劇場公開日 2024年9月27日

「MVPは古川琴音かな」Cloud クラウド 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0MVPは古川琴音かな

2024年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「蛇の道」、「Chime」に続く2024年黒沢清監督三部作(?)の掉尾を飾る作品でした。4か月で3回目ということで、短期間に立て続けに黒沢ワールドに浸ったせいか、理不尽系の物語にも慣れて来て、本作では物語世界そのものを楽しむことが出来ました。「Chime」でもそうでしたが、序盤は普通の世界なのに、ハッキリとした理由が分からないままに徐々に歯車の回転がおかしくなって行き、やがて地獄行きになるという展開に快感すら覚えました。

また本作の見所は、菅田将暉をはじめとする俳優陣。古川琴音や窪田正孝、岡山天音、「Chime」では主演を務めた吉岡睦雄、さらには松重豊をチョイ役に使う贅沢な布陣で、彼らの絶妙な演技が本作の浮世離れしたとも言えるストーリーにリアリティを与えているところが流石でした。

そしてそんな俳優陣の中で最も印象に残ったのは、菅田将暉を抑えて古川琴音でした。菅田将暉演じる主人公・吉井の恋人役でしたが、最後に吉井に見せた般若の如き表情は、悪夢に出て来るレベル。俳優だからシナリオ通りに何でも演ずるのは当然と言えば当然ですが、従来の古川琴音のイメージを完全に一変させたあの演技は、間違いなくMVPものでした。

そんな訳で、本作の評価は★4とします。

鶏