室町無頼のレビュー・感想・評価
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いろいろ盛り込んだ結果、薄味な作品に
何やら先行上映の評判が良いらしいので観賞。
劇場は日曜朝イチだったが、ほぼ高齢者で満席だった。
蓮田兵衛の最初の殺陣のシーンで、「あ、『ケレン』か。」と示してくれたのは、その後の見方を決める意味では結果的にありがたかった。
様々な「リアリティ」に目を向ける必要はない、と。
才蔵の修行やらも「まあ、頑張りなさい」と見守っていられる。
だから、チャンバラ・格闘・大乱闘を楽しむ「活劇」として割りきって観れば確かに楽しいのは間違いない。
明らかに過去の時代劇はもちろん「カンフー映画」や「マカロニウエスタン」を意識したシーンもあって、個人的に興味を引かれる部分はあった。
ただ、作品全体のデキはどうだったかというと、私には気になることが複数あった。
まずは、キャラクターが多すぎ。
途中でフワッと現れた3人(登場のシーンも蓮田の回想ダイジェストという雑さ)が、名前もよく分からないけど結構活躍するんかい。
他にも敵・味方含め、出てくるかなりの数をそれなりにキャラクターを立てた演出するもんだから、活躍しそうでそのほとんどが活躍しない結果、全員が薄味になってる。
あと、言いたくはないがやはり「才蔵」の演技。
過去出演した作品は知らないけど、ほぼダブル主役と言っていい立場のこの役どころは、さすがに彼には荷が重すぎだろう。
批判してる人も多い「劇伴」に関しては、まあいろいろやりたいんだなという熱意の延長として受け入れられるけど、それでも全体としては、いろいろな要素を盛り込もうとし過ぎた結果、なんかボンヤリしちゃったな、という印象。
ギャグシーン、なのかな。
あの「かえる、いや京都に帰る」も、「虫にしては大きいがな」もすごくスベってる。
もう少しメリハリ付ければ面白かったと思うと残念ではあるな。
おもしろかった
簡潔にわかりやすく、おもしろかった。時代劇に馴染みがなくても入り込めるエンタメ作品だと思う。伏線のような会話や、対比になる画角のシーンがいくつかあるのも楽しめるポイント。苦しい内容でありながらも、重苦しすぎない描き方をしていたのが私としてはよかった。複雑な内容や、残酷な描写へのリアリティを求めている方は違う印象を受けるかも。
キャラクターが魅力的で、見ているうちに好きになる。民衆の必死さには、自然と感情移入してしまうものがある。兵衛、道賢はかっこいい大人。才蔵の成長には感動する。他にも、セリフが多くなくても魅力的なキャラがたくさん。
アクションがすごい!大泉さん、堤さん、強い女性たち、一揆衆、みんなかっこよかったけれど、中でも才蔵役長尾さんの活躍に驚いた。長回しのアクションシーンは心が躍った。
公開してる間にまた見にいこうと思う。
映像はとても好みでしたが…
大泉洋さん目当てで観に行って、骨皮道賢役の堤さんに骨抜きにされて帰ってきました。あの黒い鎖狩衣姿での佇まい、立ち姿そのものが『カッコイイ悪役』の概念そのもので。
大泉さんも役者の大泉さんが全開でしたから、二人の対話や対決シーンはどれも見応えあって見入りましたし、映像全体に時代劇らしいわかりやすさとメリハリがあって楽しめました。
北村さん演じるゲスな貴族がとことんゲスで、あの全体に汚して暗く作ってある人物群像の中で染みの一点もなくきれいなあたりとか。
が。いかんせんストーリーと音楽が…一揆の意味とかもうちょっと掘り下げてほしかったのと、時代劇らしさを出したいのか知りませんがあの音楽の浮いてる感じをなんとかしてもらいたかったです…予告編とかもうちょっと現代的にしてたと思うんですけど…。
窮鼠猫を噛む
「見ている物は同じでも、道は違えたか」
垣根涼介の同名小説を映像化。応仁の乱前夜の京を舞台に、寛正の土一揆の首謀者・蓮田兵衛を描く。主演は大泉洋。
寛正の土一揆は1462年9月〜11月に発生した一連の一揆を指すようだが、学校の教科書にはほとんど出てこない。蓮田兵衛についても「新撰長禄寛正記」に一行名前が出てくるだけらしい。いずれにしても、この後の応仁の乱〜大坂夏の陣があまりにも忙しいので世間一般には日本史上の空白期にあたると言える。自分も戦国史マニアな側面があるが、1500年以降の時代が主戦場なのでこのあたりの時代は教科書レベルでしか知らない。
知らないのが良かったか、思いのほか面白かった。蓮田兵衛(演:大泉洋)と京都警固役・骨皮道賢(演:堤真一)の腐れ縁のような対立関係も分かりやすかった。鎌倉〜南北朝を経て、戦国時代に一気にギアを上げる前の未成熟な郎党の姿も新鮮だった。また、一部アクションはVFXを駆使しているものの、基本的には人員を割いて撮影したようで、一揆本番の松明は大迫力。アクションだけでなく、「ひ弱な農民・浪人が武士とどうやって渡り合うか」という知略も盛り込まれており、特にこの時代に京に存在した七重の塔を使った作戦には思わず唸ってしまった。
もう少し頑張って欲しかったのは劇伴。最近の邦画のメロドラマにありがちな曲が流れたかと思いきや、いきなりレオーネ作品のようなマカロニマカロニした曲が流れてきて却って気が散った。エンドロールのような曲を全編通して使ってほしかった。「黒澤明と早坂文雄だったらこういう仕上がりにはしなかっただろう」なんてことをついつい考えてしまったのだ。
演出がややオーバーではあるものの、現代の歴史劇の流れとしては仕方ない。無理のない範囲で作り込まれていたし、結構面白かったので良しとしよう。
人情時代劇のリブートA Reboot of Human Drama in Period Dramas
主人公、蓮田兵衛を演じる
大泉洋さんはもちろんのこと
登場人物が全て魅力的。
人情時代劇とは書いたが、
それだけではなく、
生きるとは、人生とは、
世の中の仕組みとは、
充分、現代に通じる内容でもあった。
人との関係が
一見乱暴に見えて、
実はとても濃いのがよく分かる。
人を育てるとは?
ということが、
これは今は無理だろうなあと思うけど
あれくらいのことがなければ
実は限界突破できないしなあ
と色々考えながら見ていた。
とても濃い
人情時代劇です。
オススメです。
The protagonist, Hasuda Hyoe, played by Yo Oizumi, is, of course, outstanding, but every single character is equally captivating.
While it’s described as a “human drama in a period setting,” it goes beyond that.
It delves deeply into themes like what it means to live, what life is, and how the world works—concepts that resonate strongly even today.
The relationships between people, though they may seem rough at first glance, are actually deeply profound, as the story makes clear.
The question of what it means to nurture and raise people comes through vividly.
It left me thinking: “That level of intensity might be impossible nowadays, but without it, breaking through our limits might also be unachievable.”
A truly rich and profound human drama set in a period setting.
Highly recommended!
かえる→才蔵へと進化は美的、大泉洋のラスト両手刀がかっこよすぎ!
時代劇初心者でも分かりやすくて入り込みやすい!
新たな時代劇の良作
ちょっと長い気がするが、その分ちゃんと当時の様子をキチンと描こうとしたと思われる入江悠監督の(多分)初時代劇。白石和彌監督に続き、監督の才能が遺憾なく発揮された新たな時代劇の良作。そしてまさに「つまらぬ世」である今作られる意味がある映画。どこかウエスタン風なのも素晴らしい…
大泉洋演じる蓮田兵衛の物語と長尾謙杜演じる才蔵の成長譚が同時に語られるところがまた良いし、長尾謙杜ほその成長の様子とアクション(特にラストの疑似ワンカットシーン)がいずれも良い。
また、脇のメンバーまでキチンとキャラクターがある。特に武田梨奈が久々にアクションで魅せてくれるし、柄本明はいつも通りズルい。
難があるとするなら、室町時代はあまり馴染みがないのでもう少しじっくりと描いても良かったところ。なんならミニドラマシリーズで見たかったくらい。
しかし「侍タイムスリッパー」含め、時代劇が滅びないように新たな才能による作品が作られるようになっており、今後にも期待できるかなと…
楽しみ。
アクションシーンが熱い
室町時代に一揆を起こした人物・蓮田兵衛を主人公として描いた時代劇アクション。巨大な権力に立ち向かい戦国時代の幕開けといえる戦いを迫力ある映像とアクションで描かれている。見どころは何と言って迫力あるアクションシーン。中でも長尾謙杜が演じる才蔵のアクションシーンは格好良すぎます。
2025-7
今の時代にも必要な正義
現在の世の中をどう思いますか?。疫病明けや重税、格差社会。時代は移り変わっても根本は変わらないのではないでしょうか。
室町時代、混沌した世に実在した蓮田兵衛(大泉洋)の生き様がストーリーです。どこか掴み所がなく憎めない主人公が弱者の為に幕府へ挑みます。
見せ場は少ないが大泉洋さんの殺陣が心底格好いい。相当稽古したのではないでしょうか。
こちらも実在した骨皮道賢(堤真一)との昔からの悪友であり最終的に対立する関係が作品に深みを与えています。
大泉さんと堤さんの最近の共演といえばテレビドラマ「終わりに見た街」が思い出されますが今作のほうが心に刻まれました。そして自分的にあまり見かけたことのない俳優陣が多く出演していたのが良かった。早速、各キャラクターと役者さんを調べなくては。
ダラダラと
ストーリーが流れる感じ。
特にストーリー的に盛り上がる場面はないので、
映像的に盛り上がる終盤まではランチ後ということもあって何度か意識が飛んだzzz
一応史実?なのだろうが、室町時代の一揆などほぼ史料はあるまい。
あっても著名人は出てこないので、歴史物としての興味には乏しい。
では、蓮田兵衛なる人物がアウトサイダーとして魅力的かというとさほどでもなく、
才蔵やその他の人物と心揺さぶられる交流があるかというとどれもが浅い。
圧政や飢饉に苦しむ人々と蓮田兵衛らの落差にも違和感ありまくり。
蓮田より才蔵がメイン?と思える展開はどっちつかずで中途半端。
ジャッキーの◯拳のようなものを意図した?
一番の盛り上がりは一揆のシーンだろうが、迫力はあるものの雑然としていて様式美はない。
心に残るものはなかった。
妻は蓮田の死にぐっと来たそうだが、それなら骨皮との関係性をもっと掘り下げて欲しかった。
唐突に集落が全滅したり、とにかく全部齧り付くだけで深みがない。
久しぶりの本格的な時代劇を期待したが、中身スカスカだった。
才蔵以外の演技は雰囲気があっただけに残念。
【主役が変わる映画】
初めて武士階級が率いた一揆の史実を描く。その映像のリアリティと説得力、そして何よりカッコ良さが見もの。とある点から主役が変わり、それが映画の本質となる展開も面白い。
◆トリビア
〇大泉洋の先祖は仙台藩の武士だという。「先祖代々芸人かと思っていたのですが、武士をやるべくして生まれた、まさに運命だったと思います。」
〇大泉は、死と隣り合わせの当時を、コロナ禍を経験した今、想像ができると話す。本作のように何も対策を打たなかった室町時代の政府に「蓮田兵衛という人は、自分の命はもうどこか諦めていても、他の人のために何とかこの状況を変えてやる。そういう覚悟みたいなものを、胸の中に強く持って演じていました。」と語る。
〇堤真一が今作で大事にしたかったのは、兵衛と道賢は元々アウトローの仲間であり、“日本を良くしたい”という同じ志を持っていたことだという。「本当は戦う必要のない間柄だけれど、立場上戦わなければいけない。最初、道賢は兵衛を見逃して許すのですが、そこに2人の関係性が表れていると思います。」
○長尾謙杜は、才蔵の役作りで体重を6キロ増量。3ヶ月にわたり棒術を練習したという。「(アクションは)これからもっと磨いていけたらと思っています。」
◆概要
【原作】
#垣根涼介「室町無頼」(「本屋が選ぶ時代小説大賞」大賞受賞)
【脚本・監督】
「22年目の告白 私が殺人犯です」#入江悠
【出演】
#大泉洋 #長尾謙杜(#なにわ男子)#堤真一 #柄本明 #北村一輝 #松本若菜 #遠藤雄弥 #前野朋哉 #阿見201 #般若 #武田梨奈 #水澤紳吾 #岩永丞威 #吉本実憂 #ドンペイ #川床明日香 #稲荷卓央 #芹澤興人 #中村蒼 #矢島健一 #三宅弘城
【公開】2025年1月17日
【上映時間】135分
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◆以下ネタバレ
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◆史上最高にカッコいい男
巨岩を引かされる百姓たちから始まる冒頭。遅い者は鞭打たれ、倒れた者は死体の山へと積まれていく。罵声を飛ばす役人を蹴落とし兵衛が登場、飢餓の民に衣食を与えて去り、タイトルへ。映画冒頭はその作品の軸が描かれる事が多いが、本作は特にここで幕府側の凶悪ぶりと、弱きを助け強きをくじく、兵衛のカッコ良さが恐縮されていた。“大泉洋史上最高にカッコいい男”を目指したと監督の言う通り、本作は至る所で彼のクールな場面が満載。冒頭はもちろん、殺陣もキレていたし(二刀流とは!)、民に惜しみなく銭や食物、土産を振る舞う姿もカッコいい。(そういえば、遊郭で兵衛が箱の中に隠れるシーンは本作でオマージュしたという「用心棒」('61)のシーンそのままだった)花の御所へ向かうビューティーカットもあれば、何よりラストの才蔵を生かして自らの最期の炎を燃やす姿が最高。大泉洋の魅力満載の映画だった。
◆一揆
そんな本作のなんと言っても1番の山は一揆のシーン。のべ5000人ものエキストラを登用し半月におよび撮影されたというスケールの大きさがすごい。幕府軍が斬られていくのは当然だが、一揆軍に加わった百姓達も斬られ、家族が涙し、女達も加勢していくのがなんとも生々しい。8年に及んだ製作期間中に監督が資料を読み漁ったというのだから、そのこだわりが映像の随所に出ているのは当然かも知れない。そして一揆でダントツ輝いたのが長尾謙杜。花の御所前での、屋根を飛び六尺棒を振り回す、あの長回しアクションシーンのカッコいいこと。“全部ぶっ潰す”に準備期間の全てを込めたという彼の言葉に説得力があった。民に与えたあのかんざしで悪徳大名を仕留める、ここでもやはりカッコいい大泉洋まで、一揆の一連の迫力にずっと飲まれ続けていた。
◆ラスト
傷ついた体で道賢に見つかり、兵衛が覚悟を決めるラスト。前述の通り、才蔵を生かすためあえて六尺棒を封印させる兵衛が見せる笑顔はなんとも切ない。兵衛を斬った後の道賢の涙に、本作で描かれた2人の絆が走馬灯のように浮かぶ。“七重塔の誓い”は叶わなかったものの、自らの最期に兵衛の名を読んだ道賢もよかった。おそらく道賢の言った10年後、芳王子(遊女)のもとへ訪れた才蔵の姿のたくましいこと。兵衛のひょうたんと首巻をまとう才蔵にはどこか兵衛の面影も。手に持つ兎は、振り返れば百姓達にその肉を分け与えた兵衛の慈愛の象徴。遊女の笑顔は、そんな才蔵にきっと兵衛の意志を見たからに違いない。室町無頼は、てっきり大泉洋の映画かと思いきや、才蔵の成長物語も描く、無頼達の正義を描く映画だった。
◆関連作品
○「#あんのこと」('23)
入江監督の代表作の一つ。実話なのがより響く。プライムビデオ配信中。
○「#用心棒」('61)
本作でオマージュを盛り込んだという不朽の名作。プライムビデオレンタル可。
◆評価(2025年1月17日時点)
Filmarks:★×4.3
Yahoo!検索:★×4.4
映画.com:★×4.3
痛快と激増のアンバランス
ちょっと途中で中弛みを感じなくもなかったけど、 最後はまた勢いがつ...
ちょっと途中で中弛みを感じなくもなかったけど、
最後はまた勢いがついてきた
堤真一との、
味方じゃないんだけどある意味信頼し合ってる、
みたいな関係の描き方、
好きです
キャスティングもキャラ設定も良かった
北村一輝と柄本明がとくにすっごく良かった
キャラクターにしても、ストーリーにしても、アクションにしても、何かと「勿体なさ」を感じてしまう
圧政に苦しむ民衆のために立ち上がる兵衛の姿は格好いいのだが、命を捨ててまで権力に歯向かおうとする理由なり、過去の経緯なりが説明されないので、今一つ感情移入がしにくかった。
兵衛の弟子になる才蔵も、出自や経歴が不明だし、どうして人並み外れた身体能力を持ち、現実離れした修行を1年でクリアできたのかがよく分からない。
敵同士になっても友情で結ばれている兵衛と道賢の関係性は面白いものの、兵衛が一揆を起こすことを見逃しただけでなく、証文を燃やすまでの間は出動を控えると約束したはずの道賢が、最初から一揆の鎮圧に動いたのはどうしてだろうか?
実際は「夜中」だった蜂起の時刻を、「明け方」と騙されたことに憤慨したからなのかもしれないが、ここのところは、2人の友情に関わる部分でもあるだけに、もう少し説明があってもよかったと思う。
一揆が勃発してからの大乱戦は、それまでのストーリー展開の平板さや、盛り上がり不足を吹き飛ばすかのような殺陣とアクションのつるべ打ちで、大きな見どころとなっている。
特に、才蔵が、多くの敵をなぎ倒しながら、路上から建物の屋根に上がり、塀の上を伝って路上に戻ってくるまでのシーンは、あたかもワンカットで撮影しているかのような描写になっていて、迫力と見応えがある。
ただし、全体的にカメラの動きとカット割りが激しすぎる上に、夜のシーンは暗いため、画面の中で何が起きているのかがよく分からないのは残念だ。
兵衛の仲間には、才蔵を慕ってやって来た三人組の侍や、弓の名手の女性がいるし、道賢の部下には、くノ一のような隠密や、分銅鎖の使い手がいるなど、キャラ立ちしそうな面子が揃っているのだから、それぞれに相応しい見せ場が作り出せていたならば、もっと面白いアクション映画になったのではないかと思えてならない。
実質的なラスボスであったはずの北村一輝演じる大名が、ラストで、単なる酔っ払いだったことも含めて、何かと「勿体なさ」を感じてしまった映画だった。
Japanese Western
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