劇場公開日 2025年1月17日

「面白くなりそうではあったが残念な部分が多すぎる」室町無頼 よしてさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5面白くなりそうではあったが残念な部分が多すぎる

2025年2月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あまり例がない室町時代を舞台とした作品であり、歴史の断面を切り取った作品として楽しめました。が、作品として高く評価できるかは少し別です。

まずは褒めるべき要素から。
長尾謙杜さんの修行シーンからクライマックスの立ち回りまでは素晴らしかった。堤真一さんもさすがはJAC出身と思わせる武士らしい佇まいと出自が河原者であるというある種のコンプレックスや権力側にいる逡巡などを見せる素晴らしい演技でした。
松本若菜さんは出番は少ないながらも、いつも以上に美しく妖艶なキャラクターを演じきってましたね。

ただし映画全体として見ると無駄に登場人物が多く、描く必要もないシーンもそこそこある印象。
クライマックスの一揆シーンは最初こそ見応えはありましたが、終盤はごちゃごちゃした映像で何を見せたいのかさっぱりわからない状態に。アクション映画でここまで撮影が酷い作品は記憶にないです。
その後の御所の前のシーンではなんの伏線もなく「無頼」と書かれた紙が門に貼られるよくわからないパフォーマンス。そのために多くの仲間が死んでいきましたが犬死もいいとこ。さらにその後の河原のシーンは完全に蛇足。
ただでさえ長く感じる作品の終わり方がズルズルと緩いため、作品全体の締まりがなくなってました。

マカロニウエスタンを意識した作品作りなら、終わりかたはもう少し鮮やかにして欲しいものです。むしろ、モコリーネ風の劇伴は全然映像や作品展開とあっておらず、その意味では音楽的には本当に最低な作品でした。

入江悠さんの作品は好きなものも多い一方で、ビッグバジェットになればなるほど、「どうしちゃったの?」というほど低クオリティな作品も作ってしまう不思議な監督さんです。本作は過去のいくつかの作品ほどは酷くなかったものの、トータルでは褒められるクオリティにはなっていません。
少なくともスケールの大きいアクション映画を撮ろうとしてる本作を任せるなら、もっと他に任せるべき監督がいたはず。

最後、大泉洋さんですが、最近の仕事選びを間違いすぎてませんかね? 本作に関しては殺陣も周囲に比べて見劣りしますし、ラストの骨皮との対決シーンのお粗末さはひどすぎます。

期待していただけに、本当に残念な部分が多い一作でした。

コメントする
よして