「アクションは素晴らしいが、、、」室町無頼　たかさんの映画レビュー（感想・評価）

主要キャストについて
大泉洋→言うまでもないですが、演技力は文句無しです。大河ドラマにも出演していたおかげで時代劇にも違和感はないですし、殺陣もお見事と言ったところです。普段のバラエティタレントとのギャップに戸惑う部分はありますが持ち前の演技力で有無を言わさず、と貫禄を見せていますね。

長尾謙杜→正直演技は拙いと言わざるをえません。特に叫ぶシーンはそれが顕著です。しかしアクションシーンに関してはそれを吹っ飛ばすくらいアグレッシブに動きまわっていました。個人的には若手ジャニーズ役者についてはあまりいい感情はないのですが、彼についてはしっかりとした演技力を身につければ今後が楽しみですね。

堤真一→全てにおいて完璧です。ただ容疑者Xの時のように頭一つ抜けていた演技ではなく、無難に纏まっているに留まっているな、と感じました。

構成について
令和の時代にド直球の修行シーンが描かれたのはある意味新鮮ですし、一映画好きとして非常に好感がもてました。一揆シーンについても、これまでのカタルシスが満たされる感があって尻上がりになっていくと思ったのですが、そこがピークになってしまったという点が残念に思いました。
主要キャラだけの立ち回りシーンは長尾氏のアクションは素晴らしかったのですが、全体的にゴチャゴチャして誰が何をやっているのかがわかりづらかったのと、北村一輝氏演じるキャラがあまりにもバカ殿に描かれてしまったため今一つ溜飲が下がらなかったのが残念です。
あとラストシーンは正直蛇足に感じました。長尾氏と松本氏の会話シーンで終わるよりも時代劇によくある説明文で才蔵はこの後数々の一揆で活躍した、みたいに終わらせた方がスッキリ纏まったと思います。

演出について
構成の所でも述べましたが、アクションシーンがごたついて分かりにくいのが難点ですね。また、必要以上に役者陣を汚ならしく演出しているため誰が誰かわかりにくかったです。あと大泉さんと堤さんの過去が言葉だけでなくもう少し丁寧に描かれていれば、ラストの殺陣シーンにももっと深みが出たと思います。

総評
時代劇的アクションが好きな人にはかなりお勧めです。ただしそれに特化するならもう少し上映時間を短くするともっと引き締まったと思います。
色々言いましたが難しいことを考えず純粋に楽しんで観よう！という心持ちなら古きよき正月映画みたいな感じで十分楽しめると言えるのではないでしょうか。