劇場公開日 2024年9月27日

「すべてのショットに快楽がある。上映時間ずっと怖い楽しい痺れる、エンタメ快作」Cloud クラウド ハモニカ犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5すべてのショットに快楽がある。上映時間ずっと怖い楽しい痺れる、エンタメ快作

2024年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

興奮

黒沢清がVシネを撮っていたころの雰囲気を持つ、エンタメ作。私は黒沢作品では哀川翔主演の「復讐 運命の訪問者」が最も好きだが、本作はそれに並ぶくらいに好き。

何気なく始まるファーストショットから、いつものクロスプロセスのラストショットまで、すべてのショットに快楽がある。上映時間ずっと怖い楽しい痺れる、エンタメ快作。

前半は転売ヤーの日常に迫るサスペンス、後半は長いガンアクションと、メリハリのついたジャンル映画のお手本のような構成がよい。

前半は得意のサスペンスショットに溢れ、否が応でも気分が盛り上がる。バイクのヘルメットをかぶった後頭部のショット、バスの中で誰か後ろいるショット、逆行で真っ黒になった人物、とにかく怖くて面白いショットの目白押し。窪田正孝のイヤな先輩の演技が素晴らしい。

後半はリアルなガンアクション。銃弾一発一発が重い。廃工場内での銃声の残響はどこまでも続く。

並んで疾走する菅田将暉と奥平大兼、撃たれてバウンドする岡山天音、猟銃を肩にかけノシノシ歩く荒川良々、Chimeに続いて突拍子もないお喋りの吉岡睦雄、最期に本性をあらわにする古川琴音、どの役者も本当に印象に残る素晴らしい演技と演出。

もう一回観に行こう。

ハモニカ犬