「意味のわからなさ含めて最高!」Cloud クラウド 邦画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
意味のわからなさ含めて最高!
黒沢清監督といえばスイートホームが有名ですが自分は世代的には生まれたくらいで後にファミコンでそんなのあったなーくらいの認識です。唯一、黒沢作品で見たことあるのは地獄の警備員で、だいぶ前にAスタジオで松重豊さんが「地獄の警備員」について話していて何その作品?ってとても気になりその時すぐさまレンタルで借りて見てあの独特の世界観にハマりました。今回たまたま映画館で予告を見て黒沢清と菅田将暉の組み合わせ!?めっちゃ気になるー!と思い見に行きました。
少し前置きが長くなりましたが私としてはなかなか楽しめました。情報や登場人物の心情なんかは見る側での憶測が求められるため、みる人によっては意味がわからないって感じになると思います。自分はその意味のわからなさも含めて作品全体を通して漂う不気味な雰囲気も含めとても楽しめました。SABU監督や北野武作品のように死体を黙ってジッと眺めるシーンなんかも今回古川琴音さんがやってて「あーこれこれ!」ってなりました(笑)
あと、菅田将暉がネットに商品を出品して売れるまでジッとPC画面を眺めるシーンも何度か出てきて独特で良かった。
脇を固める役者さんも窪田さんや天音さんなどめちゃくちゃいい感じの演技で役にハマってました。医療機器工場のおじさんもよかった。
あとは最初、菅田将暉が演じるからきっとかっこいい役なんだなと思ってて、たしかに見た目やぱっと見の会話や佇まいはとても頭の切れるできるやつに見えますが実は結構、転売屋としてはバカな役でした。なんで600万儲けてあの変な田舎のでかい施設を借りるのもわからないし簡単に他人に転売屋ですと言っちゃうあたりやなぜか偽ブランドはさっさと売り切れば勝ちみたいな考えも結構頭の悪い転売屋だなと思いました。
結果、その頭の悪いやり方が恨みを買い殺されるターゲットにされます。
ただ、なぜに荒川良々さんが家族を殺して、ただ仕事を飛んだだけの菅田将暉も殺そうとするのか意味がわかりませんがその意味のわからなさもこれまたこの作品の良いところです。
奥平大兼さんもめちゃくちゃ怪しいと思いながら実は最強の味方で、でもなぜに彼が菅田将暉に力を貸すのか、なぜあのガラス割った若者があんなに怯えてたのかその辺の答えは作中で教えてくれません。ま、それも含めて謎すぎてこの作品の面白さです(笑)
そして何よりレビュー冒頭に私が書いた地獄の警備員の主演の松重豊さんが一瞬だけ現れます。私はこのシーンが一番テンションあがりました。
これも彼に関する説明はなしですがセリフから組織などと言っていたのでマフィア、裏社会の幹部、奥平さんはそこの坊ちゃんなのかなというのはわかりました。では、なぜに菅田将暉に力を貸すのか、これは全くわかりません。
とにかくこんなめちゃくちゃな映画作っててずっと長いこと映画監督やれる人ってある意味すごいなーと思いました。
ハマる人にはハマるけど、嫌いな人はめっちゃ嫌いな作品かと思います。