「面白かった!だが…惜しい…」室町無頼 しゆさんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった!だが…惜しい…
昨今見なくなった痛快アウトロー時代劇という感じで個人的には「好き」
キャスティングと映像効果、時代表現等のリアリティが評価できます
ここからは少しポイント別に評価します(個人的な見解です)
※原作は読んでません
※一部ネタバレ含みます
【俳優陣と演技について】
大泉洋は文句無しのハマり役!この人のための映画という感じ!控えめに言って最高!
堤真一は流石の一言!役的にも圧倒的な存在感を放っていて控えめにいって最高!
松本若菜は少ない出番でも存在感があった!でも少し可愛いすぎてしまってマイナス…上の2人を手玉に取ってしまうような妖艶な遊女役?を演じるのはまだ厳しかったか…
長尾謙杜…物語上はこの弟子役はすごく重要なポジションだったと思うのだがなんで起用したのかが疑問。随所棒読みだったり、感情表現も直線的というか深みがなかった…
忘れてはならない北村一輝も悪代官(大名)っぷりが素晴らしい!こういう映画には絶対必要なポジションのためある意味最重要キャラ!しっかり演じ切って、最後(成敗される)までブレないのもグッド!
【ストーリー】
長尺だがテンポも良く、飽きずに見れた。無駄なシーンとかそういうのもほとんどなく、伏線回収もしっかりある。
反面、逆に登場人物の多さ、作品自体のボリュームが描き切れてない感じが否めない…主要人物以外にもカッコ良さげな「無頼」、対抗する権力者を守る侍サイドにも(堤真一の部下)なんとも強そうなキャラがいたがそれぞれのカットが少ないしあっさりのため咀嚼しきれない。とくに、急に7人の侍ばりにカッコいい「無頼」たちの…実際には何人だったか…夕日を背景にアンマッチなウエスタンチックのBGMで横に並んでいざ最終決戦へ〜の演出は確かにお約束だけどなんだかな〜という感じ笑
あと、大泉洋と堤真一の関係性について、どこまで深い関係(旧友?親友?戦友?)なのに相対するに至るのか…この描写も実は不完全だった気がする。
13人の刺客みたいに友ながら仕方なく敵として戦う構図の有名な既出作品があったりして理解できたが、そもそもありがちな構成だとしても、だからこそもっとその描写を丁寧にして最後の決闘とその結末の時に感情移入させて欲しかった。
そして最大の問題の弟子の存在…とどのつまり原作を読んでないのでなんとも言えないが、上述の通り弟子役の演技がちょっとあれすぎて…思い返すと別に居なくても物語成立するのでは?くらいに思ってしまった笑
ポスターには「師弟の絆」ってあるところ大変申し訳ないが、大泉洋と堤真一が良すぎて、「友の絆」に変えて欲しいくらいだ…笑
ボリュームの多さで描き切れてないと言ったのは、七人の侍、13人の刺客、ジャンゴ、ベストキッドなどなど…オマージュを詰め込み過ぎてるからだというのが個人的な結論。
例えばアニメ作品だが「ストレンヂア」みたく、弟子ポジションは少年か少女でも良かったと思う。ちなみに「ストレンヂア」はアニメ作品ながら、敵味方それぞれのつよつよキャラクター達の描写や使い方が素晴らしいので是非観てもらいたい。
【殺陣、戦シーン】
最高に良かったのは最初の関所破りのシーンだけ!
肝心の一揆(戦)は1万の勢力だって言って盛りに盛って急にスケールが小さくなる…殺陣もカメラワークによってよくわからない上に大勢のガヤガヤの音声処理が酷かった…そして切り替わって50人対10人くらいの最終決戦では関所破りでは人ごと柵切ってたつよつよ主人公があっさりやられて、1人謎に強くなった弟子が覚醒したで終わり…ちょっと納得できなかった…
最後の決闘シーンは概ね良かったけど、絶対許せないのは急に弟子の顔アップにキン!キン!って刀の効果音だけになる「あの間」は何?必要?てなった…弟子のポジションは必要だったのか改めて謎に思った笑
批判もあったが、とにかく大泉洋と堤真一がカッコいいのでそれだけでも観る価値のある映画です!