「吉井良介(菅田将暉)の生業は「転売屋」。 今日も電子機器工場の倒産...」Cloud クラウド りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
吉井良介(菅田将暉)の生業は「転売屋」。 今日も電子機器工場の倒産...
吉井良介(菅田将暉)の生業は「転売屋」。
今日も電子機器工場の倒産を聞きつけて、健康電子機器30台をタダ同然の金額で仕入れた。
工場主からは「人非人」などの罵詈雑言を浴びせられるが、「安く仕入れた品に儲けを付加して売る」だけなのだ。
売れなければ、廃棄費用はこちら持ち。
厳しい仕事なのだ。
幸い仕入れた機器は1台20万で売れた。
さて、アルバイト先のクリーニング工場では、青年部主任なるわけのわからない役職を押し付けられそうになった。
そんなのは御免被る、3年勤めた、辞め時なのだ・・・
クリーニング工場以外にも、先輩転売ヤー村岡(窪田正孝) からは新事業立ち上げ名目で金をせびられる。
こいつともオサラバしたい。
ちょっと金遣いは荒いが魅力的な恋人・秋子(古川琴音)とともに、山あいの湖畔に格安賃貸があったので引っ越すことにした・・・
といったところからはじまる物語で、前半から不穏な雰囲気が漂っている。
この前半は、ロマン・ポランスキー監督作品を彷彿させる剣呑な雰囲気で、ゾクゾクさせられる。
ま、人というのはどこで恨みを買うかはわからない。
転売ヤーとしての悪評が巷に拡散、ハンドルネームだった吉井の正体も暴かれ、名も知らぬ人たちが集まり、復讐を仕掛ける。
匿名の悪意は「雲」のように湧き上がって来る。
それがタイトルの由来。
集まった人々は吉井の住処を襲い、廃工場に拉致監禁して・・・
と、ここからはジョン・カーペンター監督『要塞警察』か。
バンバンと撃ち合い・・・
なんだけれど、長くてダレたぁ。
見知らぬひとたちが集まってのマン・ハンティング物語ならば、それはそれで、クラウドの先、SNSの先の見えない悪意に襲われるという現代的怪談になったのだが、残念ながら、集団の中に因縁ある人物が出てきて、つまらなくなった。
復讐するなら、とっととやらないと、ヤられてしまう。
やっぱり、そうなるよなぁ。
で、ここで終われば、普通の映画なのだが(ま、普通かどうか意見は分かれるかもしれないが)、吉井の助っ人。アシスタントくん(奥平大兼)によって、クラウドの彼方に吉井は連れ去られてしまう・・・
う、ビヨンド!
ルチオ・フルチ監督か、ラヴクラフトか。
ということで、ラストで評価アップね。