「面白さのベクトルを伝えるのが難しいが」Cloud クラウド ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
面白さのベクトルを伝えるのが難しいが
面白い。でもアカデミー日本代表って映画ではない(笑)。それは選ぶ側がトンチンカンだと思うし、黒沢清も迷惑だろうと思う。これはアカデミーに選ばれて嬉しいというような作品ではなく、根本がVシネであり、いい意味でVシネであり、映画はアクションである、ということを現代でやる理屈をつけるための進化である。
菅田将暉は転売ヤー。PCの向こうにいるのは得体の知れない客だけではない。この導入は『回路』的でもあるが、ここで重要なのはゾンビのような有象無象の人間たちに追われるということである。むしろ空っぽな昆虫のような人間がエサにゆらゆら集まってサバイバルゲームを展開していくのを楽しむ映画で、その意味では『散歩する侵略者』に近いのか。とにかく集まった顔も知らぬ殺人者たちがおっちょこちょいで面白い。ある種『悪魔のいけにえ』的ファミリー感に西部劇が加わる面白さ。この連中の絶滅にいたる過程はもっと見ていたかった。
ということで、相変わらず痛ぶられる主人公を嬉々として描く黒沢清であった。
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