の展開があることを予想して鑑賞です。ある意味予想通り、やっぱりそうなるのか、という感想です。
ここからネタバレですが、、、
正直、どちらかが死ぬのだろうと思って見ていましたし、それが事故なのか事件なのか自死なのか、それが分からないと思っていた程度です。
話の展開で、「京本」の性別がハッキリしないので、もしかしてマイノリティか、男の子なのか、2人は恋愛するのかな?とかも思いました。
そして最後、ニュースを聞いた瞬間、「京本も殺された」と一瞬思いましたが、「いや、それだと単純すぎるので、ぎゃくに男の子の京本が犯人なのか?」と頭をよぎりました。
ある意味、予想通りで言葉に要約すると、よくある?「死」を連想する青春ストーリーなのかなと思います。
ただ、所見から、変な間やシーンがあるので、何か意味があるのだろうと、随分行間の多い作品だなと思いました。
そこで、いろいろ調べて、その行間の意味、熱烈なファンが多いことも納得しました。
まず、初見でも、「どういう意味だろう?」「私の理解出来ていない何かがある」と感じさせる作品としてはかなり素晴らしいのだと思います。
同時に、それが映画を見ただけでは伝わらないのであれば、問題のある作品とも言えると思います。
一緒に行った友人も、まったく同じ感想で、単純だけどよく分からない、何か意味があるのかと、後で調べたい、と言っていたので、初見の人の共通的な感想だと思います。
もう少し間を置いて、いろいろ予備知識がある状態でもう一度観たいとも思いました。
今回は、何となく予告動画も観ずにフラットな気持ちで鑑賞しましたが、これだけ高評価なので、何かとんでもない展開を期待してしまいましたが、本当にフラットな状態で観れたらもう少し違ったのかもしれません。
ちなみに、良い機会なので、前夜からチェーンソーマンも鑑賞中です。ジャンプらしからぬ、「友情」「努力」「勝利」とはかけ離れた展開で一気にこれは人気作なのも納得です。藤本タツキさんという方は、とても刺さるセリフや展開、闇を含んだ展開、これは惹き付けられるのも納得です。
作者の都合で人を殺すな
作者の都合で登場人物が死ぬ話があんまり好きじゃないのね。
殺さなくても同じ内容を描けただろうと思っちゃうの。
人が死ぬと心が動くから、物語を描くのが簡単になるんだよね。
作者の技量が足りないが故に登場人物を酷い目に合わせるなよ。
物語的に京本が死ななきゃいけない理由も分かんないんだよね。これ本当に分からない。
京本を殺す通り魔の動機は京アニ事件のパクリなんだけど、あれは京アニだから起こる事件であって、地方の芸大の発表会程度では起きないでしょ。そこも安易だったな。
でもそこまでは良かったね。
『藤野先生!』って京本が飛び出すシーンは良かった。
藤野のキャラ設定もすごくいいね。
「これ原作はどんなだったんだろう」と思って原作読んだら、そのままだった。
そのまま、絵が動いただけだった。
絵が動いたから『藤野先生!』のシーンとか感動増してると思うけどね。
原作読んでたら、映像観なくていいね。
原作そのままの映像化は、今は多くの人が望んでることだね。
でも、原作のままなら、映像化する意味はないなとやっぱり思ったよ。
一緒に頑張ってきた親友が不幸な目にあって、それがひょっとすると自分のせいで、でも、そんなこともなくて、前を向いていくんだっていう小品だね。
マンガの短編で読むと、すこし余韻もあっていいけど、映画館で60分近くみたら「なんだこれ」と思ったな。
全198件中、121~140件目を表示